株式会社バンダイは、世界初となる立体映像を搭載したガシャポン自販機「GASHAPON ODYSSEY(ガシャポンオデッセイ)」を開発した。2023 年 2 月 28 日まで(※)の期間限定で、 「ガシャポンのデパート」の 2 店舗(池袋総本店、キャナルシティ博多店)に、1 台ずつ設置している。カプセルトイの商品は4月28日発売予定だ。
「GASHAPON ODYSSEY」はガシャポン発売 45 周年プロジェクト「答えはガシャポンだ」の取り組みの一つで、プロジェクト全体で1億円以上の製作費をかけて開発されたという。開発の背景や今後の展開についてバンダイの担当者に聞いた。
※2022年4月時点での予定で、変更となる可能性がある。
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規格外のガシャポン自販機
ガシャポン 45 周年を記念し、「未来のガシャポン自販機のコンセプトモデル」として開発された「GASHAPON ODYSSEY」。高さは 2.1 メートル、 幅 2 メートル、奥行き が2.3 メートルあり、普段目にするガシャポンと比較して規格外と言ってよいだろう。巨大なガシャポン自販機には、正面から側面につながる約 3.9 平方メートルの大型 LED ディスプレイが搭載されており、大きく湾曲しているため、視差効果によって映像が立体的に見えるようになっている。この仕掛けによって、自販機の中でキャラクターが誕生していく様子が映し出されるなど、奥行きと立体感のある映像を楽しむことができる。
「GASHAPON ODYSSEY」の名称は「オデッセイ=長い冒険旅行」に由来し、ガシャポンが45年の歴史を経て、次の50年、100 年もお客さまに「ワクワク」する気持ちを届ける「冒険旅行」を続けていくことを表現している。そのため、本体は「宇宙を旅するスペースシップ」をコンセプトにデザインしており、円形のハンドルも「船のかじ」をイメージしているという。
「GASHAPON ODYSSEY」は、宇宙の冒険旅行を経て地球にたどり着いた宇宙船が、地球を構成する 5 つの要素「火、水、空、風、地」の精霊を見つけて具現化する、ストーリー仕立ての演出になっている。利用者が自販機のコイン投入口にコインを入れると、近未来的な研究室が画面に映し出され、船のかじを切るようにハンドルを回すと映像が先に進む。「火、水、空、風、地」の精霊のキャラクターがランダムに画面に登場し、最後にカプセルに入った状態で商品搬出口から出てくる仕組みだ。ガシャポンは1回あたり税込1000円で体験できる。
▲画面に映し出される映像の例
▲オリジナル商品『MATERIALS of the EARTH(マテリアルズ・オブ・ジ・アース)』。デザインを手がけたのは、NTT ドコモ「ひつじのしつじくん」、ショップジャパン 「WOW くん」などのデザインで知られるキャラクターデザイナーの吉井宏氏。
構想 4 年、プロジェクト全体で 1 億円以上の製作費をかけて開発
「GASHAPON ODYSSEY」の構想は 2018 年頃に立ち上がり、2021 年 3 月に本格的な開発がスタート。「大型 LED ディスプレイを利用した立体映像とガシャポン自販機を融合させる」というアイデアのもと、バンダイはピラミッドフィルムクアドラ社と共同開発を行い、プロジェクト全体として 1 億円以上の製作費をかけて「GASHAPON ODYSSEY」を完成させた。株式会社バンダイ ベンダー事業部 マネージャー 近藤創(こんどう・はじめ)さんに、開発の狙いや今後の展開について伺った。
まず、ガシャポン45周年であること以外で「GASHAPON ODYSSEY」を開発した背景について、近藤さんは次のように話す。
『カプセルトイの市場規模が年々拡大し、競争が激化する中、 バンダイの独自ブランドである「ガシャポン」を多くのお客さまに知っていただき、 ブランド価値を上げたいと考えて開発しました。 また、シェアNo.1企業として「未来のガシャポン」のモデルを提示することで、 存在感をアピールし、業界をリードし続けることができるのではと考えています』
1977年にカプセルトイ市場へ参入し、それ以来けん引してきたバンダイならではの施策といえるだろう。ワクワクを求める消費者のニーズをとらえて新規性とより高いエンターテインメント性のある筐体の開発を考え、今回の企画に至ったという。
今後の展開については、『「GASHAPON ODYSSEY」はコンセプトモデルとして開発されたもので、現時点では一般向けの量産の予定はなく、展開は未定です』(近藤さん)とのこと。とはいえ、規格外のガシャポンが消費者に与えるインパクトは大きなものとなるだろう。近年カプセルトイ市場は成長を見せているだけに、目が離せない企画になりそうだ。