贈り物を受け取ったほうが選び直しをできるギフトサービスとして話題の「GIFTFUL」(ギフトフル)。今年4月のローンチ以来、選び直しというユニークな機能と厳選されたブランドのラインナップでSNSを中心に話題になっています。
ネット上やソーシャルのギフトサービスから、Amazonや楽天市場などの巨大ショッピングモール、紙のカタログギフトまで数多くの競合がひしめく中、GIFTFULはどのように生き残り、サービスを成長させようとしているのでしょうか。
みる兄さんの「キーパーソン深掘り」。第2回の今回はGIFTFULのグロース戦略について、GIFTFULを運営する株式会社GiftX(ギフトエックス)代表のいいたかゆうたさんに、みる兄さんが迫りました。
(構成・文:Marketing Native編集部・早川 巧 撮影:海保 竜平)
目次
ギフトの課題解決に役立つ「選び直し」の機能
みる兄さん 私自身はプロトタイプの段階で「母の日」のギフトに利用したことがあります。でも一般的な認知度はまだ低いと思うので、今日はGiftX(ギフトエックス)のGIFTFUL(ギフトフル)というサービスを深掘りしていきたいと思います。
いいたか ありがたいです。
みる兄さん 簡単に説明すると、どんなサービスですか。
いいたか 個人間のギフトプラットフォームとしての位置づけで、贈り主がメッセージカードと一緒にリンクを送ると、受け取り手がリンクにアクセスしてそのままギフトを受け取るか、他のギフトに選び直しができるサービスです。単にモノを贈り、受け取るでなく、「おもいが伝わる、ほしいを贈れる」ということを大事にしています。
いいたかゆうたさん
みる兄さん 選び直しの機能はソーシャルでも話題になりましたね。
いいたか 一番良いのはもちろん、贈り主が選んだギフトを受け取り手が気に入って受け取ってくれることです。ほかにも、商品がたくさん掲載されたカタログを送って「この中から好きな物を選んでください」というギフトもありますが、個人的には少し無機質な気がします。
GIFTFULは両者の中間に位置していて、贈り物を選ぶという贈り主の気持ちを大切にしつつ、受け取り手にも選び直しの選択肢を持たせているのが1つの特徴です。
贈り物の難しさは、仲の良い相手でも本当の趣味嗜好まではわからなくて、何を贈ればいいか見当もつかなかったり、悩んだ末によくある無難な物を贈ってしまったりすることです。
また、受け取り手側も、せっかくもらった物なのに好みでなかったり、贈られた食べ物にアレルギーを持っていたり、すでに同じ品物を持っていたり…などの課題があります。そんなふうに考えた結果、ギフトには贈り主側と受け取り手側の双方に未解決の課題が複数存在すると気づきました。それが選び直しをサービスの1つの特徴にした理由です。贈り主は受け取り手が選び直した商品を確認することもできます。
面白いのは、データを見ると40%以上の人が選び直しをしていることです。ユースケースを確認すると、ギフトをそのまま受け取るか、それとも別の商品に選び直すかをめぐって家族みんなで話し合った人もいます。GIFTFULがコミュニケーションにつながるユニークな体験を提供できているとしたらうれしいですね。
みる兄さん ギフトにもう1個別のギフトがあったような感じですね。
いいたか そうですね。最初は「せっかく心を込めて贈ってもらった物を選び直すなんて」という声も聞かれましたが、あまりうれしくない商品をもらっても使い道がなく、ずっと放置してしまった人もいると思います。それではギフトが逆に良くない体験につながりかねません。選び直しは双方のミスマッチを解消し、体験価値の向上に結びつく優れた機能だと思います。
みる兄さん
厳選したラインナップで、他のギフトサービスと差別化
みる兄さん ほかに特徴はありますか。
いいたか 商品点数の勝負をせず、ラインナップを厳選することで、既存のサービスとは異なるポジショニングを取っています。ギフトサービスの中にはネットやソーシャルのギフトサービス、紙のカタログギフトなどさまざまな種類がありますが、中には品揃えが豊富すぎて1万点くらいの点数になっているところもあります。先ほども言いましたが、たくさんの選択肢を示されて「自由に選んでください」と言われても、何を選べばいいのかわからない人も少なくないでしょう。
ギフト市場で一番動く価格帯は3,000円以下です。友達の誕生日といっても、友達が10人もいれば毎回5,000円のギフトを贈るのは、一般的な所得水準から考えて大変だと思います。確かにGIFTFULの価格帯は他のギフトサービスより少し高めに設定されていますが、その分、取り扱うブランドを選び抜いています。例えば、「ビール」というカテゴリでAmazonや楽天市場、その他ギフトモールを見ると、大量の種類が表示されますが、我々は「1カテゴリ=5ブランド」くらいの世界観を作りたい。いずれもセンス良く厳選されたブランドだけに絞ることで、選ぶ側がまずワクワクする体験をできると思います。また、相手の趣味嗜好がわからなくても、受け取り手が選び直し可能なので、「料理好きの相手にオリーブオイルの高級品を贈ってみよう」などのチャレンジも可能です。
みる兄さん そもそもギフトサービスに着目したきっかけは何ですか。マーケットを見ての気づきなのか、「種類が多すぎて選べない」「せっかくもらったのに苦手な物だった」という自分のペインなのか、どうでしょう。
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