香川県で紙袋用取っ手などを製造する松浦産業は、熊本県の企画会社・フラッグスと共同で、トイレに特化した新しい広告事業を開始した。コロナ禍で広告主減少、企業の広告費削減などで特に苦戦する地方広告代理店の新たな広告ツールとしての活用が見込まれている。今後は、全国の官公庁、交通機関、ショッピングモール、オフィスビルなどのトイレ内のスペースを広告場所として広げていく予定とのこと。
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記憶に残りやすいトイレ内広告
アメリカ テキサス州ヒューストンにあるライス大学(William Marsh Rice University)が行った調査によると、「トイレでの広告は長期的に見て84%の顧客再来店率に繋がる」との結果が出ており、広告が記憶に残る度合いも、他の手段と比べて40%ほど高いと言う。
そこで松浦産業は、2018年より公的機関などで55,000枚以上(2021年8月時点)の導入実績がある消臭・抗菌・抗ウイルス機能を持つ消石灰入りシート「アドレット®」を活用し、アドレット®AD事業を開始。「アドレット®」はA4サイズの白いシートに印字ができることから、企業や団体の広告宣伝ツールとしてすでに導入が開始されており、好評を得ているとのこと。
※「アドレット®AD」は実用新案取得、特許申請中。
熊本駅内トイレ(広告は、消臭・抗菌・抗ウイルスの機能を持ったシートを使用)
熊本市役所内トイレ
「アドレット®AD」事業を広告コンテンツとして採用する5つのメリット
- 世代別(学生・ファミリー層・高齢者層)、男女別、階層別(観光客・ビジネスマン)に使用の多いトイレで広告主に合わせたメッセージの発信を実現
- これまで広告を出せなかった小規模、予算の少ない広告主にも小ロット対応や、広告エリアを限定するなどで費用のバリエーション提案が可能
- 掲載日数を比較すると他の広告ツールよりも費用対効果が高い
- UV印刷で印刷が劣化せず、美しい状態を保つことができる
- 二次元コードで広告主のホームページやECサイトへの誘導も可能
広告費を算出するために“トイレの紙調率®(しちょうりつ)”を使用
広告は場所によって人の目に触れる回数が変わるため、掲載場所によって料金が異なる。トイレも同様に場所によって利用者数が変わることから、同社では「トイレの紙調率®」を算出している。トイレの紙調率®は特定のトイレがどれくらいの人に利用されているかを表す数値で、トイレを広告の掲載場所とする場合に重要な指標になると言う。
なお、トイレの紙調率®は使用されたトイレットペーパーの量で調べる。1回のトイレで使用するトイレットペーパーの男女別平均使用量から トイレの利用者数を割り出す。
2つの先行事例
同社では、人流が復活したトイレで試験運用を開始しており、2つの事例を発表している。
沖縄県のレンタカー会社の事例
沖縄県那覇市にあるレンタカー会社が、観光客の激減により事業転換を検討し、中古車販売を開始。新しい事業の宣伝場所として、コロナ禍以前よりも生徒数が増えた自動車学校のトイレを広告場所として採用した。
沖縄の事例
社会貢献活動に活用した事例
子どもの虐待防止を訴える「オレンジリボン運動」の支援企業でもある松浦産業は、高松空港や高松市内の公共施設のトイレにアドレット®を活用したチラシを設置。自社で取り組む啓発活動を促進している。
高松空港内トイレ
虐待やDVなどのデリケートな内容が含まれるポスターは、見ていることを知られるのを気にする人が多く、もともとトイレの個室に設置される傾向にあったという。アドレット®の活用により、衛生面での課題にも対応している。
このように、アドレット®ADは企業広告だけでなく、企業のCSR活動を推進する活用方法もあるとのこと。