コンビニでは毎週新商品が投入されているが、売り上げや利益への貢献度はそれほど大きくないのが実情だ。そこで生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングは、「コンビニの新商品」をテーマに全国の男女400名にインターネットリサーチを実施し、コンビニの新商品に対する生活者の意識や指名買い状況をあらためて確認した。
目次
コンビニで新商品をチェックする習慣がある人は約半数
コンビニで新商品をチェックする習慣があるか聞いたところ、全体の回答で習慣がある人は約半数という結果になった。商品のカテゴリ別でトップとなった「お菓子」でも、約60%に収まっている。
※なお、グラフは「必ずチェックしている」「たまにチェックしている」の回答を合計したもの。
また、一都三県(関東)・二府二県(関西)での回答を比較すると、関東在住者のほうが関西在住者よりも新商品をチェックする傾向にあり、「清涼飲料水(ソフトドリンク)」「アルコール飲料」「カップ麺・インスタント食品」「お菓子」全カテゴリで約9ポイント〜10ポイントの差が見られる。
コンビニで新商品をチェックしていない理由
「コンビニで新商品をチェックする習慣」を問う質問で「あまりチェックしていない」「全くチェックしていない」と回答をした人に対し、その理由を自由記述で具体的に聞いたところ、「すでに買うものが決まっているからチェックしない」「コンビニ=高いイメージがあるので飲料やお菓子のコーナーを能動的に探すことはない」などの声が挙がったという。
コンビニで新商品が発売される曜日を認知している割合は20%強
「コンビニで新商品が発売される曜日を知っているか」という質問への回答は、どのカテゴリも発売曜日を認知している割合は20%強にとどまっている。
あらかじめ購入するものが決まっていることが多いのは清涼飲料水
「コンビニで商品を購入する際、あらかじめ何を購入するか具体的に決めているか」という質問への回答で、「決めていることが多い」「どちらかといえば決めていることが多い」と答えた人の割合が最も高かったのは、「清涼飲料水(ソフトドリンク)」(46.7%)だ。一方で、「お菓子」「カップ麺」は「どちらかといえば決めていないことが多い」「決めていないことが多い」と回答した人の割合が比較的高くなっている。
※普段の自身の傾向として最も多いものを回答/「コーヒー」等、購入するもののカテゴリではなく、具体的な商品について決まっているか否かで回答
購入しようと決めていた商品がなかった場合の行動
コンビニで購入しようと決めていた商品がなかった場合、生活者はどうするのだろうか。どのカテゴリも「(どちらかといえば)そのカテゴリの他の商品を購入することが多い」が70%以上の割合を占めている。中でも、何を購入するかあらかじめ決まっていることが多い「清涼飲料水(ソフトドリンク)」は、目当ての商品がない場合に他の商品を購入する割合も81.0%でトップとなっている。
※普段の自身の傾向として最も多いものを回答
また、一都三県(関東)・二府二県(関西)での回答を比較すると、特に飲料については関西在住者のほうが代替商品の購入に積極的な傾向にあるようだ。関西の人が代替商品を購入する割合は「清涼飲料水(ソフトドリンク)」で93.0%、「アルコール飲料」で83.4%と、関東よりもそれぞれ15.9ポイント・8ポイント分上回っている。
代わりに他の商品を購入した際の気持ち
コンビニで目的の商品がなく、他の商品を購入した際の気持ちは、やはり「やや残念に思う」「とても残念に思う」と回答した割合が半数以上を占めている。中でも「お菓子」は「とても残念に思う」の回答者の割合が他のカテゴリよりも高く10%を超えており、商品がなかった場合の不満が強いとうかがえる。
※普段の自身の傾向として最も多いものを回答
また、一都三県(関東)・二府二県(関西)での回答を比較すると、すべてのカテゴリで関東在住者よりも関西在住者のほうが「特になんとも思わない」割合が高くなったという。「購入しようと決めていた商品がなかった場合の行動」でも、関西在住者のほうが代替商品の購入に積極的であると推察されているが、この設問にも同様の傾向が出ているといえるだろう。
約半年のうちに発売された新商品を覚えている割合は全カテゴリ20%未満
約半年のうち(2021年9月~2022年3月)に発売された新商品の中で覚えているものについて、「具体的な新商品名」を自由記述で問う質問では、全カテゴリで「回答あり」が20%を下回っている。半年以内に発売された新商品の記憶定着率はあまり高くないようだ。
※特にない場合は「特になし」、と回答することを指定
まとめと考察
本調査で明らかになったことをまとめると、次の通りだ。
- コンビニで新商品をチェックする人は約半数
- 新商品が発売される曜日の認知は20%強
- お菓子、カップ麺・インスタント食品は店頭で探して購入する人が多い
- 指名買いをする人は、購入予定の商品がないと残念な気持ちを抱くことが多い
上記を踏まえ、ネオマーケティングでは以下のように考察している。
- 生活者の新商品への感度を高め、能動的な行動を誘発するには、まず「新商品が何曜日に発売されるのか」を周知させることが重要
- お菓子、カップ麺・インスタント食品は指名買いよりも店頭で選ぶ人が多いことから、ラインナップにより力を入れるべきカテゴリであるといえる
- 指名買いユーザーとの両立を図るには、指名買いされる定番商品と新商品の棚を明確にすみ分ける必要があるのではないか。買い続けられる商品か、一時的な商品か、消費者が一見してわかるような棚割りが理想的といえる
コンビニは変化のスピードが速いため、売り場としても、ブランドへの好意的な態度形成の場としても上手に機能させるのはなかなか難しい。本調査結果を参考にしてみてはいかがだろうか。
【調査概要】
- 調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
- 調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、一都三県・二府二県に在住の20歳~69歳の男女で、コンビニを週1回以上利用する方
- 有効回答数:400名
- 調査実施日:2022年3月2日(水)~2022年3月4日(金)