facebook twitter hatena pocket 会員登録 会員登録(無料)
注目トピック

「SEO研究チャンネル」平大志朗が徹底検証!WebメディアがChatGPTを上手に活用する方法

最終更新日:2023.06.30

問いを投げかけると答えが返ってくる対話型のAIチャットツール「ChatGPT」。公開から2カ月後の2023年1月には月間アクティブユーザー数が1億人を超えたと言われており、読者の皆さまの中にも使用経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

ChatGPTの活用法の中でも、マーケティング従事者が最も注目する1つが、コンテンツ制作における活用です。AIで作成した記事は本当に検索エンジンで評価されないのか。どのように活用すればコンテンツ制作の効率化を図れるのか。

今回は、衝撃的な性能の高さと活用範囲の急拡大が話題のChatGPTについて、株式会社CINC 取締役副社長/R&D事業開発室 室長で、YouTubeチャンネル「SEO研究チャンネル」を運営する平大志朗が緊急寄稿で検証します。

目次

 

2022年11月に公開された「ChatGPT」。

どのような問いを投げても確からしい文章を返すことから、その存在は一気に注目され、AIブームの再来を引き起こすきっかけにもなっています。

今までAIの話題は、主に機械学習エンジニアやその界隈で繰り広げられてきました。しかし、今回登場したChatGPTは、過去に類を見ない汎用性と精度の高さを誇り、また「チャット」という形でAI技術を提供したことにより、一般の方もその技術力の高さを体感しているようです。

結果、多くの人にChatGPTの革新性や利便性が伝わり、わずか数カ月間で「AI」の活用が一般のビジネスパーソンの間でも現実的になってきたと感じます。

また、今までのAI技術とは異なり、ChatGPTは人間が応対しているのではないかと思えるくらい自然な文章を返してきます。そのため、私がいるWebマーケティング業界、とりわけSEO業界では「ChatGPTにWebサイトの記事を書かせれば良いのでは?」という声も時折耳にします。

事実、ChatGPTにお題を投げれば、それらしい文章が返ってきます。

ChatGPTが書いた記事本文をWordPress(ブログ)に入稿すれば、わずか1分足らずでそれらしい記事を生成することも可能です。

内容はともかく、今まで人の手で何時間もかけて書いていた記事が、たったのワンクリックで無限に作れてしまう…そんな夢とも悪魔とも言える状況が、たった数カ月で現実のものとなってしまったのです。

果たして、ChatGPTで生成した記事は本当に集客できるのか?AI生成コンテンツに問題や課題はないのか?こうした疑問について検証し、考察してみました。

AIライティングで自然検索流入は獲得できるのか?

Webメディアの代表的な集客源として名が挙がるのが「検索エンジン」です。日々、多くの人がGoogleなどの検索エンジンを利用して検索し、Webサイトにアクセスしていることから、集客したいキーワードの検索順位が重要となってきます。

では、AIが書いた記事でも検索流入は獲得できるのか、検証してみました。

検証用のWebサイトを2つ構築

今回検証で設置したWebサイトの条件は下記の通りです。

■記事のテーマ
・サイトA→Webマーケティングに関するお題
・サイトB→スポーツに関するお題
■生成エンジン
・GPT-3(途中からtext-davinci-003に切り替え)※
■生成した記事本数
・サイトA→52本
・サイトB→60本
■期間
・2022年4月頃~2023年1月

※GPT-3:「Generative Pre-trained Transformer 3」の略。OpenAIが開発した言語モデル。text-davinci-003はGPT-3の次のモデルであるGPT-3.5に当たる。

半自動的に記事を生成し、人による目視確認、公開、Googleに登録(index促進)するシステムを構築しました。

バッチが起動し、公開されるまでの流れ

なお、この検証は、ChatGPTが公開される前から実施していたため、利用しているAIエンジンは「GPT-3」(途中からtext-davinci-003に切り替え)です。

定期的に生成プログラム(バッチ)が起動し、GPT-3を用いて記事を生成。WordPressに下書きとして保存し、最後は人が見て問題がなければ公開する流れを取りました。

自然検索流入を獲得するには

最終的には、検索順位1位を獲得することが重要ですが、1位を獲得するまでにはいくつかの過程を越えていく必要があります。

その過程をかいつまんで説明すると、下記の通りです。

【1】Googleにページが登録されるか?

ページがGoogleに登録されることを「インデックスされる」と言います。まずはGoogleのデータベースに登録されなければ、順位が上がる下がるの話どころではありません。

なお、登録されるには一定の品質基準をクリアする必要があり、品質が著しく低い場合は、インデックス登録されないことがあります。

上の図は、とあるWebサイトのインデックス登録状況を表したサーチコンソールの画面です。「クロール済み – インデックス未登録」とは、Googleがそのページにアクセスしたが、何らかの理由があってページを登録しなかったことを示します。

未登録になってしまう理由の一つに「ページ品質の低さ」があります。他ページと完全に重複している場合や、極めて品質が低いコンテンツである場合、Googleは登録を拒否する傾向にあります。

もし、AIによって生成されたページの多くが、この「クロール済み – インデックス未登録」に当たる場合、該当のページは「品質が低い」とGoogleから烙印を押されている状態の可能性もあります。

まず、インデックス登録をクリアしていく必要があります。

【2】表示回数は発生しているか?

表示回数」とは、Googleの検索結果上のページURLがユーザーに表示された回数を指します。

たとえ検索順位が低くとも、検索したユーザーの検索結果に表示されれば表示回数は1とカウントされます。

表示回数が一定数ある場合、時間の経過やページコンテンツの部分的修正を施すことで、順位上昇を期待できます。逆に、インデックス登録はされているものの、表示回数がほとんどつかない場合、ただ単にGoogleデータベース内にあるだけで、ユーザーのどの検索にもヒットしない状態にあると考えられます。

表示回数がほとんどつかない原因はさまざまですが、一つにページコンテンツの品質の低さが挙げられます。

検索ユーザーの意図を汲み取っていない粗悪なコンテンツページの場合、インデックスはされるものの、Googleのアルゴリズムがページを評価しないため、ほとんど検索にヒットしないことがあります。

【3】5位以内に表示されているか?

「5位」という順位はあくまでも暫定値ですが、要するにクリック圏内の掲載順位にいるかが重要になってきます。

どんなに表示回数を獲得していても、掲載順位が下のほうではほとんどクリックされません。見える範囲に記事はあるが、あまりにも順位が低すぎて誰も流入してこない状態です。

したがって、AIが書いた記事がアクセス数を獲得するには、メインとなるキーワード群でクリック圏内の順位に表示されている必要があります。

【1】Googleにページが登録されるか?
【2】表示回数は発生しているか?
【3】5位以内に表示されているか?

以上、3点を「AIが書いた記事が自然検索流入を獲得できるのか」を測る定点KPIとしました。

では、数カ月間検証を行った上で、どのような結果になったのか下記で説明します。

結果1:インデックス登録された記事は半分以下だった

まずチェックしたのがGoogleへのインデックス登録率です。記事ごとのURLのインデックス有無を確認し、集計しました。

結果、約半数以上の記事がインデックス登録されていないことがわかりました。

念のため、Googleクローラー(ロボット)のアクセスログも確認しましたが、すべての記事にクローラーが回遊していることも確認しました。それにもかかわらず、インデックス登録がなされていないということは、Googleクローラーが「ページの存在は知っているし、見てもいるが、登録するのは止めた」と言えます。

サイトA:Webマーケティングに関するお題、サイトB:スポーツに関するお題

規模が大きいデータベース型Webサイトの場合、インデックス登録率が低いケースを時々目にしますが、記事型かつ小規模なWebサイトでこれほどまでにインデックス登録率が低いのは目にしたことがありません(特例を除く)。

意図的なのか、AI(GPT-3)が書いた記事をGoogleがインデックス登録から弾いているとも推測できます。

また、2022年12月頃からインデックス化率が低下したのも気になるところです。

検証を始めた2022年4~6月頃まではインデックス化率もほぼ100%でした。しかし、徐々にインデックス化率が下がり、12月に入るとインデックス化率が急激に下がります。

因果関係はわかりませんが、2022年12月5日にGoogleは、ヘルプフルコンテンツアップデートというアルゴリズムアップデートを適用しました。このアップデートにより、Googleは価値の低いコンテンツやユーザーにとって有用でないコンテンツを自動的に識別し、検索での順位を下落調整しています。Google公式の説明では「サイト単位の順位調整」とあることから、インデックス登録までには影響していないと想定されます。

結果2:サイトBだけ上位検索順位を獲得

表示回数および検索順位のKPIですが、端的にまとめると、スポーツに関するテーマのサイトBだけ上位表示を達成し、微量ながら流入を獲得しました。

データ出典:Keywordmap

インデックス登録率が低いサイトBのほうが、クリック圏内の検索順位も付き、微量ながら自然検索からの流入数も獲得したのです。

逆に、サイトAはインデックス登録されたものの順位は全くつかず、クリック数はゼロでした。

通常の記事制作(人の手による制作)を行っていれば、今回の結果の何倍もの流入数も獲得できていたと想定されます。そう考えると、AI生成はコストパフォーマンス的にも割に合わないと感じました。

検証結果のまとめ

今回の検証結果をまとめると、次の通りです。

■インデックス登録
総じて低かった。Googleが意図的にインデックス登録を拒否しているように見受けられる

■検索順位と流入
・サイトAはゼロ。「インデックス登録はしたが、検索には表示しない」状態
・サイトBは一部ページにて流入を獲得。しかし、かけた手間を考えると、コストパフォーマンスは合わない

■総評
単純にGPT-3に書かせたところで、流入はほぼ得られない

今回の検証で特に驚いたのがインデックス登録率の低さです。数十ページしかないWordPressで構築したサイトにもかかわらず、半数以上がインデックス登録を拒否されている状態でした。

確かに、Googleの立場から考えるとAIに書かせた記事は是が非でもインデックス登録させたくないはずです。仮にAIが書いた文章であれば、同じような回答をGoogle自身が強調スニペット枠で回答すればよいわけです。また、同一のAIモデル(GTPシリーズ)が生成した文章が無条件でインデックス登録されるのであれば、GoogleはGPTの回答文章を部分的に持ち、表示するだけのGPT二番煎じに陥る可能性もあります。

では、AIが書いた記事か否かを判断することは可能なのでしょうか。

実は、多くの「AIライティング検出ツール」が既に存在しています。そして、ChatGPTの開発元であるOpenAI社もAI Text Classifierという検査ツールを公開しています。

画像出典:AI Text Classifier(筆者にて一部を加工)

テストサイトに掲載していた記事本文を試しにチェックしてみましたが、まんまと「AIによって生成された」と判別されてしまいました。もし同じ技術をGoogleも持っている場合、テストサイトに掲載されているほぼ全ての記事がAIによって生成されたものと判別できているのでしょう。

ちなみに、Googleの研究者が2021年に発表した論文「Generative Models are Unsupervised Predictors of Page Quality: A Colossal-Scale Study」によると、すでにGPT-2によって生成されたテキストを判別できているとあります。

出典:Dara Bahri & Yi Tay & Che Zheng & Donald Metzler & Cliff Brunk & Andrew Tomkins(2021). Generative Models are Unsupervised Predictors of Page Quality:A Colossal-Scale Study,1.(訳は筆者)

GPT-2とGPT-3.xではパラメーター(※)の数に大きな差があるため、今なおGoogleがGPTシリーズによるAIで生成されたテキストを正しく判別できているかは定かではありません。しかし、2021年の段階でGPT-2の判別ができている点や、すでに多くのAIライティング検出ツールが存在する点を鑑みると、GoogleもGPT-3.xやChatGPTによって生成されたテキストを検知できているのかもしれません。

※パラメーター:言語モデルの性能を示す指標の一つ。GPT-2のパラメーター数が15億なのに対し、GPT-3は1750億と言われている。

事実、AI生成コンテンツで検索流入を獲得していたサイトが、ここ最近、アクセス数を急激に落とすケースがいくつか報告されています。

※該当のツイートはこちら。

上のツイートは、ChatGPTによって生成されたAIコンテンツでアクセス数を表した表です。それまで順調にアクセス数を伸ばしていたのが、2022年10月頃に突然急落。1日あたり100前後あったアクセス数がほぼゼロになったと言います。

以上のように、2022年下旬頃から、AIコンテンツのインデックス拒否や下落調整による制裁など、GoogleもAI生成に対して厳しい処置を行っているように見受けられます。

AI生成コンテンツに対するGoogleの見解は?

これまでAI生成コンテンツに対する明確な見解を示してこなかったGoogleですが、2023年2月に「AI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンス」を発表しています。

ガイダンスによると、次のように記載があります。

  • ランキング操作を主な目的とした自動生成はスパムポリシー違反
  • とはいえ、自動生成全てがスパムとは限らない
  • 文字起こしや天気予報など自動生成コンテンツも有用である
  • 作成方法を問わず、ユーザー第一のコンテンツが重要
  • E-E-A-T(※)を満たし、オリジナルで高品質なコンテンツが検索で成功する

※E-E-A-T:経験(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)のこと。

つまり、AI生成=スパムではないが、その主目的が検索順位の上昇であれば、スパムとして扱うし、逆にユーザーに便益をもたらすコンテンツ生成であれば、有用として扱うとのことでした。

Webメディア運営企業によるAI生成コンテンツの実績はないのか?

ここまで私自身が行った検証と、一部ツイートで報告されているケースを紹介してきましたが、事業としてWebメディアを運営している会社がAI生成コンテンツを用いているケースがないのか調査してみました。すると、米国の金融情報サイト「Bankrate」がAI生成を記事作成に取り入れていることがわかりました。

Bankrateとはレッド・ベンチャーズ社が運営する金融情報サイトであり、多くのライターを抱え、金融に関するあらゆるノウハウを発信しているサイトです。そのBankrateが、一部のコンテンツにおいて自動化技術を用いて記事を作成しています。

画像出典:Bankrate「What is the principle of progression?」(筆者にて一部を加工)

執筆者名が「Bankrate」になっている記事は、自動化技術によって記事自体が生成され、人によるファクトチェックや編集が行われた上で公開されているようです。

Twitterで報告されているような「AI生成サイト」とは異なり、Bankrateは、あくまでもコンテンツの「草稿」のみを自動化技術(AI)に任せ、その後は人による校正校閲を施していると言います。

データ出典:Ahrefs

これらBankrateのAI生成記事が獲得している自然検索流入を調べたところ、公開後はアクセス数を順調に伸ばし、2023年3月6日現在も維持しているようです。

このアクセス数の結果だけを見ると、AI生成も一つの手段として検討したくなるところですが、まだ課題も多いようです。

米国のIT系ニュースサイト「The Verge」の記事によると、AIによって記事を生成していたCNETは、当面の間、AIによる生成を停止したと言います。CNETは記事内にAIによって書かれていることを表示していたものの、その表示がとても小さいうえに、読者に対して正式に発表していなかったことが批判の的になったようです。また、CNETを運営するレッド・ベンチャーズ社のビジネスモデルがSEOによるトラフィックに偏っていることから、AI利用も検索流入目的ではないかと指摘されています。

以上のように、AI生成コンテンツについては今なお定まった見解が存在せず、記事生成に利用するには時期尚早とも言えそうです。

ChatGPTはどのように活用すべきか?

ここまで、AIに記事本文を書かせることを主軸に、AI活用を模索してきましたが、今なお、未解決かつ不明瞭なハードルが多数存在するとわかりました。

では、このハードルや現状を踏まえ、今日時点で活用する方法がないか模索したところ、要約、企画、校正の3工程をAIに任せることができるのではないかと考えました。

活用案1:文章をゼロから書かせる(NG)

おそらく、Webメディアに関わる多くの人が考えたであろう「ChatGPTに記事を書かせる」ことが本当に可能なのか、再考しました。

結論、現時点では多数の課題が山積しており、「利用すべきではない」というのが私の見解です。理由は下記の通りです。

■理由1:情報の不正確さ

ChatGPTはどんな問いを投げたとしても、ある程度それっぽい回答を正しい日本語で作文してくれます。この「作文能力」は素晴らしいものの、内容自体は非常に怪しいものが返ってくることがあります。

例えば、「株式会社CINCが提唱する平大志朗理論について教えてください」という存在しない理論について聞いても、それっぽい回答を返してくれます。

一見すると、正しそうに見えますが、そもそも「平大志朗理論」は存在しませんから、これは誤情報です。しかし、きれいに作文されているためか、なんとなく正しそうに見えてしまいます。これは、校閲者にとっても非常に厄介でしょう。

また、OpenAI社とパートナーシップを組むマイクロソフト社の検索エンジン「Bing」にも似たような課題が存在します。

例えば、弊社についてBingに概要を質問すると、「2023年2月に東証マザーズに上場」と回答しますが、事実とは異なります。

以上のように、AIから生成される文章の内容における正確性は全く担保されていないことがわかります。また、Twitterで「ChatGPT 嘘」と検索すると、多くの人が情報の不正確性に懸念を示しています。

■理由2:内容が極めて一般的

ChatGPTのすごさは、あらゆる質問にも対応できる汎用性と、しっかりとした文章で返答できる作文力にあります。しかし、回答内容そのものは極めて一般的なものであり、深い洞察や専門的な回答までは得られません。

例えば、30代の会社員向けの資産運用について質問すると、目標設定や投資信託の活用、長期運用の大切さなどを回答してくれます。

この回答が間違っているわけではないのですが、当たり前かつ抽象的すぎて、いまひとつピンと来ないかと思います。

では、「30代 資産運用」と検索するユーザーは、実際どのような情報を探し求めているのでしょうか。

Keywordmapで検索意図を分析したところ、主に「平均値や中央値を知りたい」のほか、「30代から資産運用を始めている人の割合を知りたい」というニーズもあることがわかりました。

「30代だからまだ焦る必要はないけれど、実際は、30代のうちどれくらいの割合の人が資産運用を始めているのだろうか…(不安)」という意図が垣間見られます。

ほかのツールGetKeywordでも検索ニーズを調査したところ、「遅い」や「30代の貯金額は平均いくらか」、「3千万円で何年暮らせるか」、「ポートフォリオの現金割合は?」などFIREを考えている30代もいれば、30代から資産運用を始めても遅いのかも…と不安を抱えている人もいることがわかります。

このように、「30代の資産運用」という検索意図には、30代が抱える特有の悩みやニーズもあり、その意図に答えなければ有用なコンテンツとは言えないでしょう。

繰り返しになりますが、ChatGPTの強みは、どんな問いにも正しい日本語作文で返せる点にあります。

しかし、内容の深さを求めることは難しく、現時点では有益かつ有用なコンテンツ制作には向いていません。

ユーザーの悩みが深ければ深いほど、コンテンツにも具体性やリアリティが求められます。この具体性やリアリティが高いほど、コンテンツとしての完成度も高いと言えるので、実体験がないChatGPTにとって、深い内容が求められる回答は弱点であると考えられるでしょう。

この点においても、Googleが重視する「E-E-A-T」が確認できるコンテンツほど、その有益性が高いと言えます。

・理由1:情報の不正確さ
・理由2:内容が極めて一般的

以上2つの理由から、ChatGPTにゼロからコンテンツを創造させるのは不向きであると言えます。

活用案2:文章を要約する

「ゼロから文章を創造」するのはChatGPTの得意としない分野であることがわかりましたが、すでに存在する文章やデータを加工することはChatGPTの得意分野であると言えます。

Webメディア運用における文章データ加工の活用案として、Web記事をTwitter向けの文章に要約する方法が挙げられます。

Webサイト上に公開している記事コンテンツをTwitterに投稿すると、Twitter経由からも集客が期待できます。

しかし、ただ単にURLをTwitter上に投稿したところでは、Webページにアクセスしたくなる「惹き」がないため、ほとんどのケースでクリックされません。まずは、ツイート140文字で興味関心を惹き付け、Webページへのアクセスを誘発する必要があります。

この「ツイート向けの要約文」の作成にChatGPTを活用できるのではないかと考えています。

今回は、CINCが運営するKeywordmap ACADEMYの記事「SWOT分析とは? 事例から方法やコツ、注意点を解説」のツイート文をChatGPTで生成してみました。なお、元の記事は4298文字もあるため、これを要約して140文字以下に収める必要があります。

■要約検証1:魅力的なタイトルと箇条書きで書かせる

プロンプト(ChatGPTへの命令文)には、以下を記述しました。
・役割(ソーシャルメディアアシスタントであること)
・目的(Twitter向けのツイート文の作成)
・日本語で書くこと
・魅力的なタイトルから書き始めること
・箇条書きを用いても良いこと
・重要なキーワードは含めること

すると、問題なく140文字以内で要約されました。

要約文自体にまだ改善点はありますが、重要なポイントやこの記事ならではの特徴(トヨタ自動車の事例で説明している点)も考慮しているので、及第点のツイート文と言えます。

実際にTwitterに投稿した結果は下記の通りです。

https://twitter.com/taira_daishiro/status/1632200839703195648?s=20

もっと推敲すれば、これよりも魅力的なツイートを作成できますが、わずか数秒で自動要約できることを考えると、実務にも十分使えるのではないでしょうか。

■要約検証2:過去の反響ツイートを参考にさせる

過去投稿したツイートの中で、いいね数やRT数など反響が高いツイート文をChatGPTに与え、要約時の参考にしてもらいました。

今回、参考として与えたツイートは下記です。

https://twitter.com/seolabochannel/status/1622735152714768384?s=20

このツイート文をChatGPTのプロンプト内に含め、要約の参考にしてもらいました。

生成されたツイートを投稿した結果が下記です。

https://twitter.com/taira_daishiro/status/1632203015750057984?s=20

体言止めになり、少し読みやすくなった気がします。このツイートであれば、そのまま投稿しても問題なさそうです。

以上のように、今まで工数不足でTwitter運用に手が回らなかったWebメディア編集部もChatGPT(API)を用いれば、ソーシャルメディアに使用する投稿文の自動要約に十分活用できそうです。

■活用案3:文章を校正する

記事を書き上げた後、その文章をChatGPTに読んでもらい、わかりづらいところや日本語的な誤りを指摘してもらう活用案です。

プロンプト(ChatGPTへの命令文)には、以下を記述します。
・役割(編集者であること)
・目的(わかりにくいところを指摘)
・対象となる本文

記事「SWOT分析とは? 事例から方法やコツ、注意点を解説」をレビューしてもらった結果、下記改善案がChatGPTから提案されました。

全ての提案を採用するのは難しいかもしれませんが、例えば『「SWOT分析を行う前に」のセクションが、少し冗長で読みにくい』は私もその通りだと感じましたし、文章の執筆者本人では気付かない視点を得るのに良さそうです。

活用案4:コンテンツを企画する

文章をゼロから創造するのはChatGPTの不得意な分野とされていますが、読者や検索ユーザーのニーズに関する情報を与えた上で、そこから企画を立てるのはChatGPTの得意分野かもしれません。

今回は「テレワーク環境 おしゃれ」で検索するユーザー向けのコンテンツを企画してもらいました。

プロンプト(ChatGPTへの命令文)には、以下を記述しました。
・役割(編集者であること)
・目的(見出し案の作成)
・条件
・検索ニーズ情報

すると、ChatGPTが検索ニーズの情報に沿ってコンテンツの企画案を作成してくれます。

すでに公開されている記事と構成が重複していないかなどの精査はもちろん必要ですが、この「企画のたたき台」をもとに編集会議を行えば、検索ユーザーの意図もサクッと理解しながら、企画を立てられるのではないでしょうか。

ChatGPTは与えられた情報をまとめるような使い方には適しているのかもしれません。

以上、今回はChatGPTの活用案4つを立案してみましたが、現状利用できそうなのは要約、校正、(まとめることによる)企画の3点です。

終わりに

ChatGPTの登場をきっかけに、コンテンツ制作の未来が大きく変わろうとしています。しかし、どれほど技術が進歩しようとも、WebマーケティングやSEOにおける「ユーザーが求める情報を提供する」という根底は変わりません。今後どんな衝撃的なAIツールが開発されたとしても、「ユーザー視点」という根底を忘れることなく、AIを活用していきたいものです。


Profile
平 大志朗
(たいら・だいしろう)
株式会社CINC 取締役副社長
R&D事業開発室 室長
1987年生まれ。アメリカにてエンジニアリングを学んだ後、インターネット関連事業会社にてリスティング広告の営業や運用に携わる。2012年に株式会社Speeeに入社し、SEOディレクターとして従事した後、2014年4月に代表取締役社長の石松と共に株式会社CINC(当時・株式会社Core)を創業。現在に至る。
株式会社CINC:https://www.cinc-j.co.jp/
SEO研究チャンネル(Twitter):@seolabochannel
SEO研究チャンネル(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCnexmP9OA3LnmL8j11Qfw9Q

週2メルマガ

最新情報がメールで届く

登録

登録