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インタビュー

飯髙悠太氏に聞く「効果的なTwitter運用のコツと生き残るメディアの条件」

最終更新日:2023.06.30

Marketing Innovator #02

株式会社ホットリンク

飯髙 悠太

Webマーケティングに携わる人で、Webメディア「ferret(フェレット)」を知らない人はいないのではないでしょうか。その「ferret」に立ち上げから参画して創刊編集長を務め、月間PV数500万以上、会員登録数42万人以上という一大サイトに育て上げたのが飯髙悠太さんです。

飯髙さんが2018年12月末に「ferret」を運営する株式会社ベーシックを退職したというニュースは、Twitterを中心に瞬く間に広がり、多くの人が驚きの声を上げました。

これはチャンス…!Marketing Nativeの編集長を務める自分としては、飯髙さんにメディア運営やSNS活用のポイントなどをぜひともお聞きしたいところです。

というわけで早速、転職ホヤホヤの飯髙さんのところへ行って、貴重な話を伺ってきました。メディアに携わっている方、SNSマーケティングに興味がある方は必見です!

(取材・文・イラスト:Marketing Native編集長・佐藤綾美、人物撮影:稲垣純也)

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

メディア運営を通してわかったSNSの凄い力

――ベーシックから株式会社ホットリンクへ転職されたということで、弊社でも話題になりました。一体どうしたんですか?

ありがたいですね。確かに、多くの人から聞かれました。理由はいくつかあるのですが、一つはSNSの影響力がこれまで以上に増していて、自分がずっとTwitterが好きだから、そこに関わりたいと思ったこと。もう一つは同世代や若い人の活躍を見ていて「グローバルに出たい」と考えるようになったことが大きいですね。

前職のベーシックには、「ferret」を立ち上げるタイミングで2014年4月に入社しました。それまでは営業やプランナーなどの仕事をメインにしながら、個人として30件くらいのメディアやプロダクトの立ち上げに携わっていたのですが、「本業としてメディアに関わりたい」と考えていたときに、ベーシックの社長から編集長の話をいただいたのが入社のきっかけです。

編集長としてメディアに携わる中で、2年くらい経った頃だと思うんですけど、肌感で知っていたSNSの強さをより感じるようになりました。個人がメディア化し、SNSが人の行動に与える影響力が大きくなっていると感じたんですね。

また、同世代の人や自分よりも年齢の若い人たちが新規ビジネスを始めるというニュースをよく耳にするようにもなりました。そうした状況に危機感を覚え、「グローバルに出たい」という気持ちを漠然と抱くようになったというのも転職の理由です。

まぁ、すごくシンプルに言うとTwitterを好きなんですよね(笑)

――「ferret」も好調な中で、どうしてこのタイミングなのでしょうか?

「ferret」はもともと「マーケティングメディアでNo.1になろう」という目標を掲げていて、トラフィック数や会員数といった目標数値自体は立ち上げから2年ほどで達成しています。あくまで他社の媒体資料の数字と比べてですが。

その次に私が考えていた夢は、日本のマーケター不足を解決するソリューションだったのですが、その後2年半はメディアやコンサルなどに時間を費やし、実現できなかったことが正直心残りです。

私は基本的に2年くらいで会社を変えてきています。何でかって言うと、「これやりたい!」と思ってガツガツ進めることは好きなんですけど、形になると飽きてきちゃって(笑)だって普通に考えて、同じことを10年もやっていくイメージあります?

結局、ベーシックには4年半いましたが、執行役員になる前から新規事業の立ち上げなども提案すれば基本的に好きにやらせてくれて、それが自分の経験にもなっているのでとても感謝しています。いい意味でも悪い意味でも社長と波長が合ったんですよね。私の転職に関する記事やインタビュー記事を率先してツイートしてくれる社長ですよ?この記事もきっとツイートしますよ(笑)

あと、色々な方に辞める話をしたら、「会社と合わなかったの?」って言われますけど、だったら4年半もいないし、こんな話もしないでしょう。

――そういった理由だったのですね。ちなみに、これまで30件以上のメディア立ち上げに携わってきたとのことでしたが、好きなメディアってありますか?

私がアドバイザーを務めている「soar」と「Books&Apps」は、どちらもターゲットとしている読者のためにいい記事をしっかりとつくっていて、ファンが多いメディアです。

「soar(ソア)」というメディアは、「飾らなさ」がめちゃくちゃ好きですね。あとは代表の工藤さん(※1)の熱意が本当にすごい。

※画像出典:soar

メディアを運営していると、コンテンツを書くにしても、インタビューをするにしても、よく見せようとしがちです。しかし、「soar」は情報を盛ったり、必要以上に表現を飾ったりすることなく、物事をまっすぐ伝えているのが良いところです。

また、一つ一つの記事がしっかりと取材されていて、ストーリーがあり、取り上げられている人の人柄が伝わってきます。インタビュー記事では、1記事の文字数が2万字くらいになっているものもあります。2万字も読むのは普通つらいはずですが、Google Analyticsで見るとページの滞在時間が10分以上になっている記事もあるんですよ。いかに読者が熱心に読んでくれているかということです。

ティネクト株式会社の「Books&Apps」は、現在はTwitterのアドバイスしかしていませんが、以前はマネタイズや会員化などのアドバイスも行っていました。

※画像出典:Books&Apps

「Books&Apps」は、SNSからの流入が4割あるという特徴的なメディアです。記事のタイトルはすべて編集長が考えているのですが、検索のことは全く意識していません。編集長は読書が大好きで、漫画や書籍を読んだときに、良いと感じたフレーズをすべて「Evernote」にまとめていて、そのメモをもとに「このタイトルで記事を書こう」と思って記事を書くこともあるそうです。

「Books&Apps」のメルマガは私のアドバイスで始まったのですが、メルマガの開封率が50%を超えるときもあって(一般的な開封率は2~4%程度)、セミナー開催時もメルマガで情報を配信すればすぐに席が埋まるので、熱心なファンを数多く獲得できています。

あと、「Books&Apps」のTwitterは2年くらい前から始めていて、スタート時のフォロワーはほぼ0でした。それが、広告配信をせずにオーガニックのみでフォロワー数7900以上になるまで増えています。「Books&Apps」のTwitter投稿自体に反応が多いわけではなく、そこから起こる波及が大きいので、SNSで1000以上シェアされている記事が頻繁に出ています。

※1:「soar」を運営するNPO法人soarの代表で、編集長でもある工藤瑞穂さん。

多くの企業やメディアが勘違いしているTwitterの運用方法

――企業やメディアのTwitterの運用方法で、飯髙さんが「もっとこうすればいいのに」と思っているところはどこでしょうか?

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・メディアはどれくらいアテンションを取れるかが重要
・他社と連携を深めてTwitter業界を伸ばしたい

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
X:@sleepy_as
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