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インタビュー

トリドールHD CMO 南雲克明が語る「持続的成長をリードするCMOの役割と、信頼されるマネジメントの在り方」

最終更新日:2024.08.08

The Marketing Native #65

トリドールホールディングス 執行役員 CMO

丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長

南雲 克明

「ここのうどんは、生きている。」というキャッチフレーズが食欲と興味をそそる丸亀製麵。その丸亀製麵で取締役 マーケティング本部長を務めるとともに同社を傘下に持つトリドールホールディングスで執行役員 CMOを務めるのが南雲克明さんです。

「外食産業のマーケティングでNo.1になる」「他社とは異なる唯一無二のマーケティングをする」と意気込む南雲さんとは、どんな人物なのでしょうか。

今回はトリドールホールディングス執行役員CMO兼 丸亀製麵 取締役マーケティング本部長の南雲克明さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

CMOとマーケティング本部長の違い

――南雲さんはオリックス自動車からコナミスポーツ、サザビーリーグなどを経てトリドールホールディングスに転職されたとのこと。トリドール入社前にマーケティングの世界で生きると決断したきっかけやエピソードはありますか。

きっかけの1つはコナミスポーツ勤務時代の上司との出会いです。当時私はマーケティング責任者をしていたのですが、現場感覚で身に付けた自己流の手法に行き詰まりを感じていました。そんなとき、ある製薬会社で社長をしていた方がコナミスポーツの副社長に就任して、鼻っ柱をへし折られるような経験をしたのです。その方は製薬会社の社長のほか、外資系エンターテインメント企業のマーケティング本部長も経験していて、現在もさまざまな企業で社外取締役を務められるなどご活躍されています。

スポーツクラブの数字を伸ばしてブランドを強くすることについては、自分なりにある程度の自信がありましたので、当初はその方に対して「スポーツクラブ業界のことも知らないのに」と反発する感情がありました。しかし、一緒に仕事をする中で「南雲さんはマーケティングのことを何もわかっていない」と一刀両断にされ、自分の経験値や知識量の低さ、視野の狭さなどを思い知らされました。

――当時の南雲さんのどこに問題があったと思いますか。

今思い返すと、表面的なことばかりを追いかけて、消費者の本質を突けていなかったのだと思います。一時的に勝つだけでなく、持続的に勝てる仕組み作りの重要性についても思いが至っていませんでした。そのときまだ30代でしたが、もっとマーケティングを勉強し、成果を出し、その方を見返したいという思いと、認められるマーケターになりたいという気持ちでいっぱいになったのを覚えています。それがキャリアの転機になりました。

――そこからビジネススクールにも行かれた、と。

はい、早稲田大学大学院のビジネススクールでMBAを取得しました。マーケティングについてしっかりと学び、考える時間を作れたことで、経験と実践だけだったキャリアにアカデミックを融合させることができ、自分が何をすべきか、どの道を進むべきかが見えてくるようになりました。同時に今も仕事でご一緒させていただけるような人脈の幅が広がり、非常に有益な経験だったと思います。

――トリドールでは執行役員CMO、丸亀製麺では取締役マーケティング本部長、それぞれどんな仕事でしょうか。

トリドールでは「KANDOコミュニケーション本部」の本部長を務めていて、「コーポレートコミュニケーション部(広報)」「マーケティング部」、従業員を対象にした「インターナルコミュニケーション部」、そしてこの7月に新設した「ブランド戦略部」という4つの部門を統括して社内外のコミュニケーションの最適化を図っています。

執行役員の仕事としては、ホールディングスの傘下に約20のブランドがありますので、ブランドごとのマーケティングをはじめ、コーポレートコミュニケーション(広報)でトリドールが得たい2つのパーセプションの獲得に注力しています。1つは「感動創造業である」というパーセプション、もう1つは「唯一無二のグローバルフードカンパニーである」というパーセプションです。トリドールは今30の国と地域で展開しています。

――丸亀製麺はいかがですか。

丸亀製麺ではマーケティング本部長を務めていますので、国内におけるブランドの価値と業績を伸ばすのが一番のミッションです。

業績を伸ばすために私はCX(顧客体験)とEX(従業員体験)とブランドの3つを大切にしています。この3つ全てをスパイラルで同時に上げていかないと強いブランドは作れません。CX、EX、ブランドの3つのスパイラルを意識してマーケティング戦略を統括するとともに、全体の経営事業戦略についても社長の山口(寛)と担当しています。

――トリドールの場合、CMOとマーケティング本部長では何が違うのですか。

マーケティング本部長は約束した数字、成果を出し、ブランドを強くすることが主な仕事です。

一方、CMOは経営ボードの一員なので、株主様、投資家の方々、取引先、従業員などステークホルダーの皆さまと約束している成果に対して責任を負わなければなりません。成果とは財務以外にも株価や企業イメージ、SDGsなどの社会貢献まで全て含まれます。社内外に約束している成果をいかに達成できるか、視野を大きく広げながら粘り強く思考を深掘りしていく必要があります。

高い目標を達成するために必要なマーケティングモデル

――わかりました。ここであらためて南雲さんにとってマーケティングとは何か、教えてください。

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・EXを起点とするマーケティングモデル「丸亀スパイラルモデル」とは
・マーケター採用時に重視する3つのポイント
・CMOを目指すために必要な学びと努力

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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