ECメディア「北欧、暮らしの道具店」を運営し、2023年8月~2024年1月期の売上高が四半期で過去最高を記録している株式会社クラシコム。同社が2024年3月に6軒目の新オフィスへ移転し、報道陣向けに内覧会を行いました。
クラシコムは2008年より一貫して東京都国立市にオフィスを構えており、今回の移転先はJR国立駅南口に新しく建設された商業ビル「nonowa(ノノワ)国立SOUTH」です。リモートワークを基本とする中で新たなオフィスに移転した経緯や、新オフィスの環境で注力した点などを取材しました。
(取材・文:Marketing Native 編集部、画像提供:株式会社クラシコム)
目次
クラシコムが15年以上にわたり事業を成長させた地、東京・国立
「nonowa国立SOUTH」とJR国立駅
「nonowa国立SOUTH」はJR東日本グループ初の木造商業ビルで、JR国立駅南口を出て右側に歩いていったところに位置しています。同施設の1階と2階には、オーガニック食品などを取り扱うナチュラルスーパーマーケット「ビオラル」や、タリーズコーヒーの紅茶メニューを拡充したコンセプトショップ「TULLY’S COFFEE &TEA」などが入っており、3、4階部分がクラシコムのオフィスです。
3階のオフィス入り口
報道陣向けに行われた内覧会で、代表取締役社長の青木耕平さんはオフィス移転の経緯について次のように語りました。
「私たちは2008年より国立に拠点を構えて事業成長し、2022年8月には東証グロース市場に上場することができました。会社が少しずつ大きくなっていく中、引き続き国立で事業を続けたいとの思いを抱いていましたが、100坪を超える広さや上場企業として求められるセキュリティの基準を満たす物件があまりなかったことから、都市部への移転も視野に入れて検討していたところ、JR東日本グループさんより『nonowa国立SOUTH』への出店のお誘いを頂いたのが今回のご縁のきっかけです。弊社はEコマースを中心とした企業なので出店は難しいことと、オフィスに課題を抱えていることを共有したところ、JR東日本グループさんが親身になって共に解決策を考えてくださり、このように3、4階をオフィスとして使用させていただけることになりました。創業以来成長してきた土地で事業を継続し、自分たちの物語を紡ぎ続けることができ、非常に嬉しく、ありがたいと感じています」(青木さん)
新オフィスで注力した2つのポイント
クラシコムは現在、リモートワークが基本です(2024年3月時点)。会社全体としては月2回以上の出社が必須で、あとはチームごとに最適な出社頻度を定めていると言います。そうしたリモートワーク中心の働き方におけるオフィスの意味について、代表取締役の青木さんは、「自分たちのミッション、ビジョン、バリューを象徴し、それを体感できる場所になっていく必要があるかもしれない」と以前より考えていたそうです。
「行かなければならない場所」から「行きたい場所」へ。行くと何かに「気づける場所」、大事な何かを「思い出せる場所」、仲間と大事なものごとを「分ち合える場所」へ。つまりは私たちのミッション、ビジョン、バリューを象徴し、それを体感できる場所になっていく必要があるのかもしれないというのが現時点での考えです。
それは一朝一夕でできるものでもなく、建物やインテリアが設られたら完成するものでもなく、その場で実際に真摯な取り組みが行われた歴史が積み重なって、徐々につくり上げていくものだとも思います。そのような意味で私たちがほとんどゼロから事業を立ち上げ、十数年にわたってコツコツ仕事を続けてきたこの国立市という郊外の街以外で、そういう場を立ち上げていくのは難しいだろうと感じてきました。
出典:クラシコム プレスリリース『新オフィス・JR東日本グループ初 木造建築の商業ビル「nonowa 国立 SOUTH」へ。国立で15年これからも国立で、“フィットする暮らし”体現する場を目指して。』
「行かなければならない場所」ではなく「行きたい場所」、行くと何かに「気づける場所」大事な何かを「思い出せる場所」、仲間と大事なものごとを「分かち合える場所」――それらを体現するために注力した点について、クラシコム広報の馬居優子さんに聞きました。
「こだわった点は大きく2つあります。1つは、各チームが作業しやすく、多種多様な形でコミュニケーションが取りやすい環境をつくったことです。リモートを中心とする働き方において、オフィスが大切にすべきことは『実務とチームビルディング』と考えました。もう1つはデザインです。『nonowa国立SOUTH』の木造建築と天井高4メートルという贅沢なスペースを活かしつつ、床や壁、家具などの要所で素材を妥協せずに選びました。私たちが魅力を感じた北欧のオフィスは、いずれもシンプルな内装ながら素材にこだわり、空間に余裕を持たせたつくりが特徴的だったためです」(馬居さん)
オープンスペース。左端に写っているのがキッチン
オフィスは3階が主にコミュニケーションを取るためのフロア、4階が執務スペースです。3階には広々としたオープンスペースや会議室、キッチン、ポッドキャストの収録などを行える録音ブースがそろっています。チームビルディングを意識しているというだけあって、大人数で利用できるスペースや会議室が豊富な印象を受けました。
写真上:アパレル商品などを広げてチェックしやすいよう、大きなテーブルを備えた会議室。写真下:今回のオフィスで新しくできた録音ブース。
4階の執務スペースは社員のデスクのほか、リモート会議用の防音ブースやアパレル商品をチェックできる作業台などがあります。3階、4階共に白を基調とした開放感のある空間に、フィンランドのデザイナー・アアルトがデザインしたアルテック(artek)社製の家具などが配置された様子は、同社が魅力に感じたという北欧のオフィスを思わせます。また、ECメディア「北欧、暮らしの道具店」の記事や動画コンテンツで見るような世界観とも言えるでしょう。
デスクは42席でフリーアドレス
会議室のルーム名を記載するフォントには自社オリジナルの「クラシコムフォント」を使用
新オフィスを見たクラシコム社員の方々の反応は「(オフィスを見たのはまだ一部の社員のみですが)コミュニケーションスペースや会議室が増え、実務に適した作業スペースができた点がやはり好評です」(馬居さん)とのこと。
リモートワーク中心の働き方だからこそ、自社のビジョン、ミッション、バリューを体感できる場所としてオフィスの在り方を追求するクラシコム。新たなオフィスでは今後どのような物語が紡がれていくのか注目です。