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Instagram施策で売上苦戦中の企業におすすめ!「ファン中心」のマーケティングとは【寄稿・富田竜介】

最終更新日:2024.04.19

情報発信や顧客とのコミュニケーション、ECサイトへの流入増加などを目的として、企業によるInstagramの活用が進んでいます。しかし、「きちんと成果を上げられている企業は少なく、ほとんどのアカウントは苦戦している」「現状維持程度の成果しか期待できない中途半端なInstagram活用ではもう厳しい」と、Instagramのアカウント運用やマーケティング支援を行う株式会社ハピラフ代表取締役CEOの富田竜介さんは言います。

多くの企業がInstagramの活用に苦戦する理由とは何でしょうか。今回は、Instagramが置かれている現状も踏まえて、企業の課題や成果を上げるためのポイントを富田さんに寄稿いただきました。

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

Instagramの現在置かれている状況

写真共有から始まり、ストーリーズ機能の実装などで大きく飛躍したInstagram。国内でも月間3,300万MAU(2019年時点)超のユーザーが利用していて、そこからさらに拡大しています。

しかし、ショート動画が流行り、TikTokが台頭。そして2021年7月にはYouTube Shortsが登場。

Instagramでも2020年8月にReelsがローンチされましたが、思ったよりも利用者が伸びず、短尺動画が馴染んでいません。まさにTikTok人気に押されている状況です。

そんなInstagramでは、最近新規参入のハードルが上がっており、投稿のクオリティを上げないと厳しい状況になっています。その理由は大きく2つです。

1つは、Instagramが投稿の初速やエンゲージメント数を重視するアルゴリズム変更により、投稿のリーチ数が伸びづらくなっていること。

もう1つは、アカウント数の増加に伴い、Instagram内のコンテンツが供給過多になっていること。大抵のユーザーは、一定数のアカウントをフォローしていて、すでに満足している状態です。そのため、新しいアカウントが登場しても、投稿のクオリティが高くなければ、フォローされにくくなっています。

新規参入アカウントは、既存のアカウントよりも投稿のクオリティを上げないと、フォローされにくい状況にあるのです。

企業のInstagram活用の課題

そうした中で企業はInstagramをマーケティングに活用し、売上を上げようとしていますが、うまくいっている企業は少ないと感じます。

理由としては大きく3つあります。

1. 施策が点になっている

Instagramをマーケティングに活用する際は様々な施策があります。大きく分けるとインフルエンサー(クリエイター)タイアップ/ギフティング、広告配信、アカウント運用(ブランド、メディア)の3つです。

Instagramマーケティングで売上最大化を目指す際は、この3つの施策をうまく組み合わせて行うことが重要です。

しかし多くの企業では、3つの施策のどれかが欠けていたり、例えば「インフルエンサーの施策だけ」「アカウント運用だけ」のように施策が点になっていたりして、施策同士がうまく繋がっていない傾向にあります。成果を上げるためには、Instagramの施策は点でなく円で捉える必要があると思っています。

2. 経営陣と現場の目線や足並みが揃っていない

Instagramに限らず、全てのマーケティング施策において同じことが言えますが、施策を大きく動かす際は経営陣と現場の目線や足並みを揃えることが非常に重要です。

しかし、様々な企業のInstagram運用担当者や経営者と話していると、大きく2つの理由でうまくいかないケースが多いと感じています。

1)経営者の勉強不足

InstagramをはじめとするSNSは日々アルゴリズムも機能もアップデートされています。そのため、運用担当者は理解していることでも、経営者側が知らないというケースはよくあります。

企業がInstagram活用で成果を上げるには、経営者も逆メンター制度などを活用し、きちんと今のInstagramを理解することが必要です。

2)横断的管理者の不在

Instagramの活用がうまくいっていない企業では、アカウント運用はコンテンツ事業部、広告運用やインフルエンサー施策はマーケティング事業部が見ていて…といった形で施策が点になっているケースがよくあります。

複数の部署をまたいで施策が動いていて、互いに意思疎通が取れておらず、施策によって方向性の違いが出ているケースでは、事業部をまたいだ横断的管理者がいないことにより、施策が最大限成果を発揮できていません。

「経営者の勉強不足」「横断的管理者の不在」の2点を解決することで関係者の目線や足並みが揃い、Instagramマーケティングの効果最大化ができると思います。

3. KPI/KGI設計がうまくできていない

フォロワー数をKPIに設定し、フォロワーを増やすことに躍起になっていませんか。Instagramの目標設計が直近は大きく変わってきています。アルゴリズムが変わったことにより、フォロワーではなくエンゲージメントの数が評価対象になったため、フォロワー数の追求は時代からそれています。

今はフォロワーを増やすというより、投稿に対して反応をしてくれる熱量の高い人(=ファン)にいかにフォローしてもらえるかが大事です。

「フォロワーを増やす」というKPIにすると、フォロワー数だけに目が行き、キャンペーン施策などを打ち出して、結果としてファンにはならない方のフォローが増えるおそれがあります。すると投稿してもエンゲージメントが少なく、中長期でコンテンツが伸びづらくなります。

※編集部注:アルゴリズムの変更点については、以下の記事で詳しく解説いただいています。
アルゴリズムの変動に左右されにくい、Instagramのアカウント“必勝”運用術――ハピラフ代表取締役CEO・富田竜介インタビュー

Instagramマーケティングで売上を上げ続けるには

色々と目を背けたくなるようなことを書いてきましたが、昔よりもInstagramを活用してフォロワーを増やしたり、売上を上げたりするハードルは高くなっています。

しかし、企業としてInstagramに取り組むからには、利益の増加を求められる場合が多いでしょう。ここからは、売上を上げ続けるためにやるべきことをお伝えします。

1.One Teamな組織体制を

経営陣がSNSへの理解を深め、現場との目線を揃えることが大事です。支援会社に支援を依頼するのであれば、支援会社とも目線を揃えましょう。

目線を揃える方法としては、経営陣も進捗ミーティングに参加するのがおすすめです。

事業への理解はもちろん、いつまでにどのような目標を達成しようとしていて、何をしなければならないのか。各担当者が担っているKPIは何か。他社のInstagramアカウントの現状やアルゴリズムの状況はどうか――そうしたことを進捗ミーティングで確認するのがいいと思います。

また、支援会社は「Instagramのプロです」というだけでは機能しづらいフェーズだと思っています。アルゴリズムが変化しているにもかかわらず、「フォロワーを増やします」「インフルエンサーを活用しましょう」などと点の施策を提案する支援会社は、個人的には時代遅れかなとも感じています。

企業やブランドが向いている方向を理解し、施策を点ではなく円として捉えて連続性のある提案をしてくれる支援会社を選ぶのがいいと思います。

なお、事業部ごとにInstagramの施策を展開している場合は、統括する管理者がきちんと横断して同じ方向を向いて施策を実行できるようにしましょう。

2. 施策はファンを中心に置き、円を描くように

アカウント運用、広告運用、インフルエンサーマーケティングなどの施策が点になっている企業が多いので、真ん中をファンとして円を作るように施策を展開しましょう。

よくある施策例として、とにかくコンテンツをたくさん出したり、コミュニケーションの数をたくさん増やそうとしたりするケースがあります。

しかし、中心にファンを置かずに施策を考えてしまうと、誰のためのコンテンツで、何のためのコミュニケーションかが忘れられがちです。ファンが求めているコンテンツやコミュニケーションを前提として施策の数を増やしていかないと、円の中心となるファンも増えていきません。

画像作成:編集部

施策はファンを中心に考えましょう。そのためにも、フォロワーの方との日々のコミュニケーション、実際にサービスやブランドを使ってくださっている方に対するヒアリングの実施などが大切です。

3. 短期的目線でなく中長期的目線で取り組む

TikTokなどのコンテンツファーストなプラットフォームの登場で、Instagramの役割がフォロワー獲得→ファン獲得にシフトしてきました。

短期でファンを作ることは難しいので、結果としてInstagramの施策も短期から中長期的なものに変化していると思います。

少なくとも半年から1年はファンが求めるコンテンツやコミュニケーションを意識した施策を継続的に行うことで、円の中心となるファンが少しずつ増え、それに伴って自然発生的なUGCも増加するでしょう。

ただ、企業としては短期的な施策も大事になってくるため、そこは広告で補い、役割分担するのがいいと思います。

ここで事例を2つご紹介します。

1つめは広告運用だけでInstagramの活用に取り組んでいた企業のお客様にて、ハピラフがアカウント運用とインフルエンサーマーケティング(タイアップ/ギフティング)の支援に入り、広告にもタイアップ配信を活用した事例です。

運用から1年で、CPAを1000円ほど圧縮したうえでCVを150件ほど増やすことができました。

もう1つは、弊社で運営しているECモール「鎌倉ライフ」のInstagramアカウント(@kamakulife.jp)の事例です。ギフティング施策を実施し、それらをアカウント運用に取り入れながらブランドタイアップ広告でも活用することで、ECモールへの遷移数やリーチ数、フォロワー数が増加し、売上に寄与しました。

このように、3つの施策を継続的に取り組むと、成果を出すことができます。

終わりに

Instagramは「好きと欲しいをつくる」プラットフォームのあるべき姿に戻ってきたと感じています。

短期で成果を見ようとするのはもう終わりです。短期的ではなく中長期的な関係で、フォロワーというよりファンをどう増やしていくかが大事になっています。

そして、コンテンツが供給過多になっている今のInstagramで施策を中途半端に実施すると、投稿のクオリティが足りずに埋もれてしまい、さらにはフォロワーとのコミュニケーションも足らず、ファンになってもらえません。

この記事を読んでくださった方が、現状維持ではなく、常に進化を求めてInstagramと共に成長できるよう願うばかりです。

【Profile】

富田 竜介(とみた・りゅうすけ)
株式会社ハピラフ 代表取締役CEO。
2016年、サイバーエージェント子会社のマイクロアドに新卒で入社。広告運用と新規開拓営業に従事した後、2017年にD2Cベンチャーのマーケティング部に転職。2018年よりフィットネス系のスタートアップ企業にてマーケティングの事業責任者を務め、事業の拡大に貢献。2019年にブライダル系のスタートアップ企業に転職し、同年10月に合同会社ハピラフを立ち上げ、代表に就任。2020年6月より、クックパッドに新規事業のマーケターとしてジョインし、同年12月に株式会社ハピラフを登記。2021年1月にクックパッドを退職後、完全独立し、現職に至る。
Twitter:@tommy_output
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC-7yeBSVfYVxh5o5ZLV9P2Q
※社名は記事公開当時。株式会社ハピラフは2024年3月に株式会社TaTapへ社名を変更しています。

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