総合インテリア販売の株式会社大塚家具は、同社初のオリジナルランドセルを老舗ランドセルメーカーの株式会社協和と開発し、大塚家具主要店舗にて2022年4月29日より発売する。開発したランドセル「レジェロ」は、軽さ・収納力を兼ね備えた機能性と、格調高いクラシカルなデザイン性が特徴だ。コラボレーションの裏にはどのような背景があるのか、担当者に伺った。
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子どもの体に配慮し、快適な背負い心地を追求
「レジェロ」は、1948年から長年にわたりランドセルの研究開発に取り組んできた協和と、上質な暮らしのための様々なソリューションを提供してきた大塚家具がコラボレーションすることにより、品質とデザイン性を追求したランドセルになっている。
音楽用語で“軽く優美に”を意味する「レジェロ」の名の通り、ふんわりと快適な背負い心地を実現。昨今「ランドセル症候群」という言葉がクローズアップされるほど、ランドセルによる体への負担に注目が集まっていることもあり、「レジェロ」は子どもの体に配慮した作りになっている。例えば本体の軽量化に加え、付属でチェストベルトもつけることにより、体感重量をさらに軽減し、長時間背負っても疲れないように背中にフィットする構造にするなど、細部にまで工夫が見られる。
▲重さは約1,050gで、12.5㎝のマチや伸びるポケットも備えている。カラーはクラシカルな4色を採用。
注目が高まりつつあるランドセル市場
大塚家具が協和とコラボレーションしてランドセル開発・販売に乗り出した背景には、何があるのだろうか。株式会社大塚家具 営業企画部営業企画課の柴田千穂さんは、昨今のランドセル市場の状況について、次のように分析している。
「子ども向けの商品であるランドセルは、少子化に伴い、市場が縮小傾向にあります。しかし、近年はゴールデンウイーク前から商戦がスタートするなど、年々ランドセルへの注目が高まっているほか、子ども向け商材全般に高級化の傾向も見られます。
要因としては2つあると考えています。1つは、少子高齢化に平行して、大勢の大人が少ない孫にたくさんのお金を使う、“6ポケット”といわれる状況が生まれていること。もう1つは、ランドセルが黒と赤の2色展開から、豊富なカラーバリエーションの提供や素材の追求、オーダーメイド化、軽量化など、好みの多様化によって選択肢が増えたことです」
その上で、大塚家具がランドセルを扱う理由について、柴田さんは次のように説明した。
『大塚家具では上質な心地よい暮らしを叶えるために、家具・インテリア小物だけでなく、家電やリフォームの提供など、“暮らしまるごと”を提案しています。
長年大切にしているポリシー「上質な商品をお求めやすい価格で」を踏まえ、また子ども用の学習机等の家具・インテリアも取り扱っている延長として、長く安心して使える良質なランドセルを目指しています』
これまで自社で開発してこなかったランドセルだが、協和とのコラボレーションにより、大塚家具が追求する「上質さ」を高い基準で満たしているという。
『毎日使うものだからこそ、「レジェロ」は“上質で軽いのに大容量で品のあるランドセル”を追求しました。老舗ランドセルメーカーとのコラボレーションにより、品質や機能性など、さまざまなポイントをクリアしています』(柴田さん)
多様な家具の販売を行う大塚家具によるランドセル開発・販売は、小売大手がプライベートブランドの開発を行うように、垂直統合の様相を呈しているようにも見える。
『大塚家具ではあらゆるライフスタイルに寄り添う家具・インテリアを扱っており、お客様の変化する暮らしやニーズに応えてきたノウハウから、様々なオリジナル品も展開しています。
今回のランドセルも、これまで展開してきた子ども用の学習机等の家具・インテリアのノウハウを生かし、子どもたちに長く安心して使っていってもらえるランドセルを目指しています。
単純に「モノを売る」のではなく、使い捨てではない「日々の暮らしをより心豊かなもの」を提供したいと考えています』
大塚家具と協和の思い、そしてサービスに支えられながら、多くの子どもたちが「レジェロ」とともに学び多い日々を過ごすことになるだろう。発売後の反響に注目したい。