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PMFを目指すスタートアップ必見!才流 栗原康太が教える「保存版・PMFの成功パターン11」【シード・ゼミレポート第5回】

最終更新日:2026.10.22

創業期のスタートアップを対象とした講座「シード・ゼミ」(主催・ビタミン株式会社)のレポート第5回は、株式会社才流 代表取締役社長・栗原康太さんによる「PMF(プロダクトマーケットフィット)のパターンと必要なアクション」をお届けします。

押さえておきたいPMFの基礎知識をはじめ、PMFを達成する際のパターンや取るべき行動など、創業期のスタートアップ企業の経営者、スタッフともに必読の内容です。

(構成:Marketing Native編集長 佐藤綾美、画像提供:株式会社才流)

目次

PMFしていないシグナルとPMFシグナル

栗原 才流では、PMFを「商品と市場が適合している状態」と表現しています。もともとはアメリカのベンチャーキャピタル・Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の創業者であるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が2007年に自身のブログでPMFの重要性を述べたところ(※)、世界中のスタートアップに考え方が広がったとされています。日本では、上場企業経営者やスタートアップへ投資を行う投資家の方々が「まずはPMFを見つけることが重要だ」と会話するようになったのを1つのきっかけに、「PMF」という言葉自体が広く知られるようになってきました。

※The Pmarca Guide to Startups, part 4: The only thing that matters(Wayback Machine上のアーカイブ)

PMFの概念をイメージした図(提供:株式会社才流)

マーク・アンドリーセン氏の発言内容に、「市場を満足させることができる商品で、正しい市場にいること」という言葉があります。例えば100億円規模の企業が存在できるような大きな市場で、お客さまのニーズや悩みを解決可能なプロダクトがあると、スタートアップは成功できますが、小さすぎる市場で優れたプロダクトを供給したり、大きな市場でお客さまのニーズにマッチしないプロダクトを提供したりしても成功できません。

また、下のイラストはモバイル決済企業のSquareに買収されたWeeblyの創業者デイヴィッド・ルセンコ氏が表現していたPMF前後のイメージを図にしたものです。PMF前は大きな岩を押しながら山を登っているかのように大変ですが、PMF後はその山から大きな岩が転がるようになり、それを必死になって追いかけるような状況になります。PMF前は顧客のニーズを満たせていないことが多く、どれほど努力してもプロダクトが売れませんが、PMF後は次第に問い合わせが来るようになり、対応する人手が足りなくなると言われています。

Weeblyの創業者デイヴィッド・ルセンコ氏が表現していたPMF前後のイメージを図にしたもの(提供:株式会社才流)

スタートアップでは「知り合いには売れるが、それ以上に広がっていかない」「200件の商談を獲得したが、受注率は1%以下だった」などのケースが散見されます。そうした状況に陥ると、新規事業責任者やスタートアップ企業の経営者の多くは、「もっと営業やマーケティングを強化すれば売れるのではないか」と考えるでしょう。例えば営業が弱いと考えて営業研修やロールプレイングを実施したり、SFAを導入したり、「知り合いには売れているから、プロダクトは良いはずだ」と考えてWebサイトのリニューアルやSNS運用、広告出稿をしたり、「ハウスリストはあるからMAを導入してナーチャリングしよう」となったりしがちです。

しかし、私の経験上、売れていないプロダクトを営業やマーケティングの強化で伸ばそうとしても売れることはありません。スタートアップの中でもシリーズC~D、もしくは上場しているケースであれば、営業や広告宣伝のような施策も効果が出ますが、シードラウンドやシリーズAの段階ではうまくいかないでしょう。

以下に挙げる「PMFしていないシグナル」が出ているときは、見直しが必要なフェーズと言えます。例えば、営業なら「商談から受注までの期間が長く、見込み客の検討の熱量が低い」、マーケティングなら「リード数が増えても受注につながらない」などが挙げられます。BtoB企業で象徴的なのはお客さまが満足していないときに見受けられる「事例インタビューが増えない」「既存顧客から紹介が発生していない」などのシグナルです。

PMFしていないシグナル一覧(提供:株式会社才流)

では反対に、PMFしているとどのようなことが起こるのでしょうか。代表的な例を3つご紹介します。

プロダクトのローンチ初期にPMFを達成したサイボウズ株式会社では、有料ライセンスの申込書のFAXが止まらず、1期目から計画の3倍弱もの売上を達成したとインタビューで語られていました。また、株式会社SmartHRは、コンセプト検証の段階でFacebook広告を予算2万円で出稿し、登録者が1カ月で約200名集まったそうです。他にも、スタートアップの例ではありませんが、「片づけコンサルタント」のこんまり(近藤麻理恵)さんは「片づけコンサルタント」として独立後すぐに半年先まで予約が埋まる状態になったと言います。

以上の例はベスト・オブ・ベストのケースですが、明らかにPMFのシグナルが出ている状態です。例えば下の図にあるようなPMFシグナルが出ているほど、PMFに近い状態であると判断できます。

PMFシグナルの例(提供:株式会社才流)

PMFシグナルのチェックリスト(提供:株式会社才流)

PMFのパターン【Product側を変える】

ここからは、2022年10月に刊行した書籍『新規事業を成功させる PMFの教科書』には未掲載で、改訂版を出せるとしたら載せたいと思っている内容です。書籍の執筆にあたって14社ほど取材したり、才流で新規事業を支援したりする中で、PMFを達成するために見直すと良いポイントが見えてきたので、「PMFパターン」としてまとめました。

PMFを達成するために見直すと良いポイントをまとめた「PMFパターン」(提供:株式会社才流)

PMFは「Product Market Fit」の略なので、変数としては「Product」と「Market」に分けられます。そのため、PMFに至るパターンは「Product側を変える」と「Market側を変える」の大きく2つに分類でき、そこからさらにいくつかのパターンに分かれます。それぞれ例とともに解説します。

便益を変える

1つめがお客さまに訴求するプロダクトの便益を変えてPMFするケースです。過去に関わった事例では、グループウェアの移行支援を行う企業の訴求する便益を変更したところ、LPのCVRや商談の受注率を3倍に上げることができました。

PMFパターンの1つ「便益を変える」の事例(提供:株式会社才流)

当初お客さまのニーズは「グループウェアを移行して業務効率化を図ること」と仮説を立て、具体的な機能を説明したり、移行支援した企業の実績数を紹介したり、FAQで移行にかかる期間を答えたりしていました。しかし、ある程度の成果は出たものの、お客さまの数が激増するほどには至らなかったため、営業担当者にインタビューを行い、選んでいただける理由を深掘りしたところ、お客さまの本質的なニーズは他のところにあるとわかったのです。お客さまが本当に気にしていたのは、移行時に会社の重要なデータが消えたり、社内から使い勝手に関する問い合わせが殺到したりといったトラブルがなく、スムーズに移行できるかどうかでした。そのため、東証プライム(当時東証1部)に上場している企業のグループ会社であることや大手企業との実績、手厚いサポート体制など、訴求する便益を変更したところ、PMFに近づきました。

採用管理システムを開発・提供している株式会社HERPも、便益の変更によりPMFを達成した企業の1つです。採用管理業務の効率化をコンセプトにマーケットに参入したものの当初は思ったように売れず、お客さまに話を聞いてみたところ、「業務を効率化したい」よりも「採用を成功させたい」というニーズのほうが強く、「採用業務を効率化させても、空いた工数で担当者に何をしてもらえばいいのかわからない」と感じていることがわかりました。採用を成功させるには、経営者や採用担当者だけでなく、全従業員が一体となって採用活動を行う必要があります。そこでたどり着いたキーワードが「スクラム採用」で、スクラム採用の実現をサポートするプロダクトとして売り出したところ、マーケティングやセールスのパフォーマンスが向上したそうです。

性能を変える

PMFパターンの1つ「性能を変える」の事例(提供:株式会社才流)

Webメディアの広告収益最大化などをサポートするプロダクト「FLUX AutoStream」を展開する株式会社FLUXは、性能を変えることによりPMFを達成した企業です。同社のターゲットとなるメディア企業の関心事は「どれくらい収益を改善できるか」ですが、プロダクトの提供開始当初は性能が未成熟だったこともあり、約3%しか上がらないことがあったそうです。そのため、海外で類似ツールを展開している企業から学ぶなどして性能を改善したところ、20~40%ほど収益をアップできるようになったそうです。結果として、紹介での導入が増え、営業に行った瞬間に発注が決まることもあったと言います。

サポートを変える

PMFパターンの1つ「サポートを変える」の事例(提供:株式会社才流)

「サポートを変える」は才流で新規事業を支援する際によく使う手法で、BtoB領域では再現性が高いと考えています。オンラインやオフライン広告の売上への影響を分析し、出稿プランニングに活かせるツールを開発・提供している株式会社サイカも、サポートの変更によりPMFを達成した企業です。

同社のプロダクトは比較的初期から市場に受け入れられて売れていたものの、お客さまがうまく使いこなせず、解約するケースが多々あったと言います。そこで、導入後1年間はハイタッチなサポートを提供し、プロダクトを使用して広告の分析を行い、次のプランニングに活かすところまでお客さまをしっかりとフォローするように変更。お客さまにプロダクトを使ってもらえるようになり、成功事例が増え、商談受注率が向上しました。

サービスラインナップを変える

サービスラインナップを増やすことでPMFを達成しているのがノバセル株式会社の事例です。同社では運用型テレビCMサービスをはじめ、クラウド型テレビCM効果測定ツール「ノバセルアナリティクス」、超高速定量調査サービス「ノビシロ」などと、顧客が抱える課題を解決できる、複数のプロダクトを提供しています。

テレビCMを初めて制作・出稿する層に対して『運用型テレビCM』のコンセプトで市場に参入した同社ですが、テレビCMの出稿だけに留まらないサービスラインナップを用意し、PMFを続けています。

ブランド名を変える

ブランド名を変えるのも意外と有効な手段です。才流の支援事例ではありませんが、アメリカ・ニューヨークにある飲食店で、メニューでの明太子の表記を「Cod roe(タラの卵)」から「HAKATA Spicy Caviar」に変えたところ、お客さまの印象が変化して一気に売れるようになったというエピソードがあります(※)。スタートアップや企業の新規事業では、横文字のプロダクト名で「かっこいいけれど、名前を聞いてもサービス内容がよくわからない」ケースがよく見られます。才流で支援しているクライアントでもブランド名を変えていただくことがありますが、わかりやすい名称にすることでPMFに近づくことがあります

※参考:ダイヤモンド・オンライン「ニューヨークで明太子がバカ売れした秘密」

コピーを変える

ブランド名を変える話に似ていますが、コピーを変えるのもPMFパターンの1つです。弊社が株式会社ベーシックを支援した事例では、同社が提供するBtoBマーケティングツール「ferret One」のコピーを変更したところ、LPのCVRが1.48倍改善し、1年でリードの獲得数が3倍になりました。

「ferret One」はサイト制作やメール配信などを支援するツールです。従前のコピーは「必要な機能がこれ1つで!」となっていましたが、弊社でユーザーインタビューを行ったところ、「何ができるツールなのかよくわからない」との声が多数ありました。そこで、「Web制作から集客・広告・顧客管理まで」とストレートなコピーに変更したところ、CVRが改善したのです。

PMFパターンの1つ「コピーを変える」の事例(提供:株式会社才流)

お客さまの課題解決を目的とするBtoB系のツールでは、表現の格好良さよりも、わかりやすいコピーにしたほうが、成果が出やすい傾向にあります。

デザインを変える

Webサイトや営業資料などのデザインを変更するのも、PMFに近づく大きな一手となることがあります。例えば弊社の子会社で運営している通信制高校の「サイル学院高等部」では、Webサイトのデザインを変えたところ、CVRが大きく向上しました。

「サイル学院高等部」は2022年に創立したばかりの新設校です。まだ開校したばかりで写真素材が少ないこともあり、当初はイラスト中心のサイトにしていたのですが、いざユーザーインタビューをしてみると「生徒の写真がないので実在するのか怪しい」と思われていたことが判明しました。そこで写真中心のサイトに変更したところ、CVRが改善し、資料請求の数も増加しました。

PMFパターンの1つ「デザインを変える」の事例(提供:株式会社才流)

狙いたい顧客層に対し、自社サイトや営業資料のデザインが適切か否かもPMFを達成する上で重要な検討要素の1つです。

支払い方法を変える

支払い方法を変えることによってPMFを達成したケースもあります。株式会社WACULが提供するマーケティングDXツール「AIアナリスト」は2015年のリリース当時、初回は無料で使用してもらい、2回目以降は1回解析するごとに3万円を支払ってもらうモデルにしていたところ、2回目以降も使われることが少なかったそうです。そこで都度課金から、月額制の課金体系にしたところ、売れるようになりPMFに近づいたといいます。

近年のECサイトではAmazon Payを導入すると、コンバージョンが増加する傾向にあると聞きます。また、クレジットカードでの決済にハードルがある企業も多いことから、請求書払いを選べるようにすると売上が伸びることもよく知られていますが、支払い方法を見直すこともPMFパターンの1です。

価格を変える

価格は意外と見直す機会が少ないですが、顧客が購買を決める上での重要な要素です。才流の支援事例ではありませんが、価格を下げることでPMFを達成したのがイタリアンファミリーレストランの「サイゼリヤ」です。書籍『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』(日経BPマーケティング)には、当初メニューを5割引きにしても顧客が増えなかったので、7割引きまで値段を下げて、スパゲティを150~200円にしたところ、1日20人だったお客さまが600~800人に増えたとあります。価格の変更もPMFを達成するための1つの切り口でしょう。

PMFのパターン【Market側を変える】

PMFパターン(提供:株式会社才流)

ターゲットを変える

「Market側を変える」の1つめのパターンは「ターゲットを変える」です。入退室管理システムの「Akerun」を提供する株式会社Photosynth(フォトシンス)は、スマートロックというプロダクトをtoC市場からtoB市場にターゲットを変えてPMFを達成しています。

同社で2015年に販売した家庭向けのスマートロックは、メディアにも取り上げられて当初から好調な売れ行きを見せたそうです。しかし、3カ月ほど利用データを見ていると利用率が次第に下がっていることがわかりました。「このままでは事業が立ち行かなくなる」と考え、顧客のセグメントごとに仮説を立ててインタビューを行い、長く使用してもらえる領域を探したところ、「従業員数が10〜300名程度の中小規模のIT企業」での入退室管理のニーズにたどり着いたそうです。Akerunの累計導入社数は7,000社以上になっています。

また、Web広告の運用自動化ツール「Shirofune」を提供する株式会社Shirofuneでは、既存顧客から複数のセグメントを洗い出し、優先すべきターゲットを絞り込んだことでPMFを達成しています。

PMFパターンの1つ「ターゲットを変える」の事例(提供:株式会社才流)

他にも、株式会社タイミーが提供するスキマバイトサービスの「タイミー」は、当初は飲食店にフィットし、サービスを伸ばしていましたが、コロナ禍で飲食店が従前どおり営業できなくなり、売上も減少。小売や物流、飲食の中でもデリバリーのセグメントにターゲットを変更したところ、コロナ禍でも業績を上げることができたと言います。

市場自体を変える

「Market側を変える」もう1つの変数は「市場」です。株式会社うるるのクラウド電話受付代行サービス「fondesk(フォンデスク)」はローンチ当初から、電話代行サービスの存在を知ってもらうため、新聞広告や記事広告などを出稿し、カテゴリー自体の認知を上げる施策に取り組んでいました。『代表電話の取次をアウトソーシングしたほうがいい』という市場やカテゴリーそのものの認知を増やすことで、PMFを達成している事例です。

PMFパターンに至るまでの具体的なアクション

以上のPMFパターンに至るまでには多種多様な行動が必要ですが、私の経験上よくヒントが得られる4つのアクションをまとめました。

  1. 既存顧客分析
  2. 受注・失注分析
  3. 解約顧客分析
  4. とりあえずリード・商談獲得

1.既存顧客分析

既存顧客分析は年に1回、もしくは数年に1回程度しか実施しない方もいますが、定期的に行うことをおすすめします。既存のお客さまの一覧を作成し、属性を付与して傾向を分析する手法です。

PMFに至るためのヒントが得られるアクションの1つ「既存顧客分析」(提供:株式会社才流)

売上は分解すると、顧客数と単価、リピートしてくれた回数や期間に分けられます(売上=顧客数×単価×リピート)。私の経験上、リピートしてくれる人、つまり継続期間が長かったり、購入回数が多かったりするお客さまの中に、良いターゲットや顧客ニーズが眠っているケースが多くあります。リピートしている、ということはその人たちにとってはプロダクトが欠かせなくなっている証左です。既存顧客の中で継続期間が長かったり、購入回数や頻度が多かったりする顧客の一覧を抽出し、特徴を探してみましょう。

2.受注・失注分析

受注・失注分析も、定期的に実施いただきたいアクションの1つです。具体的には、過去3カ月から1年くらいの商談を一覧化し、企業規模や担当者の役職などでセグメントを分けて傾向を見ます。

PMFに至るためのヒントが得られるアクションの1つ「受注・失注分析」(提供:株式会社才流)

上の図は弊社で過去に実施した分析データの一例です。この表にある通り、企業規模(年商)が50億円以上ある企業では商談受注率が高いですが、50億円未満では一気に下がっていることがわかります。

ここから言えることは2つです。1つは、商談受注率の高い企業規模50億円以上のセグメントに営業やマーケティング、プロダクト開発を集中させれば売上が伸びること。もう1つは、商談受注率の低いセグメントに対しても、メッセージや機能、価格を改善すれば売れる可能性があるということです。

受注・失注分析をしっかりと行っておらず、顧客の傾向を感覚的に把握し、勘違いしているケースは意外と多いので、ぜひ定期的に実施することをおすすめします。

3.解約顧客分析

3つめのアクションは解約顧客分析です。解約顧客分析では、解約したお客さまの一覧を作成し、傾向分析やインタビューを行います。特におすすめなのは解約インタビューで、解約の理由や決め手となった出来事、次に採用する製品・サービス、採用しない場合の理由などを聞くと、改善に活かせるようなインサイトを見つけられる傾向にあります。

PMFに至るためのヒントが得られるアクションの1つ「解約顧客分析」(提供:株式会社才流)

解約インタビュー自体は非常につらいものではありますが、「プロダクトを見直さなければ」「お客さまと向き合わなければ」と自身を追い込むトリガーにもなるので、組織の意識を覚醒させる上でもおすすめのアクションです。

4.とりあえずリード・商談獲得

PMFに至るためのヒントが得られるアクションの1つ「とりあえずリード・商談獲得」(提供:株式会社才流)

最後は弊社で「とりあえずリード・商談獲得」と称しているアクションです。PMFを目指すにあたり、仮説を立ててインタビューを行い、最小機能でリリースして製品を改善していくような教科書的なステップで進めるのは、現実的には難しい場合もあります。そこでおすすめなのが、とりあえず製品をリリースしてしまい、リード・商談を獲得し、受注や失注、解約を経験しながら情報収集を行い、製品を改善してPMFに向かう進め方です。当社の支援先でもこのステップに変更してPMFしたケースがあります。

PMFに至るためのヒントが得られるアクションの1つ「とりあえずリード・商談獲得」に有効な施策、あまり向いていない施策の一覧(提供:株式会社才流)

とりあえずリードや商談を獲得する上では、低コストかつスピーディーに実施できるマーケティング施策で検証する必要があります。新規事業の立ち上げと同時にオウンドメディアを制作し、SEOで流入を獲得しようとするケースをよく見かけますが、リード獲得までに時間もリソースも要するので、おすすめできません。我々が支援してきた経験では、検索広告やFacebook広告でまず100~200件のリードを獲得し、電話や商談をして反響を見つつ、高速で振り返りを行うのがPMFに早く近づけると感じています。

ビタミン・高松 栗原さん、ありがとうございました。シード期のスタートアップ企業関係者に最も押さえておいてほしいポイントがあれば教えてください。

栗原 スタートアップでは「特定のセグメントにフォーカスしましょう」と言われることがありますが、早すぎる最適化が弊害になるケースもあると感じます。常に次のセグメントに向けた展開もイメージしながら事業を進めないと、小さすぎる市場にフィットしただけで終わってしまいます。特定のセグメントに絞りすぎて、テストユーザーを見つけるのに苦労したり、営業・マーケティング施策の効率が悪くなったりしているケースもあります。

絞ったセグメントにあまり魅力がなかった場合、もっと良いセグメントを見つけるべきなのに、初期にフォーカスしたセグメントに固執してそれができなくなることがあるので、スタートアップの皆さんには、ぜひ広い視野を持ってプロダクトや市場を捉えていただきたいです。

【講師Profile】

栗原康太さんプロフィール画像(提供:株式会社才流)

栗原 康太(くりはら・こうた)
株式会社 才流 代表取締役社長。
東京大学卒業。2011年に株式会社ガイアックスに入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「メソッドカンパニー」をビジョンに掲げる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。著書に『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』(すばる舎)、『マーケター1年目の教科書』(黒澤友貴氏との共著、フォレスト出版)、『新規事業を成功させる PMFの教科書』(翔泳社)などがある。
https://sairu.co.jp/
Twitter:@kotakurihara

【ビタミン株式会社】

高梨大輔さんプロフィール画像(提供:ビタミン株式会社)

高梨大輔(たかなし・だいすけ)@dtakanashi

高松裕美さんプロフィール画像(提供:ビタミン株式会社)

高松裕美(たかまつ・ひろみ)@_romihee_
株式会社リジョブ(現株式会社じげんグループ)の創業役員の2人が2015年に創業し、エクイティファイナンス型のスタートアップを専門に、インハウスマーケティング支援やエンジェル投資活動を行う。2018年~2022年3月までスタートアップ企業のマーケティング支援コミュニティ「ビタミンゼミ」を運営。2022年8月より「ビタミンゼミ」の後身となる「シード・ゼミ」を開講し、信頼できる専門家から「一次情報」を全国の創業期企業に届ける活動を続けている。
https://note.com/teamvitamin/n/nbfc90efdd547

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記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
X:@sleepy_as
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