[最終更新日]

2020/01/14

 

新たなメディア誕生!?BtoB企業が注目するタクシー広告「GROWTH」の進化がすごかった!

画像提供:株式会社ニューステクノロジー

タクシーに乗って料金メーターが上がると流れ始める動画広告。つい見入ってしまう人も多いのではないでしょうか。「車内というプライベート空間で、企業の役職者に1対1で訴求しやすい」などのメリットから出稿を検討するBtoB企業が増えており、注目の広告媒体となっています。

中でも東京都内最大規模を誇る「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(以下GROWTH)は、「広告が流れるタブレット」から編集チームが独自に取材したニュースや情報を提供する「モビリティメディア」へと大きく進化しようとしています。

その狙いは何でしょうか。今回はニューステクノロジー代表の三浦純揮さんに、GROWTHの魅力と可能性について聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧)

    

目次

企業のメッセージを近距離から1対1で伝えられるメリット

――ニューステクノロジーとは、どういう会社ですか。

主にコンテンツクリエイティブ事業、メディアアカウント事業、サイネージ事業の3つの事業を展開しています。弊社には映像制作チームがありまして、テレビCMなどの制作実績があります。そのため、「タクシー広告を出したいけど、流す映像がない」というお客さまには「ニューステクノロジーで映像を制作できます」とお伝えしています。また、マーケティングに力を入れたいBtoBのお客さまには、デジタルエージェンシーのチームが、制作した映像を活かしながらWebサイトを運用して、リード獲得のサポートを行います。3つの事業を合わせると最大の付加価値が生じる仕組みです。


画像はイメージ

――タクシーサイネージ事業を始めるきっかけは何でしょうか。

総合PR会社のベクトルに所属していたときに、ベクトルチャイナ(北京支社)の立ち上げで3年ほど中国にいたのですが、赴任当時の2010年頃から中国のタクシーにはデジタルサイネージが付いていて、それをずっと見ていました。そういう影響もあって、タクシーサイネージ事業に大きな可能性を感じたことがきっかけです。時期としては2018年2月頃からGROWTH設立に向けて動いていました。

――他のメディアと比較して、GROWTHのようなモビリティメディアにはどのような特徴がありますか。

屋外のサイネージと比較しますと、企業の動画広告をプライベートな空間で、近距離から1対1で伝えられるのはモビリティメディアならではの強みではないでしょうか。効果測定に関しても、動画再生完了率やタップ数などを基準にレポートすることも可能なので、その点も他の屋外サイネージとは異なる点だと思います。

また、タクシーはユーザーの属性がわかりやすい点が特徴の1つです。企業の役員ら決済権限のある人が乗車しているか、お金に余裕のある人の利用が他の交通手段と比べて多くなると考えられますので、一般的なマスの屋外広告と比較すると、自然とセグメントされています。

もう1つの特徴は、視聴時間です。タクシーの平均乗車時間は18分と言われていて、PCを開いて仕事をしたり睡眠を取ったりするには少し短いですよね。たまに「新幹線のグリーン車にGROWTHを付けたらどうですか?」と言われるのですが、2~3時間あると仕事をするか、寝てしまう人が多くなるのではないかと思います。

ニューステクノロジーでは映像制作にも対応している。画像はイメージ

――FacebookYouTubeの広告と比較すると、いかがでしょうか。

調査をしたわけではなく、個人的な意見なのですが、PCやスマホとオフラインの環境では視聴体験が本質的に異なると考えています。もちろんオンラインにはオンラインのメリットがありますが、オフラインの個室空間で1対1のコミュニケーションができるGROWTHは、情報の到達率や訴求度という点でオンラインでは得られにくい効果があると思います。

ほかにも媒体運用の特徴としては、ユーザー数=タクシー乗車数となる点ですね。GROWTHはタクシーの乗客に訴求するメディアで、お客さまに見ていただく工夫は必要ですが、乗車の促進に関する集客コストはかかりません。そこは強みです。

今後はみんなのタクシーが展開する配車アプリ「S.RIDE」との連携をより深め、タクシー利用者数を増加させていく必要があります。

画像はイメージ

ラグジュアリーブランドやガジェット系の広告主も

――あらためてですが、ターゲットは経営者や役職者、富裕層ですか。

そうですね。BtoBのお客さまだけでなく、ラグジュアリーブランドや高級車の広告主様からも出稿を頂いています。タクシーをよく利用するのは企業の決裁権者だけでなく、可処分所得の高い方も少なくないので、富裕層向けマーケティングの一環としても活用していただけると思います。

利用者の中心は30~59歳で、男女比はほぼ半々。会社員と経営者で82%を占め、月に4回以上乗車する人が72%に上る。(いずれも東京都内。データ提供:GROWTH MEDIA GUIDE 2020年1~6月)

また、スマートウォッチやイヤホンなどガジェット系の広告主様もいらっしゃいます。それだけタクシーユーザーの消費意欲の高さに期待されていることがわかります。

――顔認識による広告の出し分けについてはいかがでしょうか。

今のところ、考えていません。懸念点が指摘されていることもありますが、顔認識でわかるのは現状、性別や年齢くらいではないかと思います。GROWTHでは、曜日や時間帯で分けるほうがニーズが高いと考えていて、平日の朝だけ、金曜の夜だけ、あるいは土日だけ出稿したいという要望にもお応えしています。

GROWTH NEWSの一例。画像提供:株式会社ニューステクノロジー

「続きはWebで」を避け、コンテンツをリッチ化

――広告を拝見すると、全体的にSaaS系の企業が多いという印象を受けました。ほかには「GROWTH NEWS」なども目を引きましたが、現在どういうコンテンツを流していて、これからどのような素材を扱っていこうとお考えですか。

現在のコンテンツについては、全体のロールを広告→メディア→広告→メディアとサンドイッチの編成にしています。広告はBtoBのお客さまを中心に、継続率約85%と高い数字を維持できています。一方、GROWTH NEWSは全部、自社取材です。

――そうなんですか!取材チームも持っているんですか。

持っています。主に弊社のGROWTH NEWS編集長が中心となって取材先の選定、企画から撮影の段取り、最終のディレクションまでを行っています。

――それは、広告だけ流していても見られなくなるので、サンドイッチで挟むためのコンテンツの幅を広げたいということでしょうか。

はい、広告だけでなく、メディアもこれからどんどん力を入れてコンテンツを面白くしていきます。

――面白くするという点で意識していることはありますか。

「続きはWebで」という見せ方を避け、1つのコンテンツとして最後まで楽しんでいただけるようにしている点はGROWTHの特徴だと思います。タクシーサイネージに関するデータを一番保持しているのは我々ですから、今後はGROWTH NEWSを大きくリニューアルしてコンテンツをリッチ化していく予定です。

GROWTH NEWSの事例。画像提供:株式会社ニューステクノロジー

――どのようにリニューアルするのですか。

現在のサンドイッチ編成は全てのコンテンツがバラバラに独立しています。今後は仮の案ですが、週ごとに1つの特集を組み、テレビ番組のような形にしていきたいと考えています。実は早速2020年1月限定の新しい取り組みとして、NewsPicks Studiosさんと合同でタクシー向け特別番組「Punch Line」を始動させました。内容としては、さまざまな分野で活躍する12人のビジョナリーにインタビューをする企画になっています。

――そうすると完全に1つの媒体を持つ感じですね。特集の内容は、どのようなテーマをお考えですか。

主にビジネスに関することですが、ほかにも季節の話題、例えば春には都内の桜の名所やお花見の情報などをレポーターが紹介する番組も面白そうだと思います。まだアイデアの段階ですが、実現へ向けて着実に進めています。

――運用やコストは大丈夫なんでしょうか。

その辺は大丈夫です。自分たちで映像を制作していますし、もともと映像制作にそれほど費用はかかりません。

出稿事例(『決算!忠臣蔵』松竹株式会社)画像提供:株式会社ニューステクノロジー

継続率の高さと満稿状態が続く理由

――先ほど継続率の高さに関するお話がありましたが、広告主に支持されている理由はどこにあると思いますか。

主に2つあって、1つは費用対効果という点で結果が出ていること。もう1つは、都内の経営層や役職者に対して、プライベートな空間で1対1で訴求できるメディアの代替案が見当たらないことだと考えています。

――これまでのところ、広告主の反応はいかがですか。

ある程度ご満足いただけている結果が継続率の高さとして表れていると思います。ただし、今後タクシー広告を一過性のものではなく、メディアとして確立していくためには努力が必要だと感じています。

本格的な番組作りを始めようとしているのも、メディアとして定着させなければならないと考えているからです。そうすれば、メディアと一緒に広告にもさらに注目してもらえるのではないかと思います。

――GROWTHのコンテンツが見たいからタクシーに乗る人も出てきそうですね。

「来週の特集は何だろうか?」と楽しみにしてくれる人が増えるとうれしいですね。

――わかりました。継続率に関連してですが、ずっと満稿状態が続いていると聞きました。実際のところいかがでしょうか。

おかげさまで2019年9月から今年3月までずっと埋まっています(2019年12月現在)。ただ、現在は実際に出稿していただいている広告主様からの紹介で出稿されているケースもあります。我々としてはタクシー広告という媒体をフルに活用していただきたいので、どのような広告主様がタクシー広告と相性が良く、効果を最大限に出していくことができるかに関して、広告主様と一緒に考えていかなければならないと思っています。

例えば、ある高単価の商材を扱っている広告主様のケースでは、1カ月800万円(当時は1週間200万円)ほど出稿していただいた結果、3億円くらいの売り上げがあったそうです。そんなふうに高単価の商材がうまくはまったときのROIはかなり強いと言えます。広告主様はその点に魅力を感じていただけているのだと考えています。

画像はイメージ

ラクスルと提携して、マーケティングサポート

――今後タクシー広告を当たり前のものにしていくために、マーケティング観点で取り組んでいることはありますか。

広告主様ともっと向き合うべく、ラクスルさんと業務提携をしまして、GROWTHでのメディアプランニングからタクシー広告向けのクリエイティブの制作、広告配信までをトータルしたマーケティングサポートを始めました。つまり、まず全体のプランニングをして、ABテストで効果検証をしながらタクシー広告を出稿しましょうという提案です。

メッセージの打ち出し方、映像の作り方などをデジタルマーケティングの観点で設計し、サービスとして提供することで、広告主様の満足度をより高められる施策が打てるようになると考えています。

出稿事例(NewsTV)。画像提供:株式会社ニューステクノロジー

コンテンツの長尺化でテレビCMには出せないバリューを

――いろいろと展望が開けますね。ほかにはどのようなプランをお考えですか。

1つ考えているのは、映像の長尺化です。企業のマーケティングはテレビ中心で、大半の動画は、テレビCMの尺に合わせることが多いと思うのですが、タクシーという環境は、1対1のプライベート空間になりますので、コンテンツが長尺化してもユーザーに受け入れられやすいのではないかと考えています。

1分や2分、あるいはもっと、10分くらい続いても本当は良くて、長尺なコンテンツによってテレビCMには出せないバリューを発揮できる可能性があるのではないかと考えています。

出稿事例(NewsTV)。画像提供:株式会社ニューステクノロジー

――チャレンジングですね。

そうですね。でも、おそらく長尺コンテンツは増えていくと思います。これまで30秒のCMでは企業名やサービスの認知度を上げるところで止まっていたケースでも、10分くらいの特番を作って訴求することで、売り上げの向上につなげられるのではないかと考えています。ラクスルさんとの業務提携もそこがポイントで、企画の提案やクリエイティブの良しあしまでを我々がサポートし、売り上げ増に貢献できるような仕組みを作れるよう取り組んでいきたいです。

――反応の良いクリエイティブの特徴は何でしょうか。

ネガティブなアプローチはあまり反応が良くないかもしれないです。
業種によっても異なりますが、タクシー広告の利点の1つは、繰り返しユーザーに接触することで、名前を覚えてもらいやすいということが挙げられます。そういう意味では社名やサービス名を繰り返して訴求している動画は、比較的効果が高い傾向があります。


(撮影:早川)

ユーザーにもっと寄り添うメディアへ

――最後にあらためて、GROWTHの今後の展望をお願いします。

先ほどもお伝えしたように、メディア化を進行させて、ユーザーに役立つ番組の中に広告が出ているという形にしていきます。今もニュースなどを流しているとはいえ、広告がメインになってしまっています。そうではなく、見ている人の役に立ったり、楽しくなったりするような情報を提供して、ユーザーにもっと寄り添ったメディアへと進化させていきます。

――これからが楽しみです。本日はありがとうございました。

THE TOKYO TAXI VISION GROWTH
東京都内最大規模のモビリティメディア。東京23区内のビジネスパーソンを中心に、タクシーサイネージを通して広告情報を提供している。サイネージ設置台数は、2020年4月に全国で1.2万台に到達する見込み。

Profile
三浦純揮
株式会社ニューステクノロジー代表取締役。
1988年生まれ、北海道出身。新卒で総合PR会社のベクトルに入社。入社1年後にベクトルチャイナ(北京支社)の立ち上げに参画。帰国後ベクトル傘下のPR会社アンティルで活躍後、2018年3月からニューステクノロジー社の代表に就任。

[記事執筆者] 早川巧
株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writerとして四半世紀以上のキャリアあり。Twitter:@hayakawaMN

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