インフルエンサーマーケティングは、ユーザーに強い影響力を持つインフルエンサーに自社商品やサービスを宣伝してもらい、消費者にアプローチする手法です。かつてはYouTuberによるタイアップ広告がよく知られていましたが、近年はInstagramやTwitterなどでも見かけられるようになっています。
今回は、インフルエンサーマーケティングが注目される理由をはじめ、海外の活用事例、実施する際のポイントについて解説します。
目次
インフルエンサーマーケティングが注目される理由
インフルエンサーを起用したマーケティングは、YouTuberによるタイアップ広告を中心に、注目を集めてきました。ここまでインフルエンサーマーケティングが浸透してきた理由は、まず、SNSが普及したことで、一般のユーザーによる情報発信が盛んになったという点が一つです。
そして、ユーザーの購買行動や情報収集の仕方が変化してきたことも、インフルエンサーマーケティングが注目されるようになった理由として挙げられます。ユーザーは検索エンジンやSNSを利用して自ら情報を収集し、商品を購入するかどうかを決めるようになっています。テレビCMや雑誌の広告による宣伝よりも、家族や友人の口コミ、インターネット上に掲載されているレビューのほうが信頼できると考える人も多くいます。そのため、インフルエンサーによる口コミは、彼らをフォローしている人たちに受け入れられやすいというメリットがあります。
また、ターゲットユーザーに強い影響力を持つインフルエンサーを起用すれば、ほかの広告手法よりも高い確率でターゲットユーザーにアプローチできる可能性があります。
インフルエンサーマーケティングの活用事例
インフルエンサーマーケティングを活用した事例は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。今回は海外におけるインフルエンサーマーケティングの事例をご紹介します。
THERE IS SOMETHING INSIDE THE CAKE!!
スウェーデンのピューディパイ(PewDiePie)は、ビデオゲームの実況動画で人気を獲得してきた、チャンネル登録者数6400万人以上のYouTuberです。ピューディパイが投稿している動画にも、インフルエンサーマーケティングの事例があります。ピューディパイの26歳の誕生日に、SONYから誕生日ケーキが贈られ、中に彼専用に作られたPlayStation4用のコントローラーが入っているという内容です。
PlayStationの認知度自体はすでに高いものの、アメリカにおけるゲーム機の月間売上数(2018年1月)はPlayStation4 が約40%であるのに対し、MicrosoftのXbox Oneが約39%と、その差はわずかです。そのため、ピューディパイのように多くのチャンネル登録者数を抱えるYouTuberから紹介されることは、SONYのブランド戦略の一つであったと考えられます。実質、『THERE IS SOMETHING INSIDE THE CAKE!!』は380万回以上再生されており(2018年7月時点)、Facebookでも拡散され、アメリカのメディア『Entertainment Weekly』にも取り上げられました。第8回Shorty Awardsインフルエンサー&セレブリティキャンペーンのファイナリストにも残っています。
PLAYSTATION: HAPPY BIRTHDAY PEWDIEPIE SHORTY AWARDS
My Tales of Whisky
イギリスに本社を構える酒造メーカーのDiageoは、俳優を起用したYouTube動画によるインフルエンサーマーケティングを行いました。「My Tales of Whisky Official」というアカウントで動画を投稿しており、そのうちの1本は、俳優のニック・オファーマンが椅子に座ってウイスキーを飲む姿を44分間撮影したものです。これは、アメリカのコメディ番組「Parks and Recreation」でニック・オファーマンが演じているキャラクターイメージを使用した動画で、2016年の第8回 Shorty Awards(ソーシャルメディアコンテンツの賞)でベストインフルエンサー&セレブリティキャンペーンを受賞しています。
得られた効果
「Yule Log」は発売日にFacebookのトレンドトピックになりました。また、YouTubeの視聴回数は2日間で100万回を記録し、その後1週間で200万回まで増えたほか、YouTubeチャンネルの登録者は5500人から2万3000人に増加したと言います(2018年7月時点では4万人以上)。
MY TALESOF WHISKY YULE LOG SHORTY AWARDS
インフルエンサーマーケティングを実施する際のポイント
インフルエンサーマーケティングは、ただ有名な人を起用すれば成功するというわけではありません。実施する際のポイントをお伝えします。
KPIを設定する
インフルエンサーマーケティングを企画する段階で、「ブランドの認知度拡大」や「顧客の新規獲得」といったKPIを定めることが大切です。定めたKPIによって、最適なメディアもアプローチ方法も変わってきます。
ターゲットユーザーへのアプローチに的確なインフルエンサーを起用する
インフルエンサーマーケティングにおいて重要な鍵となるのが、起用するインフルエンサーの存在です。効果的なインフルエンサーマーケティングを行うためには、インフルエンサーの持つ影響力(フォロワー数、チャンネル登録者数など)も重要ですが、ターゲットユーザーから支持されているか、関心を持たれている存在かどうかを見極めましょう。
プロモーションであることを明示する
インフルエンサーを起用し、プロモーションを行う場合は、ハッシュタグや説明文に宣伝であることを明記してもらうようにしましょう。宣伝であることを明示せず、商品紹介などを行う手法はステルスマーケティングと呼ばれています。
PR用のハッシュタグを作成する
SNSの中でもInstagramを利用する場合は、投稿にURLを掲載することができず、タイムライン上に情報が流れていってしまいがちです。そこで、宣伝用のハッシュタグを作成しましょう。キャンペーンとして打ち出すことができ、タイムライン上で流れてしまっても、ハッシュタグで検索してもらえる可能性があります。
インフルエンサーへの依頼にサービス会社を利用する
自社で直接交渉し、インフルエンサーに依頼することも可能ですが、うまく連絡が取れなかったり、依頼するのに最適な人物を見極めるのが難しかったりする場合もあります。そのため、インフルエンサーマーケティングを支援するサービスを提供している企業に依頼するのも、一つの手です。
サービス会社を利用すると、宣伝の目的や商品・サービス、予算に合わせて最適なインフルエンサーを提案し、仲介してくれます。インフルエンサーやモデル、専門家と宣伝したい企業をマッチングするアプリも登場しています。
なお、海外のインフルエンサーアウトリーチツールに関しては、下記の記事でも取り上げています。参考にご覧ください。
被リンクの設置によるSEO効果とGoogleに評価されるためのコツ
インフルエンサーはターゲットユーザーとの属性を考慮
インフルエンサーを起用したマーケティングは、YouTubeをはじめ、TwitterやInstagramなどさまざまなSNSで見受けられるようになりました。かつてはフォロワー数・チャンネル登録者数の多いインフルエンサーに企業の依頼は集中しがちでしたが、近年は中堅クラスのインフルエンサーを起用する企業も多くなっています。フォロワー数やチャンネル登録者数が多いインフルエンサーを起用しても、ターゲットユーザーとフォロワーの属性が異なると、最大限の効果が期待できないためです。また、自社の商品やサービスを共感して利用してくれているインフルエンサーに依頼する企業もいます。
インフルエンサーの見つけ方はさまざまですが、自社でキャスティングするのが難しい場合はサービス会社を利用しても良いでしょう。商品やサービスを魅力的にアピールしてくれるインフルエンサーを起用できれば、認知度拡大や商品の売り上げ増加といった効果が得られるかもしれません。