自信に満ちた力強い言葉から感じられる並々ならぬ情熱とエネルギー。TENTIAL(テンシャル)代表取締役CEO中西裕太郎さんを取材して、はるか高みを目指すスタートアップの気持ちのいい野心と向上心を肌で感じることができました。
テンシャルはスポーツ・ウェルネスメディア「SPOSHIRU」と、インソールやマスク、スリープウエアなどのウェルネスD2Cブランドを事業展開する会社です。これまでもD2Cの世界では有名でしたが、コロナ禍でマスクがヒット商品になるなど事業拡大に伴ってクローズアップされる機会が増えてきました。なぜ今テンシャルが注目されているのでしょうか。今回はテンシャル代表取締役CEO中西裕太郎さんに話を聞きました。
(取材・構成:Marketing Native編集部・早川 巧、文:椎原 よしき、撮影:矢島 宏樹)
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アスリート経験者だから気づいたビジネスチャンス
――TENTIALの愛用者が私の周りにもいまして、プロダクトは良いし、会社も注目されていると聞き、興味を持ちました。まず起業のきっかけから教えてください。
私自身がサッカーでプロ選手を目指していた原体験があります。子供の頃からサッカーに夢中で、埼玉県の強豪高校に特待生として入学し、インターハイにも出場しました。しかし17歳で心臓の病気を患いサッカーを続けられなくなったため、代わりに夢中になれることを探していたところ、アメリカのオバマ大統領(当時)が若い世代に向けて「ゲームを買う代わりに、自分で作ってみよう」「プログラミングを学ぶことがアメリカの未来を作る」という趣旨の話をしているのを見て感動し、そこからプログラミングにのめり込みました。
その後、プログラミング学習サービスを手掛ける会社の創業メンバーとして参画したり、リクルートで事業開発をしたりしながら起業の準備を進め、2018年2月にテンシャルを創業しました。ビジネスというスポーツ以外の分野で自分を評価される経験がうれしかったのと、プログラミングの追求によって自分が他人の人生に良い影響を与えられるのであれば、その影響力の幅を広げたいと考えたことが起業の原動力になっています。
――健康・ウェルネス領域を選んだのは、アスリートとしての経験からですか。
アスリートの多くはトレーニングや健康に関する豊富な知識やノウハウを持っていても、その知見をWebで発信できる人はそれほど多くありません。私自身、アスリートが当たり前のように考え、実行していることも、スポーツ以外の世界ではあまり知られていないと感じていましたので、そうした情報をデジタルで発信すれば、アスリートと一般の人たちの間にある情報の非対称性を埋めることができるし、そこにビジネスチャンスがあると目をつけました。ただの思い込みと言われるかもしれませんが、自分たちにしかできない独自性だと信じています。そこで、アスリートと同レベルの知見を持ち、かつデジタルに強いビジネス集団を作ろうと考えたのです。
――とはいえ、健康・ウェルネス領域でデジタルを活用しながら事業を展開する企業も増えていますし、今後競争環境が厳しくなりそうです。
大切なのは顧客解像度だと思います。その点、お客さまのことを本質的に理解できている企業はまだ少ないと考えています。我々は自社のWebサイトやメディアなどを通して日々お客さまと接しながら大量のデータを集めて分析していますので、変化を続ける顧客ニーズをいち早くつかむスピード感や正確性において、どこにも負けない強みを持っていると思います。
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