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速報版「NEWWORLD2020」開催初日レポート「もう元の世界には戻れない。変化を受け入れ、ポジティブに未来を切り拓く」

最終更新日:2022.04.07

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う企業活動への深刻な影響が懸念される中、この難局をマーケティングの力でどう乗り切り、いかにしてコロナ後の世界に備えるべきかを語り合うオンライン・カンファレンス「#NEWWORLD2020」(主催・株式会社ホットリンク)が、4月22日から5月1日までの7日間の日程で始まりました。

Marketing Nativeではカンファレンス初日の模様を「速報版」として本日公開するとともに、7日間総括レポートの「総合版」を大型連休明けの5月中旬にお届けします。

(取材・文:Marketing Native編集部)

目次

 

カンファレンスはZoomを利用したオンライン形式で行われました。

初日のゲストはカラス代表/エードット取締役副社長の牧野圭太さんと、スナックミーCEO & co-founderの服部慎太郎さんの2人。オーガナイザーのホットリンクCMO飯髙悠太さんの質問に答える形で、コロナショックの現状と今後への思いを語りました。

以下、主な発言内容です。

世界が変わるチャンスを与えてくれた

牧野圭太さん


#NEWWORLD2020のロゴやコピーの作成を無償で引き受けた理由

自粛が続き、世の中が変わって、いろいろな方々が大変な思いをしているのに、自分は何もできないし、できていないと感じていた。広告業界や自社の今後を考えると気分が滅入ることもあったので、飯髙さんにカンファレンス参加への声をかけてもらったのがうれしく、動き始めている人がいるんだと勇気づけられた。自分が少しでも何かできることはないかと思い、「(ロゴやコピーの作成を)やりたいです、やらせてください」と言った。ただし僕がやりたくてやったことなので、社員のデザイナーを巻き込むわけにいかず、一人で作成した。

自社や支援先の会社の状況

率直にいうと、延期になったり止まったりしたところもある。「新商品が出ます」と普通にプロモーションしても、このタイミングでは難しい。生活に関わるような物でも、今店頭に買いにいってくださいと言うわけにいかず、PRで話題になるようなことを仕込んでもニュースに取り上げられる確率は低い。状況が大きく変わってしまった。

しかし、この状況はすぐに収まるものではないので、待つのではなく、今何をすべきかを考えたほうがいいという空気が生まれ始めている。この1週間は、変わらなければいけないんだから次のことをやろう、この状態で自分たちは何ができるかを考えて実行しようと、いろんな人が動き始めたと感じる。

それはポジティブというより、世の中が大きく変わったことをみんなが冷静に見られるようになってきたのだと認識している。

コロナとの向き合い方

簡単に前の生活に戻ることは考えづらい。自粛要請が解除されても、「よし、また街に戻ろう」とはなりにくいだろう。飲食店も以前のような状態に戻って「みんなどんどんお店に来てください」というわけにもなかなかいかないと思う。また、もう1回このようなことが起きたらどうしようという不安が付きまとう。そこが一番大きい。例えば、コロナに対するワクチンができたとしても、また別の事態が発生するかもしれないという懸念は拭いきれないのではないか。そう考えて、この状況と長期的にどう付き合っていくかを考える必要がある。

これから提供していこうと考えていること

今回「世界は変わった。私たちは変われるか。」のコピーを書かせてもらったことで自分も救われた。世界が変わったことは大きな機会だと捉えられるようになった。変わった世界で何をするかをポジティブに進めていて、大型連休明けにサービスのローンチを考えている。

今後リモート会議が定着するだろう。世の中が以前のような状態に戻ったとしても、対面ではなくリモートでいいじゃないかという認識が広がったので、リモートで何かをすることが当たり前になるはずだ。そこで、背景の販売プラットフォームを作ろうと考えている。

例えば今、動物園は閉園しているが、パンダの写真を撮ってもらって、それを背景として販売し、そのうちの何割かが動物園に寄付されるような仕組みだ。ほかにもライブハウスなど人が多く集まるところが機能していないので、その仕組みで背景を販売して、寄付される構造を作りたい。今のリモート会議は「その背景って何ですか?」から話が始まることがあるので、「これは上野動物園のパンダです。終わったらまた行きましょう」というようなコミュニケーションが生まれたらいいと思う。完全プラットフォーム化して、ビジネスを作りつつ経済が回る仕組みを作りたい。

コロナの影響で厳しいビジネスもあるが、逆に社会に必要なビジネスも生まれている。ゲームチェンジのタイミングを捉えるチャンスと考えたい。

機動力のある組織が強くなる

企業はこの状況でどんなマーケティング活動をすべきか

社会の大きな文脈が存在するので、プロダクト開発、広告、マーケティングなど、何をするときもそこを意識するべきだろう。その文脈からは逃げられないと思うので、そこを突き詰めながらビジネスを続けていく。

今回すごく思ったのは機動力の重要さだ。今、1年後のプランを考えることは不可能。1年後のことを考える暇があったら、来月何をするかを考えるべきだろう。そういう機動力のある組織づくりが課題になっていく。それができるところがニュースを作っていくに違いない。機動力のある組織が強くなっていくのではないか。

SNSの文脈も広がっていくだろう。SNSにはネガティブな面もあるが、逆に今の状態でSNSがなかったらどうなっていたのかとも思う。自分で情報を探しに行けるし、飲食店の人たちが現状を訴えたりして、みんなで声を上げることが可能だ。SNSがなかったら、そういうことも難しかったのではないかと思うと、ポジティブな面も多く、活用の仕方をもっと考えていきたい。

働き方や生き方はどう変わるのか

まだわからないことが多い。例えば、直接出会うことがしばらくできなくなると、結婚できる人が減るのではないか、少子化が進むのではないか、いや、家にいる時間が増えるから意外と解決されるのではないか、などといろいろ考えているが、全く読めない。

スポーツというカルチャーはどうなるのだろうか。その場にいる観客が熱量を込めて声援を送る一体感があったから盛り上がった部分も大きいとすると、1年くらい大観衆が詰めかけるような構造が作れない場合、スポーツというカルチャーはどうなっていくのか。ライブハウスも同様だが、みんながリモートで見て、楽しかったねとなれるのかどうか。現場にいるからこそできる体験をリモートでもできるようになったら、ものすごい意味があるだろう。

世の中に対するメッセージ

難しい部分もありつつ、ある部分ではポジティブに捉えていくべきであり、この変化のタイミングでいろんなチャンスが生まれている。今だからこそできることが実は平常時よりも増えていると思う。それはポジティブに言うと、世界が変わるチャンスを与えてくれたのだ、と捉えている。このチャンスに何ができるかをみんなが1つ1つ全力で考えて、動けるようになったら変わると思う。つらいこともあるが、みんなで楽しくポジティブに新しい世界を作っていきたい。

消費者マインドの変化を捉え、対応する

服部慎太郎さん

このタイミングで新サービスを始めた理由

自粛が始まったくらいのタイミングで、いろいろなことを企画し、今回「オツマミー」というおつまみのサービスや、和菓子屋さんと共同開発した「生スイートポテト」という商品の販売を開始した。

おつまみについては、以前から「おつまみはないの?」と言われていたことに加えて、外出自粛要請に伴って自宅でお酒を飲む人が増えているのではないかというニーズを感じ、それに応えるために始めた。

これまで全国50社以上のお菓子屋さん、お菓子メーカーさんと一緒に商品を作ってきたが、話を聞いていると、観光客向けの土産物屋さんが大きな影響を受けている。僕らとして何かできることがあるのではないか、僕らと一緒に取り組みを進めることで少しでも売り上げ減などをカバーできるのではないかと考えたのが、和菓子屋さんとの共同開発商品を手掛けるに至ったきっかけだ。

こういう取り組みも1カ月半くらい前なら、新しいことを始めるのが本当にいいのかという雰囲気もあった。しかし、今はもう元のシナリオに戻ることはなかなか考えにくい。それなら、僕らにできることがあるのであれば、取り組んでいきたいと思う。

スナックミー社に対するコロナの影響

ECの会社で、自社で発送業務もやっているから、全員リモートとはいかない。EC特需はなく、上振れも下振れもそれほど大きくはない。ただしユーザーのマインドは少し変わってきていると感じる。

ネガティブな点を挙げると、お菓子は不要不急、生活必需品ではないので、まずカットされるのではないかという予測があり、そこは覚悟していた。

一方、ポジティブなところも出ている。在宅勤務やリモートワークが増える中で、ずっと外出できないと楽しみの選択肢が減ってしまう。その中で以前から気になっていたお菓子の定期便を試してみたいと考えて、実際に始めていただける人も増えている。「スナックミーが送られてくるのが楽しみになっています」という声を聞くと、僕らのサービスが役に立っているシーンが増えてきたと感じ、うれしい。

コロナへの向き合い方

消費者マインドが確実に変わっている。当初はいつ戻るのかを待っていた。こんな状況になったけど、いずれ戻るんだという意識が強かったと思うが、今はもう元の世界には戻らないのではないか、戻らずに変化したままなのではないかという意識に変わってきている。こうした不可逆的な変化にいかに対応していくか。落ち着くのを待つのではなく、積極的に動いていかないと取り残されるのではないかと考えている。

新しい世界で、より強くなるというマインドを

これからどんなことが予想されるか

いろんなことが予測できる一方で、今の状態が予測できなかったのも確かだ。何が起こるかいろいろと考えつつも、これはもうわからないという思いも正直ある。例えば、お菓子、おやつを扱っているが、今後は生活必需品が求められると予測し、米や水を売ったほうがいいと考えて取り組んでしまうと見誤るおそれがある。消費者マインドとして、おやつは不要不急だけど、家に2カ月間閉じ込められてみると、おやつがないと実は生きていけないという人も少なくない。それは2カ月後にわかってくることであり、今の時点で予測するのは限界がある。

例えば、スーパーに行くと、これまで見たことのないくらいビールがなくなっていたり、マンションのごみ捨て場にワインの瓶がたくさん捨てられているのを見ると、居酒屋に行けないから仕方なく家で飲んでいる人が一定数いることがわかる。だから予測はするが、今起こっていることを肌で感じることが大事だと思う。

マーケティングの活動の変化

誰に何を伝えるかが大事だ。それが微妙に変わってきている。僕らも最初は無添加で良いものを届けることを中心に意識していたが、今は「こういう商品が届くと楽しい」という体験価値向上への訴求に変えている。

最近は自宅にいる時間が長くなっている。僕らのおやつ体験BOXを使っていただくことと街のカフェで一息つくのは似ていると感じるので、自宅でもカフェ気分が味わえるという訴求を行っている。お客さまの中には、カフェに行けなくなって初めて自分の隠れたニーズ、そういう時間の大切さに気づいた方もいらっしゃると思う。これからそういう気づきにきちんと応えていきたい。

プロモーションの見せ方は難しいが、「誰に何を伝えるか」というベースの見直しをしている。以前はプロモーションやマーケティングの施策に関する成功のセオリーがある程度あったと思うが、今は世界が変わってきて通用しない面も大きい。そういうところも、またゼロから始めるんだと意識している。

世の中に対するメッセージ

世界は変わったので、変化を受け入れた上で適合していかなければならない。大変だが、必死に食らいついていった結果、会社としても個人としても、元の状態より強くなっていくのではないか。新しい世界で強くなるんだというマインドを持ち、事態が収束するのを待つのではなく、積極的に動いていきたい。

 

なお、2日目以降のスケジュールと出演者は以下の通り。(敬称略)

Day2: 4/23(木)18:00-19:50
・arca CEO /クリエイティブディレクター 辻 愛沙子
・栃木SC マーケティング戦略部長 江藤 美帆
・謎のツイッタラー  jigen_1

Day3: 4/24(金)18:00-19:50
・ベイジ 代表 枌谷 力
・ウェブライダー 代表取締役 松尾 茂起
・ティネクト代表取締役 Books&Apps編集長 安達 裕哉

Day4: 4/27(月)18:00-19:15
・アナグラム 代表取締役 阿部 圭司
・オイシックス・ラ・大地 執行役員CMT 西井 敏恭

Day5: 4/28(火)18:00-19:15
・ニューバランスジャパン マーケティング部 ディレクター 鈴木 健
・inquire Inc CEO モリジュンヤ

Day6: 4/30(木)18:00-19:15
・オールユアーズ 代表 木村 まさし
・ナノユニバース 経営企画本部WEB戦略部部長 越智 将平

Day7: 5/1(金)18:00-19:15
・シークレットゲスト

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