動画の活用に興味を持っているマーケターは多いのではないでしょうか。YouTubeやInstagramなどの利用者が増えるのに伴い、SNSなどで注目されている人を「インフルエンサー」として、商品やサービスの宣伝に起用する「インフルエンサーマーケティング」も、認識が浸透しつつあります。
SNSの中でも若い女性に人気のTikTokは今年、「TikTok for Business」を始めました。TikTokで注目されるタレントの中に、500万人のフォロワー数(2020年11月19日現在)を誇る景井ひながいます。景井はTikTokの投稿を本格的に始めてからわずか10日間で10万フォロワー、9カ月で100万フォロワーを獲得しました。お茶の間の人気者でもなかった景井が、なぜこのような支持を獲得できたのでしょうか。
今回は景井が所属する株式会社ホリプロデジタルエンターテインメント代表取締役社長の鈴木秀さんに、フォロワー獲得のポイントやビジネスに活かす動画作成のコツなどについて話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)
目次
ホリプロ子会社が仕掛けるインフルエンサーマーケティングの特徴
――ホリプロデジタルエンターテインメントの主な業務はインフルエンサーマーケティング、タレントの育成、コンテンツ作成ということですが、インフルエンサーマーケティングを手掛ける他社との違いはどこにありますか。
芸能プロダクションですから「インフルエンサーマーケティング」なのは当たり前で、基本的には以前から行われていたマーケティング、あるいはPRの一部がインフルエンサーマーケティングとして言語化されただけだと考えています。
弊社の特徴は、エンターテインメントを科学することです。個々のタレントの特徴を基に熱量の高いファンをどのように獲得するか、クライアントのニーズを探り、どんなサービスや価値、体験を提供すれば満足いただけるかなどを逆算し、科学的に考えながらタレント育成を行っている点にあります。
――単純に「インフルエンサーを起用してクライアントの商品・サービスを宣伝するからファンが買ってくれますよ」という売り方ではない、と。
そうですね。そのため、いろいろな企業様からご依頼を頂いても、我々のタレント育成のストーリーや応援してくださるファンの特徴と合わない場合はお断りすることが少なくありません。ご提示いただく金額とは別問題です。
――YouTubeに参入する芸能人が増えてきた印象があります。御社はどのように差別化してビジネスを展開していくお考えですか。
YouTubeといってもTwitterやInstagramなどと同様に、大きな障壁もなく手軽に始められますから、芸能人が「参入している」という特別な印象は持っていません。ただ、芸能人がたくさんファンを連れてきてくれるとYouTube市場が活性化されますので、その点は素敵なことだとは思います。
とはいえ、芸能人のYouTube動画には素晴らしいコンテンツがたくさんある一方で、中には作家が書いた台本のまま演じている方もいらっしゃるようです。それではテレビと変わらないので、そういう芸能人がこれからもっとYouTube市場に入ってきても、さほど脅威には感じません。なぜなら我々のタレントは皆、何かしら特化した才能やスキルを持っていますので、ニッチな領域で深さを追求したコンテンツを提供できるという強みがあるからです。ただ知名度や人気があるという理由で、芸能人が何のストーリーもなく「この商品、いいですね~」と宣伝するだけのマーケティングとはそこが大きく異なります。
ホリプロデジタルエンターテインメントは、個々のタレントをそれぞれの会社の経営者とするホールディングス化を目指しています。最終的には「Person to Customer(P2C)」として、ユーザーに体験やサービスを直接届ける姿を描いていまして、現在4つの事例が進行しています。
「景井ひな」というタレントはTikTokで500万人のフォロワーがいて、スポーツブランドの「ミカサ(MIKASA)」様と協業し「MIKASA STAR」という新しいアパレルブランドをプロデュースしました。
「美容整体師川島さん。」というタレントのYouTubeチャンネルには約66万人の登録者がいます。彼に施術してほしいという顧客をSNSで獲得し、宮崎・東京・大阪に3店舗を出店して価値提供を行っています。
「桃衣香帆」というタレントは「グラビア×管理栄養士」で、美しいボディライン持っている強みを活かし、彼女が監修したお弁当をUber Eatsで注文できるようにしています。
「のぼりもえ」というタレントは、薬学部に通う女子大生で、コスメ情報を発信しています。Instagramに約6万人のフォロワーがいて、自分でオリジナルのコスメブランドを立ち上げました。
こうしたビジネスをさらに発展させていくのが我々の考えです。
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