「C CHANNEL(シーチャンネル)」は、F1層(20~34歳の女性)をターゲットにメイクやヘアアレンジ、レシピ、コスメなど幅広いカテゴリーの情報を発信する、日本最大級の分散型動画メディアです。2015年のサービス開始以降、縦型動画メディアの先駆者として数多くのコンテンツを配信し続け、その本数は10万本にも上ります。
今年(2020年)8月に発表されたアプリサービス終了のニュースは、大きな驚きをもって受け止められました。今後はSNSの運用強化と、インフルエンサーサービスの提供に集中すると言います。では、具体的にどのような取り組みを検討しているのでしょうか。
今回は「C CHANNEL」が人気の理由やほかのメディアとの違いに迫るべく、「C CHANNEL」の編集長を務める松崎美緒さんにコンテンツ制作で意識していることなどを伺いました。
(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美、撮影:海保竜平)
※肩書、内容などは記事公開時点のものです。
目次
5つのカテゴリーを主軸に、月間約100本の動画を配信
――松崎さんはメディア「C CHANNEL」のSNSアカウントの運用担当などを経て、編集長(メディア部長)に就任されたと聞いています。編集長になるまでの経歴と、現在のお仕事の内容を教えてください。
2016年2月にアルバイトとして入社し、当初はユーザーの方々から「C CHANNEL」に来るお問い合わせに対応したり、動画の編集や配信などのオペレーション業務を担当したりしていました。
その後、雇用形態が変わって正社員となり、「C CHANNEL」のSNSアカウントのグロースを3年ほど担当しました。現在は「C CHANNEL」の編集長として、副部長とともにメディアの運営チームとコンテンツの制作チームを統括しています。メディアの運営チームが社員とインターン生合わせて15名程度、コンテンツの制作チームが社員とインターン生合わせて10名程度のチームです。
そして、メディアの方針や戦略の策定、配信する動画の企画・編集の統括を行っているほか、SNSアカウントの運用についても見ています。
――御社で制作する動画だけでも相当な数があると思いますが、全部チェックされているのですね。
はい、弊社で制作する動画はすべてチェックしています。ヘアアレンジ・メイク・ネイル・レシピ・コスメの5カテゴリーを主軸に、月間で100本くらいの動画の撮影や編集、配信を行っています。
なお、「C CHANNEL」が抱えるクリエイターの方々が作成した動画も含めると、「C CHANNEL」には10万本ほどのコンテンツがあります。
――動画はどのような流れで制作していますか。
企画の立案後、ディレクターが動画の撮影・編集を行い、動画を配信します。動画を配信した後は効果測定や振り返りの会議を行い、次の企画に活かしていく…という流れです。大体2カ月のスパンで動いており、今作っている企画は翌月撮影し、配信するようなイメージです。
――「C CHANNEL」に掲載する動画を制作し、そちらをもとにプラットフォーム別に加工して配信するイメージで合っていますか。
はい。そのまま流すこともあれば、編集を加えて配信することもあります。SNSのプラットフォームごとに、ユーザーに受け入れられやすいトンマナやクリエイティブにアレンジし、配信しています。
例えば、Instagramのフォロワーには海外ユーザーが多いため、投稿するコンテンツはテロップにあまり頼らず、視覚的に理解できるように意識しています。一方YouTubeは、日本のユーザーに見ていただくことが多いため、情報がたくさん盛り込まれていることがわかるように、あえてテロップを多めにすることがあります。
画像出典:cchannel_food
――編集長をやっていて、大変だと思うことはありますか。
F1層をターゲットにコンテンツを制作しているので、トレンドの移り変わりが激しく、追い付くためには体力が必要だと感じています。それが楽しい面でもありますが、ソーシャルメディアの活用法はユーザーのライフスタイルの変化によって変わっていきますし、人気のコンテンツも移り変わりが速いです。
――トレンドは大体どれくらいの期間で移り変わるのでしょうか。
一概には言えないのですが、1年ほど続く息の長いトレンドがあれば、1カ月くらいで終わってしまう短いトレンドもあります。感度の高いユーザーの方々となると、2~3カ月前のメイクを紹介しても「これは○○でも見た」となって、良い反応が得られません。
――トレンド情報はどのようにキャッチアップしていますか。
まず、トレンドには2つの種類があると考えていて、私たちは「規定型トレンド」と「自然発生型トレンド」と呼んでいます。「C CHANNEL」ではこの2つのトレンドを追いかけています。
「規定型トレンド」は、もともと決まっているトレンドのことです。ファッションやメイクは次に流行する色などがあらかじめ決まっています。それを海外ブランドやセレブ、雑誌が取り上げ、やがて百貨店、ファストファッションなどでもその色を取り入れたアイテムが販売されるようになり、ユーザーに届く仕組みです。
一方の「自然発生型トレンド」は、気が付いたらユーザーの中で流行していたようなトレンドを指します。
「規定型トレンド」については、百貨店に入っているアパレルブランドから、ファストファッションなどのその他ブランドに伝わっていく過程で、「C CHANNEL」のユーザーやターゲットに合いそうな情報をキャッチアップし、彼女たちが使いやすい形にして伝えます。
「自然発生型トレンド」は、SNS担当の社員やインターン生からヒアリングし、「こんな投稿が増えている」「これが少し流行し始めている」といった形で、各プラットフォームで流行しているものを教えてもらいます。特にヘアアレンジやメイクの企画では、メンバーからの情報を重宝しています。
また、弊社のインフルエンサー事業が運営するプラットフォーム「Lemon Square(レモンスクエア)」に所属するインフルエンサーの中には美容やファッションの情報に対する感度が高い方もいるので、アンケートを取ったり、意見を聞いたりしてトレンド情報をキャッチアップすることもあります。
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