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ハヤカワ五味が譲れない5つのルールとは?書籍出版記念イベントレポート

最終更新日:2022.03.08

株式会社ウツワ代表取締役社長・ハヤカワ五味さんの著書『私だけの選択をする22のルール』の出版を記念したイベントが、東京・飯田橋にある株式会社KADOKAWAで12月5日に開催されました。イベント当日は、70名ほどが参加。ハヤカワさん本人から出版の経緯が語られたほか、「自分のルールを見つけるためのワークショップ」が開催されました。

Marketing Nativeでは、イベントの内容をダイジェストでご紹介するレポートと、ハヤカワさんのインタビューの2回に分けて記事をお届けします。

(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美 撮影:永山昌克)

目次

特に大切にしてきた5つのルール

イベントはまず、ハヤカワさんの自己紹介からスタート。その後、著書『私だけの選択をする22のルール』の概要が語られました。書籍にはハヤカワさんが現在に至るまでの半生が書かれており、その過程でどのような選択をしてきたのかが書かれています。また、ハヤカワさんが選択した22のルールについても紹介されており、イベントでは、22のルールの中でも特に大切にしてきた5つが取り上げられました。


ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)
1995年生まれ、東京都出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を開始。「GOMI HAYAKAWA」「feast」「ダブルチャカ」と複数のブランドを立ち上げている。2018年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗「LAVISHOP」を出店(~2019年8月)。2019年からは、プロジェクト「illuminate」をスタート。
Twitter:@hayakawagomi  https://utw.co.jp/ https://illuminate-pjt.com/


▲ハヤカワさんは、会社を経営するようになって5年を経た今が節目だと感じ、書籍の出版に至ったとのこと。タイトルにも入っている「22のルール」について、ハヤカワさんは「誕生日が8月22日だから、22のルールなのかもしれません」と語った。

ハヤカワさんが特に大切にしてきたルールは、次の5つです。

  • 目的を明確にする
  • “成功”になるまで続けてみる
  • 決断するときは焦らない
  • 得意なこと以外は人に任せる
  • そのときどきで、視点を切り替える

それぞれのルールについて、イベントで語られた内容を簡単にご紹介します。

目的を明確にする

仕事をしていると、目的と手段が入れ替わってしまうことがよくあります。そのため、何事も目的を明確にすることが大切です。例えばハヤカワさんの場合は、目的が「女の子をエンパワーメントする」で、手段が「会社を経営する」だったのが、いつの間にか視野が狭くなり、「経営をうまくすること」が目的になっていたそうです。会社経営以来、初めての長期休暇で、ハヤカワさんは「この仕事をあえて続けている理由」を考えることができ、あらためて「女の子をエンパワーメントする」という目的に立ち戻れたと言います。

“成功”になるまで続けてみる

会社を経営するハヤカワさんのもとには、よく「成功するかどうか」という相談が来るそうです。しかし、「成功するか否かではなく、うまくいかせるかどうか」とハヤカワさんは言います。成功とされるまでやりきることが重要で、たとえ「こんな事業はうまくいかない」と言われたとしても、地道に続ける人は強いのだそうです。

決断するときは焦らない

余裕がないほどブレやすいので、大きな決断をするときは焦らないことが大切です。決めること自体は簡単ですが、正しく決めたり納得して決めたりするのは容易ではありません。「起業家の仕事は意思決定をすること」と言われるくらい、決めることは難しいのです。

得意なこと以外は人に任せる

ハヤカワさんは、得意なこと以外はできる人に任せるようにしていると言います。自分の苦手なことは得意な人に任せたほうが、仕事のクオリティが上がり、会社の成長にもつながったそうです。

そのときどきで、視点を切り替える

自分の考えている判断基準が「100%正しい」と思わないことが重要です。行き詰まってしまったときは、ほかの人の力を借りて視点を切り替えたり、自分自身で違う見方をしてみたりすると良いでしょう。

自分にとってのルールを見つける方法

著書に関するトークの後は、セミナーの参加者自身が大切にすべきルールを見つけるワークショップが行われました。参加者にはワークシートが配られ、ワークショップはハヤカワさんの説明に沿って進められました。

今回のワークショップで行われた「自分が大切にすべきルールの見つけ方」は、次の通りです。

  1. 自分が大切にしていることを、ふせんに15個書き出す(可能な場合は30個くらい書き出しても良い)
  2. 書き出した中からベスト5(特に大事にすべきこと)を選ぶ
  3. ベスト5の事柄について、なぜ大事なのか、どうしたら守れるのかを考えてみる
  4. 自分にとっての5つのルールができる


▲参加者と一緒に、自分が大切にしていることをふせんに書き出すハヤカワさん。

会場では、まず5分間で自分が大切にしていることをふせんに書き出す作業が行われました。書き出した中からベスト5を選んだら、隣の席の人とお互いのベスト5について簡単に話します。「愛」「平和」「母親」「会いたい」など、参加者が選んだワードは、それぞれ全く異なりました。ほかの人が大切にしていることを受けて、参加者それぞれに新たな発見や驚きがあったようです。最後に、5つの大切にしていることを守るためにどうすれば良いかを書き出したら、自分にとってのルールの完成です。


▲書き出した15個のふせんの中からベスト5を選び、隣の席同士で参加者たち。ハヤカワさんも参加者の選んだベスト5をチェック。

参加者との質疑応答

セミナーの最後には、30分ほど質疑応答の時間が設けられ、参加者が今回のセミナーを通じて気になったことや、普段から知りたいと考えていたことなどをハヤカワさんにぶつけました。いくつか挙がった中から、印象的だった質問とハヤカワさんの回答をご紹介します。

Q.自分の得意なことにはどうやって気付きましたか?

ハヤカワ 自分が得意なことを見つけるのって難しいと思うので、人に聞くのが一番いいですね。人にひがまれることや、うらやましがられることは誰にでもあるはずなので、それを素直に教えてくれる友達をつくるといいと思います。

ほかの人が得意なことを見極めるのも、一つの方法かもしれません。エーリッヒ・フロムの著書『愛するということ』に「愛するという技術は、他人に対しても自分に対しても同じ技術ではないか」といったことが書いてあって、「そうだな」とすごく共感したんです。自分の得意なことを見つけるのも、ほかの人の得意なことを見つけるのも、本質的には一緒なんですよね。だから、ほかの人の得意なことを見つけられるなら、自分の得意なことも見つけられるはずなので、ほかの人の得意なことを見つけるスキルを磨いていくんです。客観的に自分のことを見てみたり、他人だと思って自分のことを褒めてみたりするのが意外と重要だと思います。

Q.ハヤカワさんのラジオ「妄想の泉」をいつも聞いています。ハヤカワさんがゲストの話を絶対にさえぎらないのが印象的です。お話しするときに心がけていることを教えてください。

ハヤカワ 相手と年齢が離れていたり、仕事が違っていたりすると、共通項を見つけるのが難しいですよね。でも、自分の中に引き出しが多いと、何かしらの共通項は見つけられます。また、私は普段から関連付けることが好きなので、「それってこれと似ていますよね」と関連した話題を話すことができます。

例えばゲストが宇宙飛行士だったら、宇宙や宇宙飛行士のことは詳しくないけれど、重力の本は読んだことがあるので「重力と宇宙って関連していますよね」と話題を振ってみます。それがドンズバの話題ではないかもしれないけれど、「それって実はこうなんだよ」と相手が安心して話せる土壌をつくるようにしていて、共通項を投げると返ってくるのを私自身も楽しんでいます。

あとは、AbemaPrimeで3年半くらい番組をやっていて、MCとして出演していた最初の頃は、「どのようにゲストの人に話していくか」を重要視していました。私も意見はしますが、自分のことだけを話すのではなく、相手が話したくなり、自分も聞きたくなる場をつくって、それに対して自分が意見をする、それで話が盛り上がるというフローを踏むようにしています。

「会話が苦手」「人と仲良くなれない」という人は、まず自分の引き出しを増やすところから始めるといいと思います。引き出しを増やすのは自分の好きなところからで良くて、食べるのが好きだったら「食」でいいんです。「ラーメンだったら、あのお店がおいしいですよね。食べに行きました」みたいな感じで、何か一点突破でいいから、引き出し数がめちゃくちゃ多いジャンルをつくります。専門的な領域でもいいので、「これだったら話題を投げられる」というジャンルがあると、どんな人が来ても、たいていの会話はおもしろくなります。

Q.特に大切にしてきた5つのルールの中に「“成功”になるまで続けてみる」というのがありますが、ハヤカワさんにとっての成功とは何ですか?「成功したな」と思うのはどのようなときでしょうか?

ハヤカワ 成功の基準もいろいろあると思います。自分の場合は成功とするタイミングがいくつかあります。ゲームの「ドラクエ」に例えると、レベル10~30でそれぞれ成功ポイントがあるように、大局での成功はまた別にあると思っています。

例えば、ランジェリーブランド「feast」の場合だと、まず「知ってもらう」というのが第一関門でした。第二関門が「実際に買ってもらう」、第三関門が「買い続けてもらう」といった感じでいくつか関門があり、一つずつ成功していったと判断しているので、大きな意味での成功は意外と追っていません。

でも、これって結構重要だと思います。仮に、目指すべき目標を世界平和にすると、成功するまで続けるのが難しい。「今日もまた平和じゃなかった」とすごく落ち込みそうだし、心が折れそうじゃないですか。だから、「世界平和」→「女性をエンパワーメントする」→「ネガティブな価値観やコンプレックスをなくしていく」→「そのための『feast』」といった形で目標を細分化するんです。一つずつクリアすることで最終目標に到達するように組み立てればいいですし、全部を達成できなくても「ここまでできたらえらい」と思えれば、踏ん張りがきくし、自信もつくはずです。

Q.自分で自覚している得意なこと、強みを5つ教えてください。また、所属されているコミュニティでどういう役割を担うことが多いですか?

ハヤカワ 一番の強みは知的好奇心が異常に強いことで、その上で、情報の関連付けが得意です。AとBとCという情報があったときに、「実はAとBがDという部分でつながっているよね」みたいな情報の関連付けができます。3つ目が、中長期的な記憶力が高いところです。短期的な記憶力はあまりないのですが、関連付ける力によって情報にタグ付けがされていて、中長期的な記憶力の高さにつながっているのだと思います。4つ目が、物語を語るのがうまいところです。人にストーリーを伝えたり、人の心を動かしたりすることが好きなんだと思います。未来のことを考えるのが好きなので、5つ目は想像するのが好きなところでしょうか。

トータルすると、いろいろな情報を集めて関連付けをさせて、整理整頓して未来のことを考えたり、現状を整理して人に伝えたりすることが得意です。意外と手を動かさないので、言うことを判断して伝えていくのが一番の仕事だと考えています。

Q.大学生です。みんながよくなるために、まずは自分ができることとして女の子を応援したいと思ってスモールビジネスを考えているのですが、Twitterで情報を発信するときにうまくまとめられなかったり、誤解を生みかねない表現になったりして難しいです。ハヤカワさんはTwitterで発信するときに気をつけていることはありますか?

ハヤカワ ジェンダー系の話がややこしくなりやすいのは、「Aを肯定することで、Bを否定していることになるのではないか」という理論が通ってしまうからです。「女性をサポートすると、男性を下げることになるのではないのか」という意見がTwitter上の議論でも見られることがありますが、この思想のもとにあるのが「ゼロサムゲーム」(※)という理論です。「パイが限られている」と思われているんです。「皆で食べるケーキの量が決まっているから、女性の食べるケーキを増やしたら、男性側のケーキが減る」というような議論が起きています。でも、私は「女性側の食べるケーキを増やしたら、全体のケーキの量が増える」と思っているんです。男性側のケーキの量を減らさなくても、全体のケーキの量が増えたらハッピーじゃないですか。それが伝わるとベストで、そうした部分で皆が誤解しているという前提に立って話すといいと思います。

その上で大事なのが、文章の主語と述語です。「女は」「男は」と言うと主語が大きすぎるので、「私」なのか「私の友達」の話なのかといった感じで、主語の範囲の広さをはっきりさせることが大切です。あとは、思っていることなのか、断定事項なのか、述語の部分で確定させます。どれくらいの主語の大きさと確度での話なのかが重要だと思います。

※ゼロサムゲーム:参加者の一方が得点すると、もう一方が失点し、持ち点全体の合計が必ずゼロになるという理論。

イベントの最後、ハヤカワさんは「選ぶのは難しいけれど、大事なことだと思います。『今日は何もできなかった』ではなく『今日はこんな選択ができた』と自分を褒めてほしい。そうした思いが今回のイベントや書籍を通して伝わると嬉しいです」と語りました。

ハヤカワさんのインタビューは、12月下旬に公開予定です。

 


『私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと』
(株式会社KADOKAWA)

情報であふれる現代において、自分らしく選択する方法とは?若くして起業し、現在は多方面で活躍するハヤカワ五味の歩みを振り返り、選択することの重要性を解き明かす一冊。

 

 

 

 

 

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
X:@sleepy_as
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