Webサイトを運用する上で、デスクトップ用とスマホ用のURLを分ける場合に、設定するのがalternateタグです。alternateタグを設定しないと、SEO対策にどのような影響が出るのでしょうか?
今回は、alternateタグがSEOに及ぼす影響と、サイトのURLを分ける場合の記述方法などについてご説明します。
目次
スマホサイトの存在を伝達するalternateタグ
ここでは、alternateタグの果たす役割についてご紹介します。また、alternateタグを設定する上で欠かせない、canonicalタグについても併せてお伝えします。
alternateタグとは?
alternateタグはhtmlタグの一つで、代替ページが存在する場合に用いられます。
URLは異なるものの内容が同じスマホ用サイトや、多言語に対応しているページなどによく使用されます。
例えば、「www.example.com(pc)」と「m.example.com(モバイル)」のように、URLを分けられるケースが該当します。
alternateタグと併せて用いるcanonicalタグとは?
alternateタグと一緒に用いられるcanonicalタグは、URLの統一を目的に用いられるhtmlタグです。
Googleはパンダアップデート以降、コンテンツの大半が類似した内容で占められているサイトの評価を下げています。そのため、canonicalタグを設定すると、類似するコンテンツのページを統一でき、Googleからの評価が下がって検索順位が下落する可能性を減らすことができます。
alternateタグのSEO効果
alternateタグとcanonicalタグを併せて用いると、デスクトップ用とモバイル用のサイトの存在、およびページの位置を検索エンジンに適切に伝達し、統合させることができます。
デスクトップ用とモバイル用のサイトが別ドメインで作成され、alternateおよびcanonicalタグが設置されていない場合、Googleによる評価が分散し、検索順位上昇の妨げになるおそれがあります。
そのため、インデックスされるURLを一つに統一し、一つのページとして、検索エンジンに評価してもらう必要があります。
alternateタグの記述方法
alternateタグをどのように記述すれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
URLを分けた場合の伝達方法
<URLが分かれている例>
・デスクトップ用URL http://www.sample.com/
・スマホ用URL http://sp.sample.com/
1.alternateタグを設定する
alternateタグを設定しているページは、クロールの際にスマホ用サイトであると認識されます。
そのため、デスクトップ用サイトでスマホ用サイトと分けたいページのソースコードの中に、以下を記述します。
<link rel="alternate" media="only screen and (max-width: 640px)" href="http://sp.sample.com/" />
2.canonicalタグを設定する
1で設定したスマホ用サイトのソースコードの中に、以下を記述します。
<link rel="canonical" href="http://www.sample.com/" />
上記の記述は、「このページはデスクトップ用ページのスマホ用ページです」といった旨をクローラーに伝える役割を果たします。
3.リダイレクトを設定する
デスクトップ用記事とスマホ用記事、デスクトップ用トップページとスマホ用トップページなど、それぞれにリダイレクトを設定する必要があります。
ただし、スマホ用ページがないページに関しては、リダイレクトを設定する必要はありません。
すべてをトップページにリダイレクトするなどの対処法は「誤ったリダイレクト」と判断され、マイナス評価へとつながり、検索順位に影響する可能性がありますので、注意しましょう。
こうした間違ったリダイレクト設定はウェブページや動画、その他あらゆるものを探しているユーザーのリッチな検索体験を妨げるものですので、ウェブ検索や、他の種類の検索(イメージ検索、ビデオ検索など)において今回のランキング変更の影響が及びます。
引用:スマートフォン向け検索でのランキングの変更について Googleウェブマスター向け公式ブログ
Googleが推奨する2種類のリダイレクト方法
httpリダイレクト
httpリダイレクトは、デスクトップ用やモバイル用などデバイス専用のURLにユーザーを誘導する場合に使用されます。
誘導先のURLとalternateサイトマップやタグに指定しているURLが一致しているかを確認しましょう。
JavaScriptリダイレクト
httpリダイレクトの実装が難しい場合は、JavaScriptを用いて、link rel=”alternate”タグで指定したURLにユーザーを誘導できます。
ただし、JavaScriptリダイレクトの場合、ページをダウンロードしてJavaScriptを解析し、リダイレクトを実行する必要があるため、遅延が発生する可能性があります。
alternateタグを実装する必要性
alternateタグの実装は、モバイルフレンドリー対策においても重要です。Alternateタグを実装しなかった場合の注意点などから、その必要性について見ていきましょう。
重複コンテンツと判断され、低評価を受ける可能性がある
デスクトップ用とスマホ用のサイトが異なるドメインで作成されている場合、alternateタグとcanonicalタグによる関連性を検索エンジンに伝えないと、重複コンテンツと判断されて低評価を受ける可能性があります。
そのため、デバイスによってサイトを分けたい場合は、必ずalternateタグとcanonicalタグを用いて検索エンジンに伝えましょう。
レスポンシブデザインを採用し、解決する
リダイレクトやタグ、属性の設定などを間違えてしまうと、検索エンジンに認識してもらえない可能性があります。
レスポンシブWebデザインを採用すれば、デスクトップ用サイトとモバイル用サイトを分ける必要がなくなるため、設定の間違いなどによるトラブルを防ぐことができます。そのため、GoogleはレスポンシブWebデザインを推奨しています。
レスポンシブWebデザインの作り方は下記の記事で詳しく取り上げています。参考にご覧ください。
デスクトップ用とモバイル用でサイトの内容が異なるとどうなるか?
デスクトップ用サイトとモバイル用サイトの内容が大きく異なる場合は、Googleによるチェックが入るため、マニュアルアクションの対象になる可能性があります。
アメリカのSEOエキスパートであるバリー・シュワルツ氏は以下のようにコメントしています。
How does Google determine when there are “huge discrepancies” between mobile and desktop? I doubt he will share that, but I suspect that will turn into something more automated over time. For now, I suspect they flag these cases and send a manual action reviewer (web spam fighter) to take a closer look.
引用:Google: We Check To See If Your Mobile & Desktop Site Are Vastly Different Search Engine Roundtable
(内容が大きく異なるデスクトップサイトとモバイルサイトが発見された場合、Googleはサイトにフラグを立て、手動ペナルティのレビュアーによる細かい検証を行うと思われる)
サイトの内容が大きく異なると判断される基準とは?
Googleのゲイリー氏は「全く関係のない、異なる話題を取り上げていない限り、対象になることはない」と発言しています。
@brianrutledge more like "adopt this puppy" on the desktop, and "buy Viagra online in a casino without prescription" on mobile @rustybrick
— Gary 鯨理/경리 Illyes (so official, trust me) (@methode) July 29, 2015
引用:Gary “鯨理” Illyes のTwitterより
(例えばデスクトップ版で「この子犬をもらってください」と書いていて、モバイル版では「オンラインカジノで、処方箋不要でバイアグラを買おう」と書いているくらいの違いです)
MFIおよびフレンドリー対策が必要とされている
MFI(モバイルファーストインデックス)とは、モバイルページをインデックスおよびランキングに使用するGoogleの基準のことを指し、2018年3月27日に開始が発表されています。
Googleの検索エンジンによるクロール、インデックス、評価によるランキング付けでは、これまで主にデスクトップ版のコンテンツが参考にされていました。そのため、デスクトップ用のコンテンツ内容がモバイル版と大きく異なる場合、モバイル検索ユーザーの混乱を招くおそれがありました。
しかし、今後はデスクトップ版ではなく、モバイル版のコンテンツが参考にされます。
今後重要になるであろうモバイルフレンドリーの対策方法については、下記の記事で詳しく取り上げています。参考にご覧ください。
異なるURLでデスクトップ用とモバイル用のページを作成していて、alternateタグとcanonicalタグが実装されていない場合、サイト全体が「モバイル対応がされていない」と判断され、今後は検索順位に影響が出る可能性があります。
alternateタグの実装は早めに取り組みましょう
一つのサイトがデスクトップ用とモバイル用に分かれている場合、alternateタグを用いることで、検索エンジンにその旨を伝えられます。
これまではalternateタグを実装していない場合、デスクトップ版とモバイル版でGoogleの評価が分散してしまう可能性がありました。
しかし、今後はMFIの導入により、検索エンジンがクロールするのはデスクトップ版ではなくモバイル版サイトとなります。そのため、alternateタグを実装していない場合、モバイル版サイトの存在をクローラーに検知してもらえない可能性があります。
今後はさらにalternateタグの重要性が増すため、できるだけ早い実装をおすすめします。