バナー広告の多くは効果を十分に発揮できず、クリックしてもらえないことがほとんどです。また、クリックしてもらってもコンバージョンにつながらず、広告費がかさんでしまうケースも多々あります。いずれもバナー広告の特徴を活かしきれていないために発生してしまいます。
バナー広告の効果を上げるには、工夫をこらした広告の作成と、適切な配信が必要です。
そこで今回は、バナー広告の効果の上げ方と費用の相場についてご説明します。
目次
バナー広告の特徴
バナー広告は別名「ディスプレイ広告」とも呼ばれています。主に「アクセス増加」「認知度アップ」を目的とした広告です。
まずは、バナー広告の特徴についてご紹介します。
特徴1:ユーザーの目に止まりやすい
バナー広告は画像やテキスト、動画で表示させるのが一般的です。加えて、GIFやFlashといったアニメーションに対応したフォーマットも存在します。
視覚的に訴えかけるため、文字だけの広告と比較してユーザーの目に止まりやすいです。
特徴2:潜在顧客へのアプローチに強い
バナー広告はリスティング広告などほかのWeb広告と違って検索クエリと連動していないため、多くの人に見てもらえる可能性があります。そのため、サービスを知らない潜在顧客層へ認知させることが得意な広告です。
バナー広告の課金方法と費用の相場
バナー広告には5つの課金方法があります。それぞれの特徴と費用の相場を見ていきましょう。
バナー広告の5つの課金方法
インプレッション保証型
決められた回数のインプレッションが発生するまで、広告が掲載され続ける課金方法です。
ユーザーがクリックしたかどうかは費用には関係ないので、できるだけ多くのユーザーにクリックしてもらう必要があります。そのため、クリックされやすいデザインにすることが重要です。
なお、既定の回数まで表示されると自動的に掲載が終了します。
クリック型
バナー広告がクリックされた回数に応じて、費用が決定される課金方法です。
クリックされない限り費用は発生しません。そのため、コンバージョンにつながりやすいユーザーのみがクリックするようなデザインにすることが重要です。
規定の回数をクリックされれば自動的に掲載が終了します。
5つの課金方法の中では、余分な広告費をかけなくて済む効率的な料金形態と言えます。
成果報酬型
コンバージョンが発生した場合に費用が発生する課金方法です。確実に成果を出したい人にはおすすめです。
ただ、コンバージョン1件あたりの費用が高額なのがネックです。広告主によって報酬額は異なりますが、例えば商品購入1件あたりで、およそ5000円の成果報酬がかかるとします。この場合、コンバージョンが100件発生すると、費用は5000円×100件=50万円です。
コンバージョン1件あたりの広告費用(CPA)があらかじめわかるので、リスクは少ないと言えるでしょう。
枠掲載型
定められた期間単位で費用が発生する課金方法です。多くの場合は、1カ月単位で費用が発生します。
広告枠を買い取る場合、一社で買い取るか複数社で分割して買い取るかの2パターンが存在します。
インプレッション数などの保証がないため、多少のリスクはありますが、表示回数やクリック数、コンバージョン数が費用に全く影響せず、場合によっては5つの課金方法の中で一番費用対効果が高くなるケースもあります。
ビューアブルインプレッション型
加えて、Google AdWordsにはvCPM(viewable Cost Per Mille)という課金方法があります。ビューアブルインプレッション(視認可能な位置に表示された広告インプレッション)の回数で課金される方法です。
ちなみに、「視認可能」と判断される基準は以下の通りとなっています。
広告が視認可能と見なされるのは、広告の面積の50%以上が、ディスプレイ広告では1秒以上、動画広告では2秒以上画面に表示された割合です。
※引用元:Adwordsヘルプ「視認範囲のインプレッション単価について」
バナー広告の費用の相場
インプレッション型の相場
インプレッション型の費用に関しては、媒体によって大きな差があります。例えばYahoo!プロモーション広告では、1250万円~/1週間 が参考価格として挙げられています。
クリック型の相場
クリック1回あたりの料金は、自分で自由に設定できます。入札方式なので、クリック1回あたりの料金が低すぎると広告がインプレッションされない可能性があります。
Yahoo!プロモーション広告では、1万2000円~/1週間が参考価格として挙げられています。
多くの場合、契約先や設定するキーワードにより1クリックあたりの費用が変わってきます。そのため、契約先との交渉も重要です。
クリック型は広告枠を指定しない広告なので、どこにどのように掲載されるか、どの程度の効果が期待できるかなども含めて、契約先に確認する必要があります。
また、Googleのディスプレイ広告では、各項目において基準の入札単価を割合(%)で調整可能です。
入札単価は、端末、地域、広告のスケジュール設定、上位のコンテンツ、ターゲティング方法、検索広告向けリマーケティングリスト、インタラクションの7項目で調整します。
例えば「端末」の項目では、特定の端末を使用して検索したユーザーに、広告が表示される頻度を調整することができます。
<例>
・元々の上限としているクリック単価が150円の場合
モバイル端末のみ表示頻度を上げたいときは、モバイル端末の単価を調整する。
50%引き上げる場合は、150円+(150円×50%)=225円(最終的な入札単価)となる。
Googleディスプレイ広告では、1回のクリックで発生する費用がオークション形式で決定されるため、入札単価を調整することによって予算の調整が行いやすくなります。
成果報酬型
報酬単価は広告主が自由に設定できます。報酬が少ないと請け負ってくれる媒体がなくなるため、高額報酬になることが多いです。しかし、あらかじめCPA計算ができるので赤字になる心配はないでしょう。
枠掲載型
事前に価格が設定されている広告枠を買い取ります。例えば、Yahoo!プロモーション広告では参考価格として200万円~/1週間と挙げられています。
仮に全くクリックされなかったとしても費用は発生するので、自社が出稿するバナー広告効果をじっくり検証してから利用しましょう。
課金方法と掲載Webサイトの重要性
バナー広告においては、課金方法と掲載するWebサイトの選択が重要です。
クリック率を上げたいのか、露出度を上げたいのか、コンバージョンを増やしたいのか、など掲載する目的に合わせて選びましょう。
Google AdWordsのディスプレイ広告は、ターゲットユーザーや特定のサイトに対してのみ配信することができます。一定の条件に当てはまるユーザーに広告を配信したり、特定のキーワードやトピックに関するコンテンツに配信したりすることが可能です。効果的なアプローチをGoogleが自動的に判断してくれる「自動ターゲティング」もあります。2つのターゲティング設定を活用し、効果的な広告配信を狙いましょう。
バナー広告で効果を上げるためのポイント
バナー広告で効果を上げるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。ポイントについて、詳しくご説明します。
バナーを作成する際の基本的なポイント
バナー広告を作成する上では、「文字数を少なくする」「文字を見やすくする」「背景と文字の色のコントラストに配慮する」ことを意識しましょう。
そのほかにも、以下のようなポイントがあります。
配信チャネルによってバナーを作成する
バナー広告では、配信チャネルによってバナーを作成することも大切です。Googleディスプレイネットワーク(GDN)では、バナー広告のタイプによって対応可能なサイズやデバイスが決まっています。GDNのバナーサイズ(ピクセル数)は「336×280」が基本です。
もし、サイズを変えてバナーを作成するのが難しいと感じる方は「レスポンスシブ広告」を使いましょう。バナーを一つ入稿するだけで、配信先に応じて自動的に適切なサイズに変えてくれます。
ターゲットユーザーに合わせたトンマナを使用する
バナー広告に記載する文字やイラストを、ターゲットユーザーに合わせることも重要です。例えば、ナチュラルな雰囲気や物を好む人をターゲットにしているのであれば、緑やベージュなどの落ち着いた色を使って、派手なイメージにしないようにするといったことです。
また、バナー広告と誘導先のランディングページのトンマナが合致しているかどうかも大切なポイントです。バナー広告でユーザーに訴求できたとしても、ランディングページで雰囲気が大きく変わってしまっては、ユーザーが離脱するおそれがあります。
行動を促すフレーズを使用する
「詳細はこちら」などの行動を促すフレーズを使用して、どこをクリックすれば良いのか、ひと目でわかるようにしましょう。配信先のWebサイトに広告がなじんでいたり、広告が画像主体になっていたりすると、ユーザーがどこをクリックすればいいのかわかりいくいことがあるためです。
ユーザーがお得に感じる情報を記載する
クーポンや割引など特別なサービスを提供している場合は、バナー広告に記載してユーザーにお得感を伝えるようにしましょう。購入を検討しているユーザーの行動を後押しするのに効果的です。
さまざまなパターンでテストを行う
一つのバナー広告を配信するのではなく、広告グループごとに複数の広告を作成すると良いでしょう。メッセージや画像、フォント、色などを変えて、どの広告が一番効果的なのかを見極めます。また、Google AdWordsの場合は、最も効果的な広告が多く配信されるようになっています。
クリックされやすいバナー広告のテクニック
ユーザーに違和感を与える
広告慣れして興味がなくなったユーザーに、ギミックを効かせた画像を用いて違和感を持たせることで、刺激を与え、クリックを誘発する手法です。
カリギュラ効果を利用する
「人間は禁止されるとかえってその行為をやりたくなってしまう」という心理を突いた手法です。
例えば、「心臓が悪い方は絶対に見ないでください」というセリフを用いてホラー映画の広告を作成すると、つい見たくなる方が出てくるでしょう。
マイクロコピーを用いることでユーザーのアクション率がアップ
マイクロコピーとは、短いテキストのコピーライティングの一種です。例えば、ボタンの文字やエラーメッセージ、応募フォームなどが挙げられます。短いメッセージだけでユーザーのアクションを促すことができます。
マイクロコピーはサイト全体のデザインには大きく影響しませんが、コンバージョン数やコンバージョン率を左右する効果が見込めます。
注意点
マイクロコピーは導入後にABテストで効果測定を行うことが欠かせません。複数のコピーをテストし、PDCAを回しながら最適なコピーを選ぶようにしましょう。
また、コピーによってはCVRが減少することもありますので、実施する場合には注意が必要です。
効果を最大化させるためには効果測定が必須
ここまで、さまざまな手法をご紹介しましたが、実行するだけではバナー広告の効果を最大化できません。効果を最大化させるためには、効果測定を行い、改善していくことが必須です。
誰に向けて何のために広告を出すのか、目的を明確にする
広告の効果測定は、目標とする基準がなければ、実施した広告が良いのか悪いのかを判断することができません。
そのため、以下の3つを必ず設定するようにしましょう。
- ターゲットユーザーの設定:誰に向けてなのか?
- 目的の設定:何のために行うのか?
- 計測指標の設定:どの数値で良しあしの判断をするのか?
その上で、効果測定と改善を繰り返しながら、効果の最大化を目指しましょう。
指標の使い分けが重要
バナー広告ではCV数やCPA以外の指標の使い分けも重要です。ここでは、クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)、広告費用対効果(ROAS)、ライフタイムバリュー(LTV)の4つをご説明します。
クリック率(CTR)
CTR (Click Through Rate)は、表示された広告がクリックされた割合です。以下の計算式で求められます。
CTR=広告のクリック回数÷広告の表示回数
例えば、男性の写真を用いたバナー広告と女性の写真を用いたバナー広告を作成し、どちらがユーザーに受けが良いかのかをABテストする際にCTRで比較します。Adwordsヘルプ には「クリック率が高い広告は、ユーザーにとって有益で関連性が高いという意味になります。」と書かれています。
コンバージョン率(CVR)
CVR(Conversion Rate)はWebサイトやランディングページに流入後、どれくらいのユーザーがコンバージョンしたかを割合で表す指標です。
例として、CTRと比較してCVRが下がっている場合、バナー広告と誘導先の雰囲気が異なっていて、ユーザーのトンマナに合っていない可能性などが考えられます。
CVRは以下の計算式で求められます。
CVR=CV数÷広告のクリック数
広告費用対効果(ROAS)
ROAS(Return On Advertising Spend)は投資した広告費用に対して、どれくらい売上を得られたかという割合を示す指標です。予算の最適化を行う際などに用います。
ROASは以下の計算式で算出できます。
ROAS=広告経由の売上÷広告費用
ライフタイムバリュー(LTV)
LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」とも呼ばれます。顧客が長期的に支払ってくれる売上を表す指標のことで、ユーザーがどれくらい商品やサービスをリピートしてくれたのかを表します。広告媒体や広告キャンペーンごとにチェックしていくと、売上につながる広告がどれなのかを把握できるでしょう。
LTVは以下の式などで求められます。
LTV=1回あたりの平均購入額×年間の平均購入回数×平均の継続年数
予算を考慮しつつ最適な運用を目指しましょう
バナー広告は顕在層だけでなく潜在層への効果も期待できます。効果を最大化するためには、掲載先を見極め、見やすくインパクトのある訴求を行うことがポイントです。また、配信後は効果測定を行うことも欠かせません。
費用の相場と予算も考慮しながら、最適な運用を目指しましょう。