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「第3のラテ」に真打ち登場!?人気の「抹茶ラテ」市場に参入した“お茶の伊藤園”の勝機と自信

最終更新日:2022.04.21

ペットボトル飲料市場で「抹茶ラテ」が人気です。「カフェオレ」「ミルクティー」に続く第3のラテ飲料として注目を集めています。

2022年3月28日、この市場に満を持して参入したのが伊藤園の『TULLY’S COFFEE 抹茶がおいしい抹茶ラテ』です。

強力な先発ブランドがすでに名を連ねる中、伊藤園はどこに勝機を見いだして第3のラテ飲料市場に乗り出してきたのでしょうか。伊藤園マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャーの安田哲也さんに伺いました。

(取材・文:ライター・箱田 高樹)

目次

本当に美味しい抹茶ラテが求められる時が来た

2021年に発売された『綾鷹カフェ 抹茶ラテ』(コカ・コーラシステム)、『クラフトボス 抹茶ラテ』(サントリー)がいずれも販売好調でヒット商品になるなど、ペットボトルの抹茶ラテ飲料がブームです。

人気の背景のひとつに考えられるのは、コロナ禍におけるストレス解消ニーズの高まり。都市部を中心にリモートワークが広がり、自宅にいる時間が増えた結果、居酒屋やカフェなどに気軽に立ち寄る機会が減りました。甘さとミルクがリラックス感を醸し出すラテ飲料は、飲み物本来の美味しさに加えて、こうしたステイホームのストレス緩和の一助としても愛飲されているようです。

また、数年前から「アメリカでブーム」と言われてきた抹茶が、日本のペットボトル飲料のフレーバーとして定着してきたことも人気を後押ししていると考えられています。爽やかな口当たりの抹茶フレーバーは、昔から抹茶アイスなどスイーツに広く利用されてきました。近年はペットボトル飲料でも見られるようになり、緑茶や烏龍茶などと同様、多くの人たちに親しまれるようになっています。

こうした時代の流れを受けて抹茶ラテ市場に参入してきたのが、茶葉の卸・流通業をルーツにし、ロングセラーブランド『お~いお茶』で有名な伊藤園です。『TULLY’S COFFEE 抹茶がおいしい抹茶ラテ』は、抹茶ラテブームの中、満を持して発売された自信作。伊藤園マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャーの安田哲也さんはこう語ります。

「“後発”と言われますが、弊社はもう20年以上前から抹茶ラテ飲料を販売してきました。しかし、当時はタイミングが早すぎたせいか、残念ながら市場に根づかせることはかないませんでした。今回は再チャレンジの時が来たと捉えています。抹茶ラテブームが定着しつつある今、さらに抹茶感とラテ感を味わいたいお客さまが育っているだろうと予測しているからです」

▲「抹茶感とラテ感を味わいたいお客さまがターゲット」という『TULLY’S COFFEE 抹茶がおいしい抹茶ラテ』。480mlペットボトルで希望小売価格は173円(税込)。

「これがタリーズと伊藤園の本気」をTwitterで拡散

抹茶の美味しさを左右するのは、爽やかな香りと程よい渋味です。しかしミルクと甘さを加えたラテ飲料にすると、抹茶らしい味が薄れる弱点がありました。

「お客さまの声を調べてみると『甘さを抑えた、抹茶の美味しさをもっと味わえる商品が欲しい』というご意見が多く見受けられました。そのため、抹茶ラテ飲料の認知度が高まった次の段階として、『もっと本格的な抹茶を味わいたい』とお客さまのニーズが進化すると考えたのです。私たちが狙ったのはこの“本格的な抹茶の味がするラテ”を求めている方々です」(安田さん)

しっかりと抹茶の美味しさを残した抹茶ラテ飲料。これを実現するため伊藤園は、まず使用する抹茶として「一番茶」を選びました。

一番茶は新芽だけでつくったお茶のことで、その後の二番茶、三番茶より味と香りが高くなります。乾燥させた茶葉を茶臼でひいた抹茶でもそれは同じ。一番茶でつくった抹茶は味や香り、そして色も抜群で、ラテの材料に使用するには最高級のグレードだそうです。

「甘味と渋味が引き立つように2種類の一番抹茶をブレンドし、ミルクや甘さに負けない抹茶の香りと渋味を出すことに成功しました。その結果、無香料・無調味で抹茶感の強い本当の抹茶ラテができたのです」(安田さん)

「無着色」も他社との差別化ポイントです。鮮やかな緑色も抹茶の美味しさを際立たせる特徴のひとつ。ただし、この緑色をペットボトル飲料で長期間保持するのは難しく、一般的には着色料が使われることも珍しくないそうです。

「弊社の抹茶ラテは無着色。当社独自の製造技術で熱に触れる時間を最小限にし、鮮度が良い抹茶に仕上げることで、抹茶本来の緑色を無着色で商品化しました」(安田さん)

こうして味、香り、色、鮮度と、抹茶のおいしさのすべてにこだわった“抹茶がおいしい”抹茶ラテが誕生しました。

▲伊藤園マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャーの安田哲也さん。

「商品名を『TULLY’S COFFEE 抹茶がおいしい抹茶ラテ』にして、“抹茶がおいしい“とストレートに入れました。お茶の伊藤園が本気を出した抹茶であることを伝え、それまでの抹茶ラテに物足りなさを感じていた方々にリーチしたい狙いからです」(安田さん)

グループ会社であるTULLY’S COFFEEブランドとした理由は、タリーズコーヒーのカフェで抹茶ラテを提供していたことに加えて、『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK』や『TULLY’S COFFEE BARISTA’S 無糖LATTE』など同ブランドの飲料が人気を博していたからだそうです。

「とくに今回は甘いラテ飲料を好んで飲まれる30代以下の若年層をターゲットにしていることもあり、若い世代に親しみのあるタリーズブランドを採用しました」(安田さん)

若年層に認知を広げるため、プロモーションはSNSを中心に進めました。とくにTwitterには力を入れ、タリーズコーヒーのオリジナルアプリで買い物をすると抽選で『抹茶ラテ』が当たるプレゼント企画や、「#タリーズ抹茶ラテ本気だった」「#これがタリーズと伊藤園の本気」というハッシュタグで感想ツイートを促すキャンペーン施策などを実施しています。

「体感されたお客さまの声がUGCとして拡散されることで、“これまでの抹茶ラテとは味も香りも違う”というコンセプトをストレートに広げていただきたいからです。実際、多くのお客さまから“抹茶の味と香りをしっかり感じられる”などとツイートいただき、大変うれしく感じています」(安田さん)

初年度は少なくとも7000万本以上の売り上げを目標に設定。今後は、新茶が出回る初夏や熟成保存した抹茶の新茶が出てくる11月頃など、抹茶ならではの旬のタイミングに、新商品を出していきたいとのことでした。

記事執筆者

箱田高樹

ビジネスパーソン向けの媒体を中心にライティング・編集を手掛ける。著書に『カジュアル起業 ~”好き”を究めて自分らしく稼ぐ~』、共著に『図解&事例で学ぶイノベーションの教科書』など。雑誌『Lightning』にて「こうしてボクらはオーナーになった。」連載中。株式会社カデナクリエイト代表。
http://www.cadena-c.com/
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