JALは、国内空港を中心とした地上交通での移動について、航空機の移動を含めた経路検索、ならびに交通事業者と連携した予約・手配を行える「JAL MaaS」の提供を2022年2月17日に開始した。空と地上を組み合わせ、リアルタイム経路検索や、予約・手配が一気通貫で可能となるのは日本初とのこと。本記事では、サービスの概要とともに、担当者に取材した今後の展望などを紹介する。
目次
空と地上を組み合わせたリアルタイム経路検索サービス
そもそもMaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、さまざまな移動サービスをひとつの交通手段として統合し、より便利な移動を実現する仕組みを指す。JALが提供を開始したJAL MaaSは、空港を中心とした前後の移動に関係する検索や、地上交通の予約・手配をワンストップで行えるサービスだ。経路検索機能により利用者と各事業者の接点をつなぎ、各シーンで専用のアプリやWebサイトを開くことなく、出発地から目的地までシームレスに旅行できる仕組みを構築している。また、東日本旅客鉄道株式会社が提供するリアルタイム経路検索サービス(※1)を利用し、日本の航空会社で初めて、空の便と地上交通の遅延状況も反映するリアルタイムな経路検索を行うこともできる。検索対象となるのは、JALグループ国内線(コードシェア・ジェットスタージャパン/スプリングジャパンの国内線を含む)と日本国内における地上交通などだ。一部地上交通を予約・利用するとマイルがたまるというユーザーメリットもある。
さらにJALは、JAL MaaSを活用して自治体との連携を強化し、地域が抱える移動に関する課題の解決と交流人口の創出にも取り組んでおり、現在は徳島県(徳島阿波おどり空港)、山形県(おいしい山形空港)、青森県(三沢空港)で空港と観光地を結ぶサービスなどを展開している。
地域との連携について、日本航空 事業創造戦略部MaaSグループ清水俊弥さんは次のように話す。
「今回連携した徳島県、山形県(山形空港利用拡大推進協議会)、青森県三沢市(三沢空港振興会)と協議する中で、さまざまな課題が見えてきたため、それらを解決するような施策展開に注力しました。例えば、空港からの移動手段が限られていること、ライナーのような地上交通の予約やダイヤなどの情報に対する認知の低さといった課題です」
※1:「リアルタイム経路検索」は、東日本旅客鉄道株式会社のサービス(「リアルタイム経路検索」は商標登録出願中)。
▲JAL MaaSの全体像
▲JAL MaaS利用方法フローイメージ
蓄積されるデータを生かし、サービスの品質向上やMaaSの取り組みを推進
今後のJAL MaaSの展開について、清水さんは蓄積されていくデータ資産に焦点を当てて次のように語る。
「今回の取り組みを通じて蓄積されるデータは、さらなるサービス品質向上と、今後の取り組みに活かしたいと考えています。JAL MaaSでは経路検索ならびに交通事業者と連携した予約・手配を行えるサービスを展開していますが、お客さまの旅をより快適にスマートにサポートするには、JAL MaaSをより発展させ、一人ひとりに寄り添えるサービスとして今後も進化し続けていく必要があります。そのためにも、取得するデータや、実際にご利用いただいたお客さまの声は、今後のサービスの改善に反映させていきたいと考えています」
また、JAL MaaSを用いた自治体の課題解決については、連携する自治体の拡大を図るとともに、空港から目的地までの移動のサポートに加え、地域の魅力発信にも積極的に取り組むという。
MaaSが日本に本格的に広がり始めている。今後も各社の協働や新サービスの出現、MaaSを活用した新たなビジネスチャンスから目が離せない。