先行き不透明な時代にイノベーションを起こす考え方のきっかけになるとして、ビジネスの世界でも注目される「アート」。一方、そうした「HOW」型に偏りがちな思考法ではなく、まず「WOW!」と感じて楽しむことが大切だと主張して脚光を浴びているのがOVER ALLs代表の赤澤岳人さんです。創業6年目ながら、昨年すでに『情熱大陸』(TBS系)にも出演を果たしました。
OVER ALLsが注力する4つの事業のうち、圧倒的な需要を見込めそうだとして事業開発を進めているのが、あまり聞き慣れない「Art X事業」です。Art Xとは何か。今回はOVER ALLs代表の赤澤岳人さんに話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)
目次
2030年までにアートで会社と学校を楽しくする
――「OVER ALLs」とはどんな会社ですか。
アートを真っ向からビジネスにしている会社です。「楽しんだって、いい」という企業理念を掲げ、「楽しい国、日本」を作るための手段としてアートを活用しています。「楽しい国、日本」とは、正解ばかりを求めてきた「HOW」型の社会ではなく、個人がそれぞれの価値観で「WOW!」と感動し表現できる素晴らしさをもっと互いに認め合って暮らせる社会を意味しています。
具体的なビジョンを申しますと、2025年まではオフィスアートの導入などを通して会社を楽しくすることを目指します。その後、2026年から2030年までの5年間はアートで学校を楽しくしようと考えています。学校の授業の多くは正解を教えることだけを目的にした教育になっていると思います。「音楽」は音「学」ではなく「楽」になっているから楽しい科目とされますが、「美術」はハウツーの「術」で、正解を求める科目の1つになっています。私はこれからの日本が豊かな国へと成長するためには、心の「WOW!」を互いに認め合うような科目・授業による教育が大事だと信じています。2030年までに学校を楽しくすることを実現できれば、会社と学校が楽しくなり、人生はもっと楽しくなるはずです。
――学校教育を変えるのは、ハードルが高くないですか。
おっしゃる通りです。だからまず会社を対象にしています。会社は基本的に経営者がGOサインを出せば動けますから、会社を変えるほうが早いでしょう。そこで実績を積んで信頼を獲得し、次に学校教育に入っていきたいと思います。
既存事業より大きな可能性を秘めたArt X事業
――壁画やオフィスアートが多いとのことですが、どんなふうに仕事を受注してくるのですか。
受注の流入経路は現状、営業ではなく、ほとんど問い合わせです。メディアのコンテンツや私のTwitter、あとはリレーションによるご紹介でOVER ALLsを認知していただき、そこから問い合わせを受けています。クライアントは主に「オフィス・店舗」「商業施設」の2つです。
先ほど2030年までのビジョンをお話ししましたが、実は2040年までを見据えた4つの柱を会社の事業として設定しています。
- 壁画アート
店舗やビルの壁に描くもので、シンプルにアートそのものを欲している経営者の方をはじめ、「店の雰囲気やストーリーを壁画で伝えたい」とおっしゃる方などさまざまなクライアントがいらっしゃいます。 - オフィスアート
企業理念や会社の歴史、未来などを描くもので、主にブランディングの一環として活用されています。制作時には従業員の方々と一緒に何度も打ち合わせを行うなど、私たちも深入りして仕上げていきます。 - セレクトショップの経営
東京・目黒に「OVER ALLs STORE」というセレクトショップを経営していて、アートの販売やOVER ALLsの紹介などを行っています。 - Art X事業
私たちは「アートトランスフォーメーション」と呼んでいます。
――「Art X」とは聞き慣れない言葉ですね。
2つ目の柱のオフィスアートに関連した事業なのですが、既存事業よりも大きなインパクトを見込めることがわかりまして、大手外資系コンサルティングファームと提携させていただいて事業開発を進めているところです。
――その「大きなインパクト」について具体的に教えてください。
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