『沈黙のWebマーケティング』や『沈黙のWebライティング』などの著書をはじめ、Webマーケティングに関する各種セミナーで知られるウェブライダーの松尾茂起さん。私も松尾さんの著書を読み、セミナーに参加し、ウェブライダーがつくるリッチコンテンツを読んでWebライティングを学びました。
松尾さんがこのほど、「ウェブライダー第二章」に進むとツイートしているのを見て気になり、話を伺いました。AIの進化によって、まるで人間が書いたような文章の作成が可能になった時代を迎え、ウェブライダーはコンテンツづくりをどう考え、価値をどこに見いだそうとしているのでしょうか。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:海保 竜平)
目次
価値を見える化するコンテンツ制作
――ウェブライダーとはどんな会社なのか、あらためて紹介をお願いします。
ウェブライダーはWebマーケティング支援をしている会社です。中でもお客さまの商品やサービスの価値を見える化するコンテンツ制作を得意にしています。
ウェブライダーが考える「マーケティング」とは、商品やサービスと、それを求める人たちのマッチング精度を高めるためにアクションをすることです。例えば、検索する人のニーズと商品・サービスの訴求がマッチすると、エンドユーザーとクライアント企業の間にWin-Winの関係をつくることができます。そのマッチング精度を高める方法の1つがSEOで、我々はずっと注力してきました。
ただ、事業としては広告運用もすれば、ランディングページもつくりますし、イベントのプロデュースや商品設計も行います。つまり私たちは、お客さまの商品・サービスが伸び悩んでいるときに、コンサルタントとしてマーケティング全般のアドバイスを行う会社です。
――記事コンテンツの制作以外にもいろいろとやっているのですね。
はい。記事コンテンツだけでなく、マーケティング全般に関するアドバイスを私たちができるようになったのは、実はずっとSEOと向き合い続けてきたからです。SEOによって最大公約数のユーザーが何を考えているかを追求していくと、世の中のニーズが見えてきます。そのデータをもとにマーケティングと向き合えば、大体外しません。
最近では自社で毎年開講している講座のタイトルを「SEOライティング超集中講座」や「SEO超集中講座」から「SEOベースマーケティング超集中講座」という名前に変えました。この名前は、SEOを起点としてWebマーケティングを捉えてみようという考えに由来しています。SEOを意識したコンテンツづくりで得たユーザー理解や商品理解の知見を、SEO領域だけで使うのはもったいない、もっとWebマーケティング全体のアクションに活かしましょうという内容です。
――SEOというと、少しネガティブな捉え方をする人もいますが、それについてはどう思いますか。
もしSEOという施策がブラックに映るのだとしたら、それは誤ったSEOの理解が背景にあるからだと思います。「検索エンジンをハックする」という土台の上に考えが成り立っていて、そもそもの検索エンジンを使うユーザーの視点が欠けています。また、「ユーザーのため」と言いつつ、実際には利己的に検索エンジンを攻略しようとしているケースもまだまだあり、一部の人たちの言動不一致な姿勢がSEO=ブラックという印象をつくり上げているのかもしれません。
私は「ハック」という言葉を扱う際には注意していて、「ハック」をポジティブに解釈すると、「便利にするためのコツ」になりますが、SEOのみならずマーケティング業界で使われるハックという言葉は、時として「裏をかく」「うまくやる」のように使われがちです。検索エンジンのアルゴリズムの裏をかこうとするのではなく、検索エンジンを使うユーザーにとって、検索エンジンがより便利なツールとなるためのお手伝いをする、その意識こそがSEOにおいては重要です。検索エンジンと共存し、検索ユーザーが幸せになる道を探っていくことこそがSEOの本質だと考えています。
ウェブライダーが考える「良いコンテンツ」とは
――「ウェブライダーが考える良いコンテンツとは何か?」と聞かれたらどう答えますか。
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