インターネット⾮接続環境下にあるモバイル機器間で、リアルタイムのデータ同期が可能なソフトウェア技術を提供するDitto社と⽇本航空(以下、JAL)は、共同で機内⾷注⽂管理アプリケーションの実証実験を実施した。
Dittoの画期的な技術には、安定した接続とリアルタイムのデータ共有が不可⽋な防衛、警察・消防、⼩売、外⾷、ホテル、エンターテインメントなど、さまざまな業界からの注⽬も集まっていると言う。
目次
Dittoとは
Dittoが提供するのは、接続が困難な環境下にある端末上で、あらかじめ端末にダウンロードされたアプリケーションにより、データベースの保存と転送をリアルタイムに⾏える技術だ。特徴は次の通り。
- インターネット接続の有無にかかわらず、アプリケーションの同期を可能にするクロスプラットフォームのリアルタイムデータベース。Bluetooth、P2P Wi-Fi、ローカルエリアネットワークなど複数の接続⽅法を使⽤し、他のデバイスが⾒つかると⾃動的に接続し、データベースを同期させる。
- Dittoをアプリケーションに組み込むと、開発者はネットワーク接続の問題に煩わされることなく API を使⽤してデータの読み書きが可能。開発者が同期に関わる複雑な開発や作業を⾏う必要はない。Dittoのアプリケーションが⾃動的に接続とデータベースの同期を管理する。
- オフライン環境下であってもアプリケーションはローカルに保存されたデータベースをもとに継続し、業務を中断せずに動作し続ける。接続においては優れた安定性を提供し、低遅延、⾼セキュリティでの情報の共有が可能。
モバイル端末を使用し、乗客の注文の処理や乗務員同士でのコミュニケーションが可能に
これまでインターネット接続環境が不安定な機内で、端末を⽤いてタスク管理や機内⾷注⽂のような安定した接続を必要とする作業を⾏うことは困難だった。Dittoは、この問題を端末同⼠で直接コミュニケーションし、リアルタイムで同期する技術によって解決し、JALの客室乗務員は機内で初めて、インターネットに接続されていないモバイル端末を使⽤して乗客からの注⽂を処理したり、乗務員同⼠でのコミュニケーションを⾏ったりできるようになった。
今回の実証実験は、客室乗務員が既に機内で使⽤していたタブレット端末にアプリケーションを導⼊することで実施。JALは客室乗務員間のコミュニケーション効率を⾼めるDittoのシステムにより、⾮接触型コロナ対策、パーソナライズ、イノベーションといった優先課題を解決するための⼤きな可能性を確認できたと言う。
Dittoの今後の展望
Dittoの機内⾷注⽂管理アプリケーションは今後、客室乗務員間だけでなく搭乗客に展開していく可能性もあるとのこと。フライト中、乗客は乗務員と接触せずに⾃分のスマートフォンから⾷事を注⽂し、乗務員は Apple 社のiPadでリアルタイムに同期された注⽂を確認し対応することが可能。さらに、機内にとどまらず、この技術が航空会社の地上職員や整備⼠が出発準備やメンテナンス活動を⾏う際にも⽤いられれば、結果的に航空機の折り返し時間の短縮と定時運航に寄与できそうだと言う。