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インタビュー

クラレ 中東孝夫が語る「AI時代のBtoBマーケターが価値を発揮し続けるための条件」

最終更新日:2025.11.06

The Marketing Native #81

クラレ

経営企画室 室長補佐

中東 孝夫

生成AIの進化によって、マーケティングの実務は急速に自動化が進んでいます。一方で、30〜40代の中堅マーケターからは「この先、どんな形で価値を発揮すればいいのか」と悩む声も聞かれます。

今回は、クラレ 経営企画室 室長補佐の中東孝夫さんをインタビュー。中堅層のBtoBマーケターが考えたいAIとの向き合い方をはじめ、キャリアの活かし方や価値の出し方、そして仕事に「飽き」を感じたときの対処法などを伺いました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

これからのマーケターに求められる能力

――マーケターの方々を取材していると、30代、40代の中には「これから自分はどうすればよいのか」と悩んでいる人に出会うことがあります。「マーケターとしては、ある程度やり尽くした気がする」「生成AIがマーケティング業務を代替するようになると、居場所がなくなるのではないか」といった声も聞かれます。そこで今回は、これからのマーケターの生き方について、中東さんがどのようにお考えなのかを伺いたいと思います。

その前にまずキャリアについてお聞かせください。現在はクラレの経営企画室で室長補佐を務めていらっしゃるとのこと。具体的にどのような業務を担当されていますか。

経営企画室の中では、主にマーケティング領域において「今、対応すべき課題を自ら見つけ、主体的に仕事をつくる」ことをミッションとしています。そのため、私の担当するマーケティングとは、広告やWebマーケティングなどの施策の話ではなく、グローバル企業としてのクラレのガバナンス/コンプライアンス、人的資本形成などの基盤を整理し、経営陣に提案する役割です。

――プロフィルを拝見すると、消費財メーカーから外資系IT企業、大手通信会社、スタートアップと、多彩なキャリアを積まれています。社会人としての経験は約30年とのことですが、ずっとBtoB領域に携わってきたのでしょうか。

「エリエール」で知られる大王製紙でBtoCのブランドマネジメントを経験し、その後「Lotus 1-2-3」で知られるロータスへ転職。そこでBtoBマーケティングの面白さに引き込まれました。以降はKDDIの部長時代を含め、25年以上、BtoBマーケティングに携わっています。

――AIについてお聞きします。近年、マーケティング業務においても生成AIの活用が欠かせなくなってきました。AIの導入で中東さんの仕事の進め方に変化はありましたか。

大いに変化しました。最近はGTM(Go-to-Market)戦略の全体像をAIに作成させています。業界団体であるデジタルマーケティング研究機構にて、各国独自に展開されていたモデルを整理・統合してBtoBに向けて標準化し、その成果をGTM標準プランニングモデルとして取りまとめ、発表しました。

現在はそのモデルをもとに、AIが市場規模やバリューチェーンを分析し、戦略提案まで自動生成できるようになっています。

――すごいですね。やはり生成AIがあれば、マーケティング業務の多くが代替され、マーケターは不要になってしまうのではないかと感じてしまいます。こうした時代において、マーケターはどのように価値を発揮すべきとお考えですか。

「問いに答える作業」は大きく効率化されると思います。しかしマーケティングに限らず、「問いを立てる力」は、今のところAIには存在しません。ここが重要なポイントになります。これからのマーケターに最も求められる能力のひとつは、「問いを立てる力」だと思います。

価値のある答えを引き出すためには、良い問いが必要です。ただし、GTMのプロンプト作成でも同様で、「アカウントとバイイングセンターを定義し、バリュープロポジションを明確にして」などと、良い問いを立てるためには専門的な観点から精緻に問いを立てられる知識が求められます。専門的な知識がなければ、AIに対して「いい感じの戦略を立てて」などと曖昧な指示しかできず、望むような答えは返ってきません。逆に、問いを精度高く設計できれば、AIからは的確な答えが返ってきます。

一般的にも、「面白そうな企画を出して」では、成果を出すのは難しいでしょう。しかし、あらかじめ領域やテーマ、切り口を指示されれば、アウトプットしやすくなります。AIも同様です。

一度「良い問い」(プロンプト)が構築されれば、あとは多くの作業をAIが自動化できます。例えばデータリサーチや課題抽出、課題解決策の提案、実行計画の立案、さらにコピーワーク、バナー案の提示、LPのコーディングなどは、ほとんどAIで対応可能です。したがって、将来的には答えに関する作業部分では人手をあまり必要としなくなるかもしれません。

時代の変化の中で、中堅以上のマーケターが求められること

――問いを立てるだけであれば、マーケターの数はそんなに多くは要らないですよね。

確かに、初期の問いの設計には専門性が要りますが、一度それが完成すれば、他の人もその枠組みを使って成果を出せます。つまり、専門知識を持つ人が「問いのテンプレート」をつくり、それを活用できる人が増えていくという構造です。その昔、パソコンが普及したらオフィスワーカーは減る、という話がありましたが、そんなことにはなっていないのと同じですね。

AIの浸透の結果、これまでバナー入稿などの実務に追われていた人たちも、その意欲によって、より上流の仕事に携われるようになります。GTM 戦略の標準モデルも、AIに適切なプロンプトを渡し、製品名などを差し替えるだけで、一定の品質を保った成果物を生成できるようになっています。そうなれば、新入社員であってもGTM戦略の議論に参加できるようになり、むしろマーケター活躍の場は広がっていくと考えています。

――しかし、それでは新入社員も、30代・40代のマーケターも、あまり差がなくなってしまいますね。

もう、ほとんど差はないと思います。AIで知識・手順・答えをすぐ学べるため、答えを出す作業においては指導役の必要性も相対的に低下しています。

私がGTMのモデルを作った当初は、それが世の中に浸透するまで10年はかかるだろうと考えていました。ところがここ半年ほどのAIの進化によって、GTMそのものを作成するだけなら10分もあれば可能であり、それを理解するのも、半年ほどAIとの壁打ちを続ければ十分に可能な時代になっています。

――衝撃的ですね。では、顧客理解や顧客インサイトの発掘については、どのようにお考えですか。

インサイトは人間にしか持てません。その発掘は、これからも人間が担う領域だと思います。顧客を理解するのも人間です。ただし、顧客理解の解像度を高める手段としては、AIの活用が中心になっていくでしょう。

ただし、どのような切り口で解像度を上げるのかを考え、得られた情報からどんなインサイトを導き出すのかという洞察と判断、つまり「問いを立てる仕事」は、人間の役割だと思います。

――それに対して、中東さん自身はどのようにお考えですか。

ワクワクする気持ちと、焦りが半々なのが正直なところです。私のようなベテラン層は、これまでの経験の積み重ねを評価されてきた部分が大きいのですが、その経験価値がAIの進化によって、ある意味で“無”になりかねない。そうした現実に、中堅以上の人たちはもっと危機感を持つべきだと思います。すでに、私がこれまでやってきたことの多くを、マーケターでなくても実行できる時代に入っているのです。

――そうした現実に対して、中堅以上のマーケターが今後キャリアを維持・発展させるために、最優先で磨くべきスキルとはどのようなものでしょうか。

未来を見通すのは難しく、何が正解なのかは正直私にもわかりません。その上で、あえて申し上げるなら、スキルというよりも、環境の変化に合わせて学び続ける姿勢こそが重要だと思います。

歴史を振り返ると、マーケティングの世界では約10年ごとに大きな変化(ラジオ、テレビ、インターネット、デジタル広告…)が繰り返されてきました。これからも時代が変わり続ける以上、変化に合わせて学び続けることが大切です。

「さすがベテラン」と信頼されるスキルとは

――学ぶだけでは、中堅世代は若い世代に負けてしまわないですか。

そうとも言い切れません。興味を持ち続け、学び続ける限り、キャリアの積み重ねがプラスに働き、アドバンテージを発揮できると思います。

先ほど申し上げた「問いを立てる力」も、経験に基づく部分が大きく、アウトプットの際にその差が明確に現れるはずです。企業にとってベテラン世代が必要とされる理由は、まさにそうしたキャリアに裏打ちされたアドバンテージにあると考えています。

ただし、そのアドバンテージも以前と比べると確実に小さくなっています。だからこそ、自分が直接アウトプットを出すだけではなく、多くの若いメンバーに対して、より早く、的確なアウトプットを出してもらうことに価値が生まれると思います。中堅世代は、プレイヤーとしてパフォーマンスを発揮するのか、それともマネジメントとして価値を出していくのか。その立ち位置をあらためて見直したほうがいいでしょう。

その上で、あえて“スキル”を申し上げるなら、これから磨くべきは、「評価する側の視点に対する解像度」だと思います。

――「評価する側」とは、具体的にどのような人たちですか。

自社の経営陣、役員層のことです。その人たちを「価値を感じてもらうべき顧客」として捉えたときに、顧客理解をどこまで高い解像度で行えるかが重要だと思います。

「コンバージョンレートが〇%だった」などの数値を経営陣や役員が気にしている企業は、それほど多くありません。そうしたKPIを経営陣が細かく見るのは、おそらくアーリーステージのSaaS系スタートアップくらいでしょう。

一方、クラレのように約100年の歴史を持つ企業では、経営陣を「価値を感じてもらうべき顧客」として見たときに、「私たちはこれができます」というプロダクトアウト視点で対応するのではなく、経営陣が何を「バーニングニーズ」(切実な課題・痛点)として抱えているのかを正確に理解することが求められます。そして、自分たちのスキルセットやケイパビリティによって、その課題をどのように解決できるのかをデザインし、伝えることが重要です。その意味では、まさにBtoBマーケティングだと言えるでしょう。

――要するに、経営陣におべんちゃらを言えという意味ですか。

まったく違います。もちろん、良好な関係構築はひとつのスキルセットですし、それによってコミュニケーションが円滑に進むのであれば、適切に使うのは悪いことではありません。

私が申し上げているのは、「あなたがいないと、このテーマの問題解決はできない」と経営陣に言わせることが重要だ、という意味です。

経営陣の視点から見ると、ひとりのスペシャリストとして問題を解決できたとしても、インパクトは限定的です。その人が辞めたり、転職したりしたら解決策が継続できなくなるようでは、組織としての再現性が失われてしまいます。

大手企業の中には何万人もの社員を抱える会社もあります。そうした企業がこれから50年、100年と存続していく上で本当に価値があるのは、個人として成果を出すことにとどまらず、マネジメントとして仕掛け、仕組みを構築し、人材を育成することです。経営陣は、そうした再現性と持続性のある価値を重視しているのだと思います。

――自分自身も学び続けて腕を磨くとともに、マネジメントスキルを身につけて、仕組みづくりや人材育成に取り組むべきだということですね。

そうですね。わかりやすい例を挙げると、以前、約200人のマーケターを対象にしたワークショップで、「あなたのキャリアやスキルは、自社の中期経営計画に対してどんなペインポイントを解消できますか?」をプランしてもらったことがあります。そのときは、ほとんどの方が答えられませんでした。

経営陣は、まさにその点を評価しているのです。しかも今は、経営陣が「この課題の解決策を出して」とAIに尋ねれば、すぐに回答が得られる時代です。

だからこそ、マーケターであれば中期経営計画を読み込み、「問題点は〇〇だと考えます。我々のスキルセットで解決可能です」と経営陣に提案できるような仕組みを構築し、解決に当たる人材を育成することが重要です。実際にプロジェクトを立ち上げて問題を解決できれば、「さすがはベテランだ」と経営陣から信頼を得られると思います。

この考え方なら、仕事に飽きるはずがない

――次にAIの話題から少し離れて、「飽き」の問題についてお聞きします。デジタルマーケティングを担当している30代後半から40代のベテランの中には、「仕事に飽きた」「この先、自分は何をすればいいのか」と悩んでいる人が意外と少なくないと感じます。中東さんご自身は、キャリアの中で仕事に飽きを感じたことはありますか。

結論から申し上げると、飽きたことなど一度もありません。なぜ飽きるのか、正直よくわからないのです。ただ、「飽きた」と言う人の話を聞いてみると、やりたいことのスケールが自分とは違うと感じます。

確かに、例えばデジタルマーケティングの中でも「コンバージョンだけ」「コンテンツマーケティングだけ」といったように、自分のやりたいことを狭く定義してしまうと、半年から2〜3年も経てば刺激を感じなくなるかもしれません。

しかし、もっと視座を上げて、「この会社のマーケティングチームを業界トップレベルに引き上げる」などの目標を掲げ、やりたいことの範囲を広げていけば、飽きるはずがありません。志を高く持てば、飽きている暇などないと実感できるでしょう。

できるかどうかではなく、志を高いところにピン留めしておけば、人生の選択は格段に楽になります。「飽きた」と感じるのは、裏を返せば志が低い証拠だと思います。「来年、再来年の給料が…」「自分の役職がなかなか上がらない」など、目先のことばかりに意識が向いていると、行き詰まったときに「つまらない」と感じるのかもしれません。

――ありがとうございます。それから、これはMarketing Native恒例の質問なのですが、中東さんご自身が、一般的な水準から現在の地位までステップアップできたのは、どのような点が良かった、あるいは何を努力された結果だとお考えですか。

まず、私自身はごく一般的なマーケターだと思っています。マーケターとして求められていることを、ひたすら愚直に取り組んできただけで、自分が特別に優れているとは思いません。

ただ、周囲の方々に支えていただきながら、多種多様な経験を積むことができたため、他の方々とは少し異なる考え方を持てるようになったのかもしれないと感じています。

それは、自分のミッションをどこに置くかです。来年の給料や会社での昇進・昇格といったことをミッションにしても、あまり面白いとは感じません。若手にもよく話すのですが、私の場合、ミッションは「自分の墓石の裏に何と刻みたいか」を念頭に置いて決めています。もし今、私の墓石の裏に一言を刻むとしたら、「BtoBマーケティングで世界に挑戦した男、ここに眠る」――そんなふうに書かれていたらうれしいですね。

もっとも、「墓石の裏に何と書きたい?」と若手に聞いても、大抵の人はなかなか答えられません。もちろん、それがマーケティングである必要はありません。「貧富の差をなくす」「戦争をなくす」といった社会的なテーマでも構いません。大切なのは、自分のミッションを定め、それを軸にキャリアの選択を考えることです。成功するかどうかは別としても、少なくとも後悔のない人生になると思います。

私自身、BtoBマーケティングにのめり込み始めた30歳になる前には、すでに「墓石の裏に刻む言葉」を決めていました。そのミッションをベースに、すべての意思決定を行ってきたことが、今につながっているのだと思います。

BtoBマーケターは、経営陣のバーニングニーズを理解せよ

――これから注力していきたいテーマや、挑戦したいことを教えてください。

ひとつは、人材育成です。先ほど「多様な経験を積んだ」と申し上げましたが、別の言い方をすれば、私自身は余計な回り道ばかりしてきたとも言えます。だからこそ、後進の人たちがより早くバリューを発揮できるように、適切な教育の機会を提供し、人材を育成していきたいと考えています。

もうひとつは、日本企業が弱いとされる「プロセスとコンプライアンス」に関する、経営陣への情報共有や会社全体への啓発活動です。

BtoCの領域では、景品表示法(景表法)に基づくステルスマーケティング規制など、新しいルールや法律が次々と生まれています。BtoBも同様で、日本国内だけでも景表法、薬機法、下請法、特定電子メール法(特電法)、特定商取引法(特商法)など、多くの法令に対応する必要があります。

さらに、グローバルではFTC規制(米連邦取引委員会による規制)やEU競争法など、対処すべき国際的な法体系が数多く存在します。こうした法規制を正しく理解することに加え、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)への対応といった難題も増えています。

弁護士は法律そのものには精通していますが、企業の現場プロセスをどう変えれば法令に適合できるのかを設計し、実行に移すのは私たちの役割です。そうした点を経営陣にも理解してもらい、協力を得ながら注力していく必要があります。

――会社の守りを固めるというイメージでしょうか。

どちらかと言えば「高速道路のガードレールを作る」に近いでしょうか。なぜかというと、スピードと安全の双方が経営陣にとってのバーニングニーズだからです。会社には守りに強い会社と、そうでない会社があります。知見が十分でない会社に対しては、こちらから積極的に情報提供や改善提案を行うことが重要です。

例えばクラレの経営陣も非常に多忙ですから、GDPR以外にもアメリカの各州でそれぞれ異なる形で生まれている法規制のすべてを把握するのは困難です。しかし、それらの規制に違反すると企業として重大な問題に発展するおそれがあるため、そうしたリスクも含めて経営陣に共有し、リスク回避のための経営判断を促しています。

企業の投資には、「パフォーマンス最大化のために最新型の設備に更新する」という攻めの投資もあれば、「老朽化した工場を修繕して事故の危険を防ぐ」など守りの投資もあります。一般的に優先されるのは、やはり守りのほうだと思います。

コンプライアンスやガバナンスの重要性は年々高まっており、これは世界的なトレンドとも合致しています。経営陣に対して「〇〇に対応しないと株価に影響します」「株主代表訴訟の対象となる可能性があります」などと具体的なリスクを伝えることで、取り組みの優先順位を上げることができます。そうしたアプローチこそ、BtoBマーケティングの本質だと考えています。

ベテランも、レースに参加し続けよう

――最後に、変化の激しい時代を迎える中で、中堅マーケターはどのように行動すべきか、アドバイスをお願いします。

そろばんに「ご破算で願いましては」という、計算を始めるときの掛け声があります。今の世の中は、まさにその「ご破算で願いましては」の状態にあると感じています。平たく言えば、「もう一度みんなでスタートラインに立ち、最初からレースをやり直しましょう」ということです。

もちろん、これは仕切り直しの意味でもありますから、ベテランにとっては少しつらいことかもしれません。ただ、ベテランといえども、これまで常に総取りや常勝をしてきたわけではありません。だからこそ、「もう一度レースに出ましょう」「AIは“敗者復活”が可能なレースです。そこに参加しましょう」と伝えたいのです。

――なぜAIが「敗者復活が可能なレース」なのですか。

先ほど申し上げたように、マーケティングの世界では技術革新とともに、常に大きな変化が繰り返されてきました。言い換えれば、AIによって再び、これまでのノウハウを持っていなくても、誰もがスタートラインに戻れる時代になったのです。そのため、結局は「走り続ける人」「レースに参加し続ける人」しか勝てないと思います。だから私は「レースに参加し続けましょう」とお伝えしたいですね。

――体力的には、どうしても若い人と比べると不利ですよね。

ただ、知恵がある。経験もある。その価値は、どれだけAIが進化しても、完全に「無」になることはないと思います。だから、自分のバリュープロポジションをしっかり考え、「忙しい」などと理由をつけて逃げるのではなく、早くAIに馴染むことが大切です。昔、WordやExcelが登場したとき、自ら操作せずに紙に書いた原稿を若手に渡してWordやExcelに入力させていたベテランたちは、すぐに姿を消しました。今回の変化も、それと同じことだと思います。

確かに、最初はつらいかもしれません。でも、筋トレと同じで、最初はきつくても痛みを乗り越え、筋肉がついて体が変わっていくことに楽しさを感じられるようになれば、道が開けて可能性も広がっていくはずです。

結局のところ、大切なのはスキルではなく、パッションだと思いますね。

――本日はありがとうございました。

Profile
中東 孝夫(なかひがし・たかお)
株式会社クラレ 経営企画室 室長補佐。
消費財メーカーでBtoCのマーケティングを手掛けた後、外資系IT企業、大手通信会社、スタートアップなどでBtoBマーケティングを経験。マーケターとして約30年のキャリアを持つ。公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構 B2Bマーケティング委員にて設立時の委員長を務める。2021年8月より株式会社クラレの経営企画室にて全社横断のプロジェクト、マーケティングに従事。

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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