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コロナ禍で変化し続ける市場でも成功するマーケター・マーケティング組織の共通点(アクセンチュア最新調査)

最終更新日:2021.11.27

アクセンチュアの最新グローバル調査によると、世界のマーケティング担当役員の約70%が、「この1年間で従業員が非常に疲弊してしまった」と回答。世界中で多くの人が疲れ果てていると感じる一方、変化の兆しも見えている。ここでは、アクセンチュアの調査レポート「The Great Marketing Declutter(マーケティングの断捨離)」で述べられている、パンデミックにおいてマーケティング組織が変化の波に乗ることができた「先駆企業」の特徴について紹介する。

目次

コロナ禍で分かれた「先駆企業」「挑戦企業」「現状維持企業」

アクセンチュア インタラクティブ が日本を含む世界19カ国で実施した調査レポート「The Great Marketing Declutter(マーケティングの断捨離)」によると、調査に協力したマーケティング担当役員のうち17%(日本は18%)が、不確実性や複雑性が高まった過去1年半を乗り越え、「自社のマーケティング組織は軌道に乗っている」と捉えていることが明らかになった。

レポートではこの17%のグループを「先駆企業(Thrivers)」と名付け、その特徴を調査したところ、先駆企業の大半(86%)は、従業員が「急速に変化する顧客の期待に応える」という新たな目的に前向きであることがわかった。

先駆企業は複雑な状況に対応するために、マーケティング活動を整理し直している。先駆企業の59%が、マーケティングを全く異なる視点で捉え直したことで、「組織が昨年よりもはるかに強くなった」と回答。進化し続ける顧客の期待に、より優れた方法で応えるために必要なものを棚卸しし、重要なものには焦点を当て、重要でないものは破棄し、残りについては再検討している。結果、先駆企業のマーケターは、自身の仕事により大きな意味を見いだせるようになり、企業や顧客への貢献、従業員を惹きつける組織づくりといった成果につなげることに成功している。

レポートでは、先駆企業以外の動向についても分析し、顧客との関係に基づいて2つに分類している。1つ目のグループは、顧客ニーズを満たすために一定の主体性を持つものの、顧客の変化に対する認識が限定的な「挑戦企業(Strivers)」(グローバル66%、日本46%)。2つ目は、顧客の変化は一時的なものだと思い込み、変化の波に乗れなかった「現状維持企業(Survivors)」で、全体の17%(日本は36%)に相当する。

アクセンチュア インタラクティブのグローバル・マーケティング・サービス・リードであるジーニン・ファルコーネ(Jeannine Falcone)は次のように述べる。「パンデミックをビジネスにおけるマーケティングの役割を再考する好機と捉え、業務内容や取り組み方を定義し直したマーケターが、ビジネスの成長を促進し成功を収めています。今この瞬間に顧客から必要とされるブランドであり続けることが重要で、従前のやり方ではもはや太刀打ちできないのです」

混乱を切り抜け、現状維持企業よりも優れた成果を出している先駆企業

調査レポートによると、先駆企業は「自社のパーパスとの整合性」、「顧客」、「マーケティング組織機能」という3原則に基づいてマーケティング組織を運営していることが明らかになった。先駆企業の考え方や行動の特徴は、以下の5つの指針に集約される。

「先駆企業」のマーケティング活動の特徴

1. 顧客との関係を築き直す

先駆企業は、顧客が変化したことを受け入れており、顧客の嗜好について、過去の知識に基づいた思い込みがリスクであることを認識している。あらためて顧客の声に耳を傾け、その時々の顧客の状況に合わせてマーケティングを再構築し、顧客満足度の向上を最優先している。

2. 組織全体で差別化する

先駆企業は、差別化された顧客体験を提供するには一貫性とコラボレーションが必要だと理解している。「顧客体験に関する重要なビジネス上の意思決定において、顧客の意見が非常に有効」と答えた割合は現状維持企業よりも60%高く、また、差別化を実現するためには製品開発、流通、販売、サービス、マーケティングなど、すべての機能に一貫性を持たせることが必須だと認識している。

3. 変化のスピードに合わせて動く

先駆企業の91%は、顧客の行動はかつてないほど迅速に変化していると考えており、顧客のリアルタイムなニーズに応えるメッセージ、コンテンツ、体験を提供することに注力している。さらに、変化に対応した体制を整えていくために増資していると回答した割合は、現状維持企業よりも約1.5倍高いという結果だった(先駆企業で95%に対し、現状維持企業で65%)。

4. 誰もやりたがらない仕事を減らす

顧客接点や技術、規制、パートナー企業などの急激な増加により、マーケティングのエコシステムは指数関数的に複雑化している。先駆企業は、エコシステムの複雑化に対応するためにプロセスの自動化やオペレーションの工業化を進め、エコシステム・パートナーとの連携強化のために投資を行っており、この傾向は現状維持企業よりも顕著に見られる(91% 対 56%)。先駆企業は、やるべき業務と同じくらい、やめるべき業務の把握を重視しており、成功への道筋をしっかりと描いている。

5. 自社のパーパス(存在意義)を体現する

先駆企業は、自社のブランドパーパスに基づいて共感と信頼をもって顧客とつながり、顧客が価値を認めるものを提供している。「パンデミックによる顧客の価値観の変化に伴い、マーケティングの役割を見直し、ブランドパーパスを再構築している」と回答した先駆企業の割合は、現状維持企業の5倍に相当する。

レポートでは、マーケティングモデルを整理し、成功を収めたBlue Buffalo、Diageo、Direct Line Group、NRMA Insuranceなどの先進企業の事例についても紹介している。

【調査方法】

アクセンチュア リサーチとアクセンチュア インタラクティブが、2021年6月から7月にかけて、日本を含む世界19カ国、19業種のマーケティング担当役員1,022名を対象にアンケートを実施。過去1年(2020年)に顧客・消費者に起きた変化をどう捉えて対応したか、また、その変化がマーケティング組織の回復力にいかに貢献したかを調査した。

英語版:The Great Marketing Declutter

変化し続ける市場で成功するマーケターの共通点――アクセンチュア最新調査

 

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