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インタビュー

プラットフォーマーへ!買う前に試せるレンタルサービス「レンティオ」が顧客から圧倒的に支持される理由

最終更新日:2024.08.30

キーパーソン深掘り!#05

レンティオ 代表取締役社長

三輪 謙二朗

カメラや家電、ベビーカー、楽器、ファッションアイテムなど、買わずに試せるレンタルサービスとして人気のレンティオ。

2015年のサービス立ち上げからラインナップも増え、今では約6,400種類、月間利用者数も約14万人にまで増えました。

しかも最近ではモノのレンタルだけでなく、レンティオのシステム自体を貸し出して、プラットフォームとしてのビジネスを拡大、ますます注目を集めています。

匿名マーケター・みる兄さんの「キーパーソン深掘り」第5回は、レンティオ代表取締役社長の三輪謙二朗さんを取材しました。

(構成:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

起業を決断するきっかけとなったモノマネ

みる兄さん レンティオのことを何となく知っていても、サービスの概要までは詳しく知らないという人もいると思います。まず立ち上げのきっかけから教えてください。

三輪 最初はそこまで強烈に起業したいと考えていたわけではありません。ただ、何となくいずれ起業できたらいいなとは感じていました。まず新卒で入った楽天を1年半ほどで退職しました。その後、楽天に出店していた安売り家電の会社に転職したのですが、そこが倒産してしまったのです。それをきっかけに起業に踏み切ったという流れです。

三輪謙二朗さん

みる兄さん 起業アイデアについてはどうですか。社会課題の解決や従来のプロダクト・サービスが抱えるペインの解消などいろいろありますが、どこから着想を得ましたか。

三輪 着想を得た1つのきっかけは、友達の結婚式で、芸人のたむけん(たむらけんじ)さんのモノマネをしなければいけないタイミングがありまして…。

みる兄さん そんなタイミングがあるわけですね、人生には(笑)

三輪 私、そういうのをちゃんとやりきりたいタイプなんです(笑)。だからどうせなら大きな獅子舞にしようと思って調べてみると、買うと3万円くらいするんですよ。奥さんに相談したのですが、さすがにそれはいらないだろうと言われて、レンタルを調べたら2万円で見つかりました。結局、獅子舞は買わずに借りることにして、結果は大爆笑を取れました。そのとき3万円のものを2万円で借りる私がいるということは、この獅子舞、それまでも相当稼いでいるだろうと思ったのです。

みる兄さん なるほど、回転率は結構高そうですね。

三輪 獅子舞レンタルの一件をきっかけに「レンタルビジネスって面白いな」と感じ、どんなレンタルならニーズがありそうか調べてみました。例えばカメラなら日頃あまり使用しない人はレンタルで十分でしょうし、夏の間だけエアコンや扇風機を借りたり、ルンバを買う前に自分の家に合うかどうかを試したりする人もいます。そんなふうにアイデアがどんどん湧きだして、一定のニーズを感じながら立ち上げました。

みる兄さん

想像以上に大変だったレンタルビジネスの実態

みる兄さん どれくらいの規模感でスタートしたのですか。

三輪 まず大きく、普通に借りて使うレンタルと、お試しの2つの文脈があると思ったので、どちらが流行るかわからないまま、在庫もない状態でカメラやチェキ、高圧洗浄機のケルヒャー、ルンバなど50商品くらいのページを作ってみました。そしたらページを立ち上げて1週間くらいで360度撮影可能な「THETA」(シータ)というカメラの注文が入ったのです。なぜだろうと思ってお客さまに聞いてみたら、競合がいなくて「THETA レンタル」で検索表示1位になっていました。そんな感じでいきなり注文が入り始め、すぐに月商10万~20万円くらいになりました。

みる兄さん レンタルで回しながら事業にするのは意外と盲点とはいえ、何かと手間がかかって面倒くさそうですね。

三輪 想像以上に大変でした。例えば、返ってきた商品のメンテナンス。カメラは大丈夫ですが、ケルヒャーは「こんなに汚れて返ってくるのか」と驚きました。

さらに大変だったのは返送です。お客さまに貸した商品をお客さまに返していただくのですが、返し方がわからない方が当時はたくさんいらっしゃいました。それもそのはずで、今でこそメルカリさんのおかげで、コンビニで一般の個人が当たり前のように発送サービスを利用していますが、2015年頃は宅配便以外でそんなことをする人はほとんどいませんでした。我々も返送用の伝票を入れていて、お客さまに「この伝票と一緒にコンビニに持っていって返送手続きをしてください」と伝えているのに、お客さまはピンと来ないし、コンビニの店員さんでさえ「これをどうすればいいの!?」と戸惑う方もいらっしゃいました。

みる兄さん そこはお問い合わせベースで1つずつ対応していったのですか。

三輪 そうです。きちんと説明していきました。その辺はすごく頑張ったところです。今も返送しやすいUIへの改善を模索し続けています。

みる兄さん 確かにレンティオのUIには、ストレスを減らすことに対する体験設計のこだわりを感じます。こうした面倒くささ軽減への徹底ぶりは、やはり最初に大変な経験をしたことの思いが反映されているのでしょうか。

三輪 はい、そこがまず1つあります。もう1つは、競合調査の結果、返送しにくい設計にしているところが少なくないと気づいたからです。返送しにくいほうが延長料金をもらえる可能性が上がるから、そうしているのだと思いました。

確かに延長してもらえると、短期的には売り上げが上がります。でも、そのお客さまは返送しにくい設計を面倒に感じて、二度と使ってくれないと思います。それでは良くないので、ビジネスとして当たり前ですが、変な手段を使って儲けようとするのではなく、きちんと返送しやすいように設計しました。そのほうが延滞料金をもらえなくても、またレンタルしていただけるのではないかと考えたからです。

みる兄さん 起業当時、あまり潤沢な資金もない段階で、そういうマインドになれたのは何か思い当たるところはありますか。

三輪 楽天時代の経験が大きいと思います。私はECコンサルタントとして1人で150店舗ほど担当していたのですが、継続して売れ続ける会社と、一時期はよく売れるけど次第に落ちていく会社を見ていて、その違いの1つに気づきました。それは当たり前のことですが、お客さまを大切にしているかどうかです。お客さまを大切にしていると、また利用してくれる可能性が上がり、売り上げも継続して伸びやすくなります。さらに、お客さまが「この会社はお勧め」と別のお客さまを紹介してくれるようにもなります。

一方、お客さまを大事にしない会社はほとんどリピーターが来ません。リピーターが来ないから広告を打つ。広告を打つけど、それで利用してくれるお客さまも1回で終わってしまい、また広告を打たざるを得ない――そんなことを繰り返すうちに体力がなくなって、駄目になっていくというパターンでした。

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みる兄さん それは非常に大切なことですね。お客さまと誠実に向き合うことの徹底が、現在のレンティオの人気につながっているのだとわかりました。

次に、起業してからの10年で、ティッピングポイントのような、ビジネスが加速する手応えを感じたタイミングを教えてください。

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残り7,640文字

・レビュー投稿率8%の圧倒的な熱量
・Rentifyで広がるレンティオのネットワーク
・みる兄さんの取材後記|継続的に買われ続ける仕組み:レンティオの成功の秘訣

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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